2009年04月

「庭は、5番目の部屋」( 木村邸 4)

園芸資材のトップメーカーであるタカショーのカタログに「庭は5番目の部屋」ということが出てきます。リビング、ダイニング、キッチン、ベッドルーム、そして庭を5番目の部屋として捉えましょう、というコンセプト。いかにもタカショーらしい見事な切り口です。
「庭イコール植物を植える場所」というところから一歩進めて、その場所を「屋根のない部屋」としてイメージしてみること。この概念の引き出しを持っていることで、庭の可能性は格段に広くなります。

今回は庭を3分割して、中央のリビングの外にその「屋根のない部屋」をつくりました。

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道路からはこうです。

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ポイントは壁の高さで、室内やテラスで立つと向こうが見通せて、椅子に座るとご覧の通りでしっかりと視線が壁に当たります。

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壁の高さの設定は、開放感と落着き感をどこで折り合わせるかということなんですね。
壁の上部をラウンドさせたのもそのためで、居場所の中央を高くし背中側を低くすることで、必要な目隠しを果しながら、できるだけ開放感を出したかったのです。結構しつこく検証したんですよ、この壁の高さと形状。何でかというと、壁の立つ位置が建物から1メートル50センチとかなり近いんですね。ですから壁を高くすることでテラスが暗くなったり、狭苦しく感じることをさけたかった。でもこの壁のすぐ外を通行人が通るわけですから、その視線と気配はしっかりと遮断したい。それでああでもないこうでもないと考えた末に生まれた形状と高さなのです。

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室内からはこう見えます。これならカーテンは開けっ放しで暮らせますし、段差もないので出やすいし。壁の上部を曲線にしたことで、風景としても和らいだんじゃないかなあと思っています。
細かいことですが、その壁の曲線の頂点がサッシのセンターに合わせてあります。これによってリビングとテラスは同じエリアなんだという感じが出せました。細かいでしょう。こういうことばっかり考えながら設計してるんですよ実は。

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テラスの和室側の外に木を植えました。これは軽い目隠しと雰囲気出しが狙いです。樹種はカツラ、ご主人のリクエストです。撮影時にちょうど芽吹いたところで、新緑が西日に透けてものすごくきれいでした。

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いかがだったでしょうか。庭を「5番目の部屋」「屋根のない部屋」と捉え直すことで、部屋が外に広がって、日常的に外で過ごす暮しが始まるのです。


 
 
さあ、春真っ盛りの日曜日です。昨日、ホームセンターには春植えの野菜苗と草花を買う人が行列していました。家族で「これ育ててみようか」「こっちのもかわいいね」と苗を選んでいる光景、いいですね~!
さっ、今日は何人の方と庭のこと話せるかなあ。楽しみです。

アフリカの月

さっきまで前項の「伝わる感動は100分の1」を書いていたら、不意に思い出した1枚の額がありました。

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これは、もう亡くなられたんですけど、清水孝さんという方がキリマンジャロで御来光を見た時にもらしたひとこと。人づてにそれを聞いた実家のお姉さんが筆を執り、葬儀後横浜の清水さんの奥様のもとに送ってきたものだそうです。
「感動にひれ伏した」、いいですよねえ!そんな瞬間に出会ってみたいものです。

この清水さんは、まさに感動するために生きていたような方で、その生き様はカテゴリアーカイブ『アフリカの月』(2006年7月26日~8月8日)でご紹介してますから(ちょっと長いんですけど)時間のあるかたはぜひご一読ください。感動的な生き方・・・いいなあ。

清水さんを思うとき、必ずぼくの脳内で流れるBGMがあります。西岡恭三の『アフリカの月』。


アフリカの月
作詞:KURO 作曲:西岡恭蔵

古い港町流れる夕暮れの口笛
海の匂いに恋したあれは遠い日の少年

酒場じゃ海で片足無くした老いぼれ
安酒に酔って唄う遠い想い出
俺が旅した若い頃はよく聞け若いの
酒と女と浪漫を求めて七つの海を旅したものさ

母さんは言うけど
船乗りは宿ぐれ海に抱かれて年取り
あとは寂しく死ぬだけ

僕は夢見る波の彼方の黒い大陸
椰子の葉影におどる星屑


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これがその清水さんです。

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いつお会いしてもこの笑顔でした。そして亡くなられた後も生前と何ら変わらず、今日のように時々ぼくのところに現れては「感動だよ感動!」と元気づけてくださる人です。いいですよね「感動にひれ伏した」
清水さん、今日もがんばりますよー!

伝わる感動は100分の1( 木村邸 3)

昨日に引き続いてご覧いただきます。

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After 7
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どうですか、全く違う場所みたいでしょ。

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After 8
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ぼくとしては、たぶん皆様以上の感慨があるわけでして、なにせ自分がゼロから考えた空間が現実のものとしてこの世に出現しているわけですから。こればっかりは設計者の特権なんです。うらやましいですか。やってみますかこういう仕事。きついと言えばきつい部分もありますけど(仕事ですからね)、感動できる仕事だってことは確かなんですよ。逆に言えば、自己満足でもかまわないから自分で感動できることが大事なんです。感動できなければいけない。「自分が100感動して、観客にはやっと1伝わる。感動の伝達は100分の1だよ」そんな具合だって、舞台美術をやっているお客様がおっしゃっていましたけど、ほんとにそうなんですよね。だから10伝えたかったら自分は1000の感動を生み出さなければいけないって。それは庭も同じことです。

次は外に出て道路側から観てみましょう。玄関先と駐車場の脇もちょこっと整備しました。

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After 9
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そして庭を外から。

ダイニング前から全景です。

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After 10
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次はリビング前。

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After 11
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そして和室前。

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After 12
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家の外からの見え方、印象がずいぶん変わりました。「生活楽しんでるなあ。時々中から笑い声が聞こえるけどあの壁の向こうがどうなっているのか、覗いてみたいなあ」、隠した向こうに楽しさの予感がするという感じ。
明日はその、壁の向こう側をご覧いただきます。


 
 

室内の居心地、外への誘い( 木村邸 2)

ではビフォー・アフターです。
今回は室内からのものから始めてみようと思います。というのも、室内からの眺めというのが、今回の設計の大きなポイントだったからです。まずはカーテンを開けておけるようにすること。それは同時に、室内の居心地世よくする演出でもあります。外を変えることで庭よりも過ごす時間が長い室内の空間的価値を高める、ということです。それと次に、部屋にいるのと同じ感覚で外に出て過ごせること。そういう誘いが生じるような窓からの風景を目指しました。

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After 1
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Before 2
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After 2
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いかがでしょうか、狙いはうまくいったのではないかなあって思っているんですけど。
では外に行きましょう。

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Before 4
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After 4
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外のビフォー・アフターを並べてみて思うことは、立体的にイメージすることの効果でした。もともと芝生で、フラットな地面と衝立てのような構成でフェンスがあるという庭でしたから、テラスを持ち上げたり目隠しの塀を立てたりしたことで生まれた空間構成の変化が見て取れると思います。

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After 5
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Before 6
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After 6
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「何を植えようかなあ」くらいに思っていた地面が、「誰と何して過ごそうかなあ」という空間になりました。
お客様と打合せしながら、目隠しの重要性や立体構成することの居心地のよさを説明しまくっていますけど、こうして写真をご覧いただく方が伝わりやすいですね。さっそく今回のビフォー・アフターをプリントして各店に貼りたいと思います。

明日に続きます。


 
 

『芝生の張り方』が大人気( 木村邸 1)

今日から新シリーズです。
その前に、2006年8月31日と9月1日に書いた『芝生の張りかた1・2』が大人気です。はるか昔の記事なのにクリック数がダントツにアップしていて「みなさん暖かくなって来たので、芝生の張り替えや手入れに動き出したんだなあ」と、こちらまでウキウキしてきます。春ですねえ。
荒れた芝生を再生させるには土壌の改良が第一です。その方法は『芝生の張りかた1・2』にきっちりと書いてありますので参考にしてください。記事に書いていなかったことで,雑草対策という注意点もありますので,そのことを少し。

雑草まじりになってしまった芝生をそのまま土壌改良して張り替えても,土に混ざっている種と根っこから次々雑草が生えて来て、張り替え直後から苦労が始まってしまいます。ではどうしたらいいかと言うと、まず雑草にラウンドアップなのど葉から吸収して根まで枯らすタイプの除草剤を散布します。2、3日で枯れますのでそれを取り除いて,待つことしばし。また雑草が生えて来ます。その葉っぱがしっかり開いたところで,また除草剤を散布して、これを何回か繰り返すことで土中にある雑草の種と根っこがほとんどなくなりますので、それから古い芝生を取り除いて,記事にあるような土壌改良をしてください。
除草剤の毒性は一週間ほどで分解されるということですが、「除草剤はどうも・・・」という方は,土の表面を1枚はぎ取る感じですき取って処分し、さらに耕しながら雑草の根(特にドクダミと笹の地下茎)をていねいに拾い出してください。そうすれば張り替え後の雑草取りが格段に楽になります。

では新しい庭の話を始めましょう。
まずはビフォーをご覧ください。

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庭は道路に面していて、幅が1メートル50センチ。宅地は道路よりも1メートルほど上がっています。とてもよく見かける条件です。
さあ、あなたならどうしますかこのスペース。

お客様からのご希望は漠然としていて、ガーデニングがさほど好きなわけでもないし(と言いつつ、芝生の手入れはきちっとされているし、緑を眺めながら暮らしたいという気持ちは強いようでした)、ほとんど庭に出たことがないとのこと。でもこのままじゃつまらないので何とかしなくては、という感じでした。
いいんだなあ、その感じ。現状で何か困っているわけではないのに、何となくもっと楽しくできないかなあという、それがいいんです。プラスαを模索する思考というか、仕事も生活も、そういう気持ちがあるのとないのとではちょっと違ってきますよね。ちょっとじゃなくて大きくかな。それは人生を組み立てる能力の大きな要素かもしれません。
「まかせてください!」ということで、ぼくがご提案したのが次の2プランです。

Plan A
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Plan B
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漠然としたご要望に対して、いくつかの具体的なポイントを設定して設計しました。

1、リビングのカーテンを開けっ放しで生活できるようにする。
2、部屋にいるのと同じ感覚で庭で過ごせるようにする。
3、ダイニングの出窓から樹木が見えるようにする。
4、雑草取りの苦労がいらない程度のガーデニングスペースを確保する。
5、夜も楽しめる場所にする。

とても喜んでくださいまして、そしてご夫婦で検討していただいた結果、Plan Bをもとにして、素材の色や細部を変更して施工することになりました。
アップで左側から並べます。

ダイニング前
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リビング前
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和室前
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住宅地を歩いていると、せっかくの庭スペースが「生活を楽しくする場所」として活かされていない、そういう庭が数限りなくあります。それはそのご家族の庭に対する考え方ですからぼくがどうこう言うことではないし、別にいいんですよそれで。家の外の余った場所ですから。いいんですけど、もし「もっと」という気持ちが芽生えたらイメージしてみてくださいね。庭があることで生活が一層豊かに楽しくなるということを、ぼくは知っていますし、一軒でも多くの家の庭に家族の笑顔が溢れることを願って仕事をしています。あなたの人生でそういうことが必要な場面が来たら声をかけてくださいね。きっとお役に立てると思いますので。
なにかいきなり大上段に構えたようなこと書きましたが、連日庭の相談を受けていると、どうしてもこういう思いがどんどん高まってくるんです。はしゃいでいない、元気が足りない感じのお子さん。笑顔が消えて久しいという雰囲気のご夫婦。モデルハウスのように生活感がないリビング。一年中開かないリビングのカーテン。雑草だらけで殺伐とした庭・・・。悲しいんだなあ。「がんばれー」と応援したいし「こっちだよー」と手招きもしたいし。でもねえ、人それぞれ、人生いいろいろなんですよねえ。まあね、庭がどうこうじゃなくって、あなたとあなたの家族のために、「もっと」にイマジネーションを働かせながら暮らしましょう、ということです。

今回の木村さんご夫婦は出会いから庭完成、そしてこの撮影まで、ずっと笑顔でした。ぼくたち夫婦より一回り上のお二人から感じたそのいい感じは、仕事をさせていただいている間中ぼくたちにすてきな波動を送り続けてくださいました。感謝です。
よりよい人生を組み立てるのに必要な「もっと」が庭に向いたことで、出会えて、そして喜んでいただける庭が完成したことがまた次の庭の設計へのエネルギーになった、そんな仕事でした。
その木村さんちのビフォー・アフターを明日と明後日、ご覧いただきます。


 
 
「もっと」という方向にイマジネーションを働かせるということについては、ぼく自身が日々自分にムチ打つように言い聞かせていることでもあります。その度合い、どれだけそれを維持できるかがぼくの一日の充実度を決定します。
さあ、今日も設計!「もっと」に向って前進あるのみですよ!!(今日はやたらに気合い入ってるなあ。メタボ対策でずっと油抜きしてたのに、夕べは一瞬挫折してトンカツ食べたので、そのせいかもしれません)

Happy Days 4

階段を上った2階のホールに展示してあった『ものすごいお宝』はこれです。何だと思いますかこれ。

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これはですねえ、なとなんと、あの『常磐壮』のカーテンなんですよ!
『みんなおもちゃが好きだった』にもこのカーテンのことが詳しく書かれていますけど、北原さんの別の本『夢はかなう きっとかなう/一季出版』から少し抜粋します。

ーーー 以下抜粋 ーーー

おかげさまで『開運!なんでも鑑定団』が2003年の4月で十年目に突入します。思い起こせば数々の御宝を鑑定してきました。そして、折に触れて「お宝の一番の思い出は何ですか?」と聞かれます。次に質問されるのが「鑑定したお宝を買うことがあるのですか?」です。
ーーー 中略 ーーー

一番の思い出と、買わせていただいた鑑定品は、実は同じものなのです。ときわ荘の寄せ書きが描かれたカーテンがその逸品です。
ーーー 中略 ーーー


ときわ荘
漫画の梁山泊「ときわ荘」です。昭和二十九年から昭和三十六年までがときわ荘時代だったと、この「ときわ荘」にこもって漫画を描き続けた藤子不二雄氏は語っておられます。当時、豊島区椎名町(現・南長崎三丁目)にときわ荘はありました。最初の住人は手塚治虫先生と寺田ヒロオ氏。そこに藤子不二雄A氏と藤子F不二雄氏が入居。その後、鈴木伸一氏、森安なおや氏,石ノ森章太郎氏、赤塚不二夫氏と、二十代になったばかりの漫画家が入居してきました。住人以外にも、つのだじろう氏らがこのときわ荘に集り、その後の漫画の黄金時代を築く巨匠たちが集結していたのです。「食べられなくても好きなことをしていこう」そんな気概を持った若者たちが、まさしく次の時代を創りました。私の手元にある寄せ書きは、その時代の証人のような気がします。
ーーー 以下抜粋 ーーー

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ぼくは独身の頃、豊島区南長崎に住んでいたことがあって、何度もその伝説のときわ荘跡地(すでに別のアパートが建っていました)に足を運んでは「ウ~ン、ここから昭和が始まったんだなあ」と感慨に浸ったものです。その地で描かれたというこのカーテン。ぼくにはあの日の自分との再会であり、1956年、ぼくが生まれる4年前に描かれたということから「両親の恋愛時代だなあ」なんて,その当時の空気感や時代の熱みたいなことに思いを馳せる、そんなひと時でした。

河口湖畔に立つ『北原ミュージアム Happy Days』、ネーミングもいいですねえ!
もうすぐゴールデンウィークです。横浜から2時間くらいで行けますから、行ってみてくださいね。今回写真が1枚もなかった富士山も圧倒的な美しさで迫って来ます。
それから、後日このミュージアムに詳しい高橋さんという方からの情報で、ミュージアムに併設されているレストランの『ナスとトマトのカレー』が絶品だそうです。それもぜひ。

たった一日の河口湖ドライブで、ハワイに一週間滞在した後のような「いい感じ」を得られました。湖と富士山が発する波動なんでしょうかねえ。不思議な場所です。

明日から通常のパターンで、またたっぷりと完成した庭をご覧いただきながら熱く語りますよお。その庭に込めた思いとともに、すっかり見慣れたおたくの庭を、あるいは将来手に入れるであろうあなたの庭を「大切な家族の場所」にするためにはどうしたらいいのか。そのために役立つ考え方やテクニック満載でいきます。


 
 

Happy Days 3

『北原ミュージアム Happy Days 』の3日目です。昨日は鴨沢祐仁さんの絵にはまってしまい、力一杯書き込んでしまいました。はまると夢中になるたちなもんで、気がついたら夜中の3時でしたが、いい時間だったなあと思っています。それだけ鴨沢さんとの(絵を通した)会話が楽しかった。画家っていいですね、作品が残るから。
あの絵のぼくなりの解析と言いますか、鴨沢さんとの会話が果たして合っているのかはわかりませんけど、ちょこっと飲んでいたせいもあって、確かにぼくは鴨沢さんと話していました。実際には会ったことがないその人の声は、あまり口を開けずに鼻でしゃべっているようなやや高めのトーンで、一応抑揚はあるものの出力が小さくて、こちらがあまり大きな声を使うと。スーッと穴の中に隠れてしまいそうな、そんな、どこか小動物のような感じがしました。また会いたいなあ。「また降りて来てくださいよ、鴨沢さん」。

というわけで、今日はサッといきますね。
ミュージアムは2階建てで、かなりの部屋数があって、それぞれにテーマ分けされたコレクションが飾ってありました。

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どのコーナーの展示品も、みんなぼくに話しかけてきました。知り合いだらけのパーティー会場にいるようなもので、じっくり話し込んでいたらいくら時間があっても足りない気がして、次の目的地(仕事)に行く時間も迫っていたためあえてやや急ぎ足で観て回りました。「何としても次回はじっくりゆっくり過ごしたい」、そう思いつつ1階を見終わって、2階へ。そこで衝撃!これです!!

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階段の壁いっぱいにサインペンで書き込まれた壁画でした。
キャプションを読むと、高橋信雅さんという方が実に一年半をかけて描き上げた作品とのこと。それも下絵なしで描いていったのだそうです。部分的にどこを切り取っても絵になるクオリティーで、それがこの量ともなると、迫力があるというか、あきれるというか、ぼくはこういうことする人大好きです。スタッフに仕事のことでよく言うことがあって、それは「ばっかじゃないの!と言われるくらい徹底的にやってみようよ」ということ。「高橋さん、ばっかじゃないの!」。
それにしても北原さんは、面白い人をたくさんご存知なんですねえ。おもちゃだけじゃなくて、『おもちゃのような人』もコレクションしているんだなあと思いました。

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東京、横浜から2時間ちょっとで行けるので、みなさん、河口湖まで行ってこの絵を間近で観ていただきたいです。「こういうことしちゃった人がいるんだあ」と心地よくあきれることができますよ。小さい子にこの階段を体感させたら、その子の人間形成の一部になっちゃうだろうなあ。どういう人生にを歩にしろ。この階段の「ばっかじゃないの!」という感じは、その子に、大きなプラスになると思いますよ。

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明日は『Happy Days 』の最終日。この階段を上がったところに、ものすごいお宝があったんですよ。それをご覧いただきます。


 
 
さあて、今日もまた「ばっかみたいに」庭の設計に没頭します。お待ちの皆さん、がんばってますんで、気長に、楽しみに、もうしばらくお待ちくださいね。

Happy Days 2

これはねえ・・・。写真でご覧いただくのはほんとはよくないんです。というか写真ではぜんぜん伝わらない。ぜひ現物をご覧いただきたい、1枚の絵です。

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作者は鴨沢祐仁さん。

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一昨日ご紹介した北原さんの『みんな、おもちゃが好きだった』に鴨沢さんのことが出てくるので、一部を抜粋します。

以下抜粋/鴨沢祐仁(かもざわゆうじ)さんは、奇才のイラストレーター、漫画家だった。ハニーというメーカーのグラフィックデザイナーとして活躍した時期もあって、広告やCDのジャケットでもいい作品を残したが、代表作はなんといってもクシー君のコミックシリーズだ。1977年から雑誌『ガロ』に連載され、物質の将来をテーマに、クシー君とうさぎのレブス君が登場する形而上学的コミックとして注目を浴びた。

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不思議な世界だった。オシャレで都会的なモノが満ちあふれた世界に、大人のノスタルジックなファンタジーが迷い込む。ときにSF的な宮沢賢治ワールドも入り込んだ。宮沢賢治も鴨沢さんと同じ岩手県の出身だ。僕は彼の作品が大好きで、彼の原画の90パーセントは持っている。何千枚の原画だ。
彼は2008年1月に他界した。自分のアパートの風呂場で入浴中の急死だった。僕は河口湖のミュージアムで彼の追悼展を開き、今後も継続して彼の作品の展示会を開いていきたいと想っている。しかし、彼の実生活は“すばらしく、いい加減”だった。酒に溺れて仕事の締め切りは守れず、借金に追われ、56歳で急逝するまで破天荒な生き方を貫いた。
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偲ぶ会で彼と一緒に仕事をした編集者は口をそろえて言っていたが、約束を絶対守らない人だった。僕だって彼は締め切りが守れないと知っているから、サバをよんで、三ヶ月~半年くらいの余裕を見込んで彼に仕事を頼んでいた。が、それでも作品は仕上がってこない。誰と仕事をしても、そんな調子だったらしい。
あるとき、僕が頼んだ絵の締め切りがとっくに過ぎても半分しかできていなかったので、ブリキのおもちゃ博物館の隣にあるクリスマストイズの二階に閉じ込めたことがあった。
「仕上がってないなら、ここで描いて」
と、彼を缶詰めにして最後まで描かせた。
ーーー 中略 ーーー

自分でも不思議なのは、年月がたっても僕のモノの好みは変わらず、モノを観る目がブレないことだ。鴨沢祐仁が好きだと思えば、その気持ちは一貫してずっと変わらない。だから彼が生前、僕のところに作品を持ってくれば、必ず買った。そして彼は売る作品がないときは借用書を書いて借金していった。金に詰まると、どこへ行ってもこう言っていたらしい。
「絵の具がないんです」
そう言われれば、絵描きが絵の具がなくては困るだろうと、みんなお金を出した。僕だって「絵の具がない」という彼のセリフを何度聞いたことか。そのたびにお金を渡し、彼はそのたびに借用書を書いた。金一万円とか、二万円とか、最高でも五万円くらいだった。誰でも貸してくれそうな金額だった。「ま、いいか」と差し出せる金額だったから、みんな返してもらうつもりはなかったと思う。/以上抜粋。

もう一度ご覧ください。

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写真が小さいので左側から3分割で並べます。

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まず何を感じますか?たぶん絵としての不自然さだと思います。
おそらくは鴨沢さん本人であろう人物が画面左右の中心にいて、部屋も窓が左右対称。そして床と壁の境は上下の中心に来ています。つまり、上下左右ともに2分の1、1:1で構成されているんですね。これって絵的にはありえないことなんです。とても居心地が悪い。
1:1の居心地の悪さに対して、心地いい比率と言えば黄金分割、1:1.618ですよね。このことは2008年3月16日、17日の『黄金分割 1、2』をご覧ください。
ではこの絵でその位置はどこになるのか。目見当だとネコの顔です。「まさか・・・」と思いながら定規で測ってみたら、このネコの顔は上下左右ともに、キッチリと画面の1:1.618の位置にありました。身震いしました。

「そうか、・・・鴨沢さん辛かったんだね。でもさあ、そんなこと絵に込めなくたって、酒飲みながら誰かに愚痴ればよかったんじゃないのかなあ。まあそれがアーティストなのかもしれないけどさ」

では、この絵から僕に聞こえてきた鴨沢さんの愚痴を、『美の巨人たち』ふうに書き留めておきましょう。

窓が左右対称、シンメトリーにあるこの部屋は山手の洋館でしょう。
その部屋の中心に、とても厳格な家庭で育ったおぼっちゃまのようなキチッとした鴨沢少年が直立不動で立っています。そこに立っていることを命じられたか、あるいは建築物の一部として、その位置でオブジェと化すという呪いをかけられたかのようです。部屋(世界)の中心に居て、そこを1ミリも動けなくなっている鴨沢さん・・・。シンメトリー、2分の1、中心、息が詰まりそうな、遊びや揺らぎを許さない配置。これが彼と彼のいる世界。
その足元に近づいていくネコは上下左右とも黄金比、つまり身動きが取れない鴨沢さんと対照的にとてもバランスがいい場所にいて、しかもネコですから、自由気ままの象徴ですよね。この『ネコと自分の対比』を描くために、キャンバスに定規を使って縦横の真ん中に十字に線を引いて、今度は電卓を持ち出して比率を計算し、縦横とも1:1.618のポイントにマークしました。その行為自体が、そのときの鴨沢さんを物語っています。辛くて辛くて、もう柔軟な思考も消え失せて、生真面目という不器用さによってできてしまったかさぶたを、自分で何度もはいでは血を出している。アングラ映画のシーンのように。ぼくにはそんなことが浮かびました。

この絵は単純な一点透視の遠近法で描かれています。床の板目の交点、遠近法の心点はどこかというと、鴨沢さんののど仏です。なんででしょうねえ。上下左右の黄金比のポイントはネコの眉間なのに、遠近法の焦点はのど仏。・・・命ですよね。死を意識しています。
真面目な真面目な鴨沢さんだから、きちっと、描く世界の心点に自分ののど仏を持ってきた。

「やっぱりそうですよ。鴨沢さん、あなたは、こういう絵を描くより、酔っぱらって誰かに愚痴ればよかったんですよ。もっとだらしなく、もっといい加減に生きればよかったんだ。この絵にはね、あなたが得意なファンタジーがないじゃないですか。この絵は、この絵は、あなたが鬱々として描いたこの絵は、・・・悲しくなるんだよ」

床に整然と並んでいるおもちゃ。それらはネコか、あるいはネコの飼い主の所有物でしょう。鴨沢さんのものではない。ただ中央の正20面体のサイコロはおもちゃの持ち主から貰ったものなんじゃないかと思います。それは電池で予測不可能な不思議な動きをするおもちゃで、そのサイコロを貰って、鴨沢さんは嬉しくて、夢中でそれで遊んだんだと思うんですね。厳しい家で育ったから、そんな楽しいおもちゃを生まれて初めて手にしたんじゃないかなあ。でもそのおもちゃ、電池がなくなってしまった。その空になった電池をサイコロから取り出して、呆然として自分の足元に置いたのかもしれない。
これらのおもちゃを床に並べたのは鴨沢さんです。最初から部屋におもちゃが並んでいて、その中心に自分が立ったのではありません。本来自由奔放に遊ぶためのおもちゃを、床の板目に合わせて均等に(不自由に)配したんですよ。自分が貰って楽しく遊んでいたおもちゃの電池が切れて、きっとそれですねてしまったんですね。だからバイクも、水鉄砲も、クルマも、スプーンも、ピストルも、全部左に向いています。舞台の上手から下手への流れです。順風満帆の人生。その流れに杭を打ち込んだように自分が立ってみせたんでしょう。「自分はもう流れに乗ることは、止める」と。

「鴨沢さん。今日はぼくも酔っぱらってるんで、ちょっと言わせてくださいよ。この絵を観てたらあなたの声が聞こえて来て、もう飲まずにいられなくなったんです。だからね、言わせてくださいね。あなたねえ!女々しいよ!おもちゃをさあ、そんなことに使わないでほしい!あのサイコロをもらったときさあ、うれしかったんでしょ。生まれてから一番うれしいくらいうれしかったんでしょ。バカですよあなたは。あなたは女々しいけど、ゴッホも、山頭火も、中原中也も、高田渡も、みーんな女々しい人だった。世の中の人が全員、あなたが描いたあのネコみたいに上手に生きていたら、世界は味気ないですよね。もしもそうだったら、小説も映画も芸術も必要ないじゃないですか。そうだったら情感や感動がなくなってしまって、それじゃあ人間じゃないですよ。だから、河口湖であなたのこの絵を観て、あなたが描いた弱音や愚痴を聞いて、ぼくはあなたのこと、好きになりました。鴨沢さん、ガロの鴨沢祐仁さん、なんでもう少し長く生きていてくれなかったんですか。そうしたら一緒に飲めたのに。だらしなくさ。ウダウダとさ。いつかぼくがそっちに行ったら、お酒を持って遊びにいきますからね」

・・・もうぼくは飲み過ぎて、酔っぱらってます。

鴨沢祐仁さんは、漫画家ではなくて、アーティストだったんです。そしてこの絵は、お酒の弱いぼくを二日酔いにしました。一夜が明けて今朝あらためて絵を眺めると、これは鴨沢祐仁さんが北原照久さんに書き残した、丁寧な丁寧な、心のこもった『お礼状』だったんじゃないかなあって。「ちゃんと言葉で言いなさいよ」とも思うんですけど、そこがまた鴨沢さんなんですよねきっと。

この一枚の絵に出会えただけでも、行って良かったですよ『北原ミュージアム Happy Days』。
明日に続きます。


 
 
いやあ、そんなわけで夕べは飲み過ぎてしまって(何年ぶりかです)今朝は軽い二日酔いです。反省反省。でもまあこんな朝もあります。さあてと!気合いを入れて。今日もいいいち日になるように、張り切っていきましょう!

Happy Days 1

オルゴールの森のスタッフの方に教えていただいたその場所まで、クルマで5分でした。河口湖畔の最高に気持ちのいいポジションにある『北原ミュージアム Happy Days』。

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受付の、とってもいい感じの超ハスキーボイスのお嬢さん(演劇の練習中で声をからしたのだそうです)に促されて、さっそくミュージアム内を観て回りました。

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入り口付近に「写真撮影はご自由にどうぞ。どんどん宣伝してくださいね」みたいなことが書いてあったんですけど、コレクションをアップで紹介していくのもどうかと思いますので、遠景で、膨大にあるもののほんの一部を並べていきます。

これは昭和のレコードジャケットですね。この前でのお客さんの滞留時間が一番長いそうで「皆さんレコード集めてたんですよねえ」。ぼくも妻も、この中の何枚かを持っていたし、通いつめたレコード店で見覚えのあるものばかりで、やはりかなりの時間盛り上がっていました。

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次はVANのポスターです。

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VANと言えば、石津謙介さんですよね。ぼくより上の世代の人にとっては、時代をつくった伝説の人です。
北原さんから「いわふちくんの仕事はいいね。石津謙介さんが『家は大事だよ。家は人を育てるからね』って言ってた。庭も同じだね。いわふちくんは人を育てる仕事をしているんだね」と言っていただいたことを思い出しました。

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エルビスのピクチャーレコード!「何でも持ってるなあ」と唸ってしまいました。
我が社の名前『グレースランド』は、メンフィスにあるエルビスの家の名前なんです。それを社名にしたぼくは、つまり熱狂的なエルビスファンなんですね。中学生のぼくは毎日エルビスを聞いていた。エルビス・アーロン・プレスリー・・・、おっと、この話はエンドレスになってしまうのでここでストップ。

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いいなあこれ。欲しいなあ・・・。

館内のいろんなコレクションに、皆さんそれぞれに、うっとりと「いいなあこれ。欲しいなあ」って思うんだろうなあ。観る人の心をグッとつかんで揺さぶるようなコレクションの数々。その人にとっては棺桶に持って入りたいような『お宝』になるものを、よくもこれだけ多岐にわたって集めたものです。現在8ヶ所あるという北原さんのミュージアム。その展示品の何倍かが、まだ巨大な倉庫に保管してあるといいます。全国を歩き回って、そのひとつひとつを自らのフィルターを通して選択し、集めたコレクション。情熱ってすごい!ぼくも情熱を持ちながら、来る日も来る日も設計して約2000の庭を提案して来ましたが、とてもとてもかなうもんではありません。それはコレクションの数との比較ではなくて『お客様の笑顔の数』がです。夢と情熱が、365日、毎日何千何万の人を笑顔にしているんだなあと。北原照久さん、つくづくものすごい人です。

明日に続きます。


 
 

『みんな、おもちゃが好きだった』

昨日までご覧いただいた『オルゴールの森』を出て、同じく河口湖畔にある『北原ミュージアム Happy Days』に向いました。

その前に、北原照久さんの最新刊『みんな、おもちゃが好きだった』をご紹介しますね。
何日か前に『奇跡のリンゴ』がおもしろかったと書きましたが、これもまたおもしろくておもしろくて、ぜひ皆さんに読んでいただきたい1冊です。特に男性に。というのは、この本には欲しいものを手に入れることの楽しさを知った少年が、やがて青年になり、少年のときのまんま、今度はおもちゃ集めに熱中して、やがて奇跡のような人やモノとの出会いの連続が始まる。少年が少年のままで人生を送るということのファンタジーが綴られているからです。
誰でも思いますよね、少年のまんまで生きられたらいいだろうなあって。男の子が大人になるってのは何度も少年との決別を迫られるんですよね。「もう子どもじゃないんだから」と言われ、いつしか自分でも「そんな子どもじみたことやってられるか」なんて思ってしまう。でも、いくつになっても夏休みのあれこれが、少年の日の記憶がなつかしくて・・・。
ところが世の中には少年のまんまでちゃんとした大人になっている人というのが存在します。前回紹介した『奇跡のリンゴ』の主人公である木村秋則さんもそうですし、この本の著者の北原照久さんもそうです。そして本に登場してくるポール・マッカートニーをはじめとする、北原さんがおもちゃを切っ掛けに出会った人たちも、みーんな少年のまんま立派な大人になった人たちなんです。そういうことも有りなんだという実証本なんですね。
『少年のような大人』についてはラジオで北原さんと西川りゅうじんさんが話していたことがありました。

西川/『コトナ』って言ってるんですね、子どもみたいな大人のこと。最近多いんですよ、急に会社に来なくなったりする自分のことだけしか考えていない大人。大人になっていないガキみたいな大人を『コトナ』って言うんです。

北原/子どもっぽいのとガキっぽいのとはちがうからね。

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そういえばコレクターってほとんど男性ですよね。話は飛びますけどフェティシズムって男性特有のものだといいます。最近は、例えばオタク文化でも何でも父性と母性とか男と女が複雑に入り交じっていて、一概にそうとも言えない状況もありますけど、文化人類学的にははっきりとそういうことなんだそうです(宮大真治さんがおっしゃっていました)。フェティッシュとコレクションは似ていますよね。その衝動の源はどちらも原体験からくる(いい意味での)コンプレックスや郷愁です。ちなみにぼくは昆虫のフィギアがツボで、コンビニやオモチャ屋でそれを見つけると、もう買わずにはいられなくなります。一種の昆虫採集なんです。いつのまにやら数百匹になったプラスチックのクワガタが、後生大事に箱に収められて我が家の押し入れを占領していて、そのことをうちの妻は理解不能で???だらけになりながら、見て見ないふりをしてくれています。奥さん方からすれば「ばっかみたい」でしょ。でもねえこれはしょうがない。文化人類学的に、そういうもんなんですよ男って。もしご主人が◯◯マニアとか、何か蒐集癖があったら、それはご主人の根っこの部分なので、「すごいわねえ」「すてきねえ」と持ち上げながら、思う存分根を伸ばしてあげてくださいね。根っこが伸びれば枝葉も茂って、花が咲いて実もなり成すよ。出世しますよー!

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話がとんでもないところに行ってしまいました。この本『みんな、おもちゃが好きだった』に戻りましょう。
ひとりの男が少年のようにピュアな気持ちのままで夢に向っていくと、必ず障害にぶち当たります。当たり前ですよね。そこからが問題なんですね。奇跡のリンゴが実を付けるまでに、ブリキのおもちゃ博物館ができるまでに、「ピュアさを無くさずに、複雑な夢実現の手法、技術、そして力を身につけた」、そこに感動するんです。少年のままで、並の大人がけっして成し得ないことを実現してしまう。少年が、大人たちが言う「絶対不可能」を覆してしまう。
木村さんはリンゴの無農薬栽培にチャレンジして、全てやり尽くして刃折れ矢尽きて、首をくくる縄を手にした時に「そうか!答えは枝葉や害虫ではなくて根っこなんだ。土の中なんだ」と気がつく。北原さんは蒐集したコレクションをひとつも売ることなく生計を立てるために知恵を絞り奮闘し、ついには「モノ集めはじつは人との出会いをコレクションすることなんだ」という思いに至リ、今日も「分け入っても分け入っても青い山」と言いながらがんばって働いて、コレクター人生を突き進んでいる。どちらも夢実現の奇跡の物語です。

この『みんな、おもちゃが好きだった』を読み終えた時に感じた爽快感は、「自分の中のいわふち少年に久しぶりに会って、その彼がものすごくいい顔をしてた」それがうれしくてうれしくて、という感じでした。
むかし、夏休みが大好きな少年だったお父さん方、ぜひご一読を。

明日から『北原ミュージアム Happy Days』をご紹介します。


 
 
今日は久しぶりに、桜吹雪(運河沿いの桜がものすごいです)のホームズ新山下『Garden Friend』にいます。遊びにきてくださいね。

オルゴールの森 3

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心地よい夢の世界に酔いしれたまま園を出て駐車場に向いました。そしてクルマの誘導をしていた職員さんに次の目的地である『北原ミュージアム Happy Days』の場所を尋ねると、笑顔で「北原先生のところに行かれるんでしたら・・・」。とってもいい感じで、丁寧に道順を教えてくれました。「一流ホテルのコンシェルジュみたいだね」と妻と感心し、帰り際まで心地良さで満たしてくれた『オルゴールの森』に、また来たいねと話し駐車場を出ました。いやほんとにすばらしいところでした。


 
 

河口湖畔にある『オルゴールの森』、バラの見頃は5月の最終週かなあ。ものすごいと思いますよ。
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