2010年02月

「理屈」という羅針盤( 小枝邸 3)

では、昨日のAに続いてBプランをご覧下さい。全体と、左側から4分割します。

Plan B

小枝様プランB

 

ウッドデッキ
小枝様プランB-1

テラス
小枝様プランB-2

芝生広場
小枝様プランB-3

ガーデニングエリア
小枝様プランB-4

ウッドデッキ、テラス、芝生広場、ガーデニングエリアという4つの構成は同じで、仕立て方を変えてあります。昨日のAプランとの比較のためにもう一度2つを並べてみましょう。

Plan A
小枝様プランA

Plan B
小枝様プランB

庭の設計を仕事にしている同業者を見渡すと、タイプが2つに分かれるようです。ひとつは「感覚」から入って、そこに理屈を肉付けしてゆくタイプで、もうひとつは「理屈」から入ってその理屈を感覚で組み立てていくタイプ。
ぼくはどうやら後者のようで、とにかく最初に理屈ありきなんですね。「◯◯の目的は××なんだから、△△の効果を出すために寸法は※※で素材は◇◇が最適で・・・」と、理にかなっていないと落ち着きません。しかしそういう理屈だけでは庭としての楽しさや艶が出ないんですね。そこからが感覚の世界です。
感覚の世界と言っても「何でもあり」ではありません。そこがおもしろいところでして、理屈という羅針盤を頼りに海を漂うような感じ。この行程のときが一番熱中します。

今回もそうで、4つにゾーン分けして、それぞれの場所を組み立てる考え方も決まって、その「理屈」を持って感覚の海へ船出すると、すぐにいくつかの違った仕上がりが浮かんできました。
その「感覚のパーツ」のどれを選んでどう組み合わせるか。お客様の笑顔をイメージしながら、その笑顔の舞台としての庭を組み立てていきます。

そうやってできあがったAとB。
ご夫婦で検討していただいた結果、Bプランの左側2つのゾーン、ウッドデッキとテラスを施工することになりました。庭全体のフルプランから、リビングを中心にイメージして「楽しさ優先」での選択、すばらしい!(内心小さくガッツポーズ)ご夫婦がそう判断した時点で、このガーデンリフォームは大成功間違いなし!でした。

明日はビフォー・アフターです。


理屈先行の思考回路で設計するクセは、修業時代に身に付きました。建築設計の親松先生、造園設計の大野先生、ランドスケープの田瀬先生、それぞれの分野で大活躍されている先生方が、ぼくに同じことを言うのです、「線の一本一本を説明できるように設計しなさい」と。ありがたい教えだったなあ。
他にも「脳みそが汗かくまで考えなさい」とか「設計で人を感動させるためのただひとつの方法は、ひたすら設計し続けること。馬に食わすほど設計図を積み上げなさい」とか。
ぼくはとっても素直なので(妻は「あなたは素直なんじゃなくて単純なのよ」と言いますけど)、そういう先生方の教えをそのまま実行します。その後十数年、現在まで馬を3頭は養えるほどの設計図が積み上がっています。
自分でもめまいがするような量ですよ。そして今日も・・・。素直じゃなくて単純かあ・・・。

幸せってのは・・・2

一昨日の話題の続きです。

「結局のところ、幸せってのは、人との関係性の中で感じるんだよなあ」

お客様から仕入れたこの言葉に、大きくうなづきつつ、そのまま庭に当てはめることができるなあと。

「庭での幸福感ってのは、人との関係性の中で感じるんだよなあ」

「私はガーデニングには興味ないから」とか「うちは庭でバーベキューなんてしないよ。それどころか庭になんて出ないと思う」とか「忙しくて、とてもじゃないけど芝生の手入れなんてやってられないよ」とか、これらは毎月何度かお聞きする、お客様の庭への意見です。
残念です、ようは庭の捉え方なんですけどねえ・・・。
では質問。
  •  家族と一緒に過ごすのは嫌いですか?
  •  お友達が集まるような生活は嫌ですか?
  •  奥様(ご主人)と一緒にいる時間は苦痛ですか?
答 えはすべてNOですよね。(すべてNOだった人は、ラッキーですね。うちに庭を依頼する資質をお持ちです、なんちゃって)家族と過ごす、人が集まる、夫婦 で時間を共有する、そのために庭に花を育て、芝生を手入れし、バーベキューが楽しめる仕立てにする、と考えればいいんです。庭はあくまでも人が集い人が過 ごすためのステージ、あるいは外の部屋なのですから。
実際、園芸マニア、芝生マニア、バーベキューマニアという人はほとんど存在していません。ぼくは出会ったことがありません。それらのことは手段というか、あくまでも二次的な行為であって、庭を楽しんでいる人たちの目的は、はっきりと「人」なのです。

庭とは、人と人が共鳴しあうための場所であり、花や芝生はそのドラマを演出する舞台装置である。

人 と人との共鳴を抜きにして、デザイン的にどうとか、植物コレクションのための場所みたいな構成の庭は、スペースと、時間と、それにかけたコストの無駄に なってしまう可能性がありますので要注意です。ものすごく多いんですよそういう庭って。パッと見きれいにできあがっているんですが「いったいこの庭がある ことで、誰か楽しい思いしてるのかなあ」と疑問に思ってしまう庭。提案する側に問題があると思うんですけどね。
アァ、日本中の家族に「人と人が共鳴する庭」を提案したい。いい庭があったら、家族は容易に幸せな時間を過ごせるんだけどなあ。

ようかんを切るように( 小枝邸 2)

では、いつものパターンで小枝さんちの庭をご紹介していきましょう。
最初にビフォーです。

ビフォー2

ビフォー4

横浜の、造成が始まってから20〜30年くらいの住宅地には、このようなウッドデッキと芝生という組み合わせの庭がたくさんあります。庭付き一戸建ての典型的な庭です。
かつて、ご夫婦でこの新興住宅地に新居を構えて、一生懸命に働き、子育てをし、楽しい想い出が積み重なったこの庭。何気ない芝生の庭ですけど、木や草花や芝生の様子から、そういう家族の時間によってできあがっているという重みというか風情を感じました。
そしてある日、奥様の気持の中に「この場所をもっと楽しくしたい!」という思いがわいてきて、それでぼくにお声がかかりました。
これは幸せに暮らして来た人に共通することで、常に「もっと楽しく」という意欲に満ちているのです。幸せな人はそうやってさらなる楽しさを求めて、どこまでも新たな幸せを実現していきます。楽しむことへの意欲、幸せへのイマジネーションが旺盛で、ご本人が意識しているかどうかはわかりませんけど、ぼくには、そのことのためだけに日々を送っているようにすら見えます。いいなあそういう人。そういう「幸せ達人」との出会いが、この仕事の大きな魅力です。

「庭をもっと楽しい場所に」OK!これこそ我が使命。というわけでできあがったのが次のAとBの2つのプランです。今日はAプランをご覧いただきます。

Plan A

小枝様プランA

ウッドデッキ&芝生という2つのゾーンだった庭を、ウッドデッキ、テラス、芝生広場、ガーデニングエリアという四つのゾーンに区分けしました。

小さくて見づらいので、左側から4分割します。

ウッドデッキ

小枝様プランA-1

 

テラス

小枝様プランA-2

 

芝生広場

小枝様プランA-3

 

ガーデニングエリア

小枝様プランA-4


それぞれのゾーンの仕立て方、設計のポイントは後日ゆっくりと解説するとして、全体的に何をしたのかというと「場所を区分けして、それぞれのゾーンに意味を与えた」ということです。これをゾーニングと言います。

今回のような長方形の庭の場合は、ようかんを切るように分割するのが基本だと考えています。ですが、意外と多いのが長方形を長手方向に2分割してある庭。庭を横切る通路があったり、家側が芝生で向う半分が樹木と花壇とか、そういう庭です。それだと長方形をさらに細い長方形にするわけですから、何をして楽しむにしても使いづらくなってしまって、たいがいあまり活用されない庭になっています。

長方形を、ようかんを切るようにいくつかに切って、それぞれの場所にテーマや機能を与えるというこの考え方で、あなたの長方形の庭が劇的に楽しい場所になるかもしれませんので、ぜひ一度、見慣れた庭を一旦頭の中で白紙にしてから、ようかんを切る要領でゾーニングしてみてください。

キム・ヨナ、完璧でした

ついさっきまで、仕事を中断して妻と女子フィギア観てました。感動感動また感動でした。鈴木 も安藤も真央ちゃんも、観ている方が苦しくなるようなプレッシャーの中で、ほんとによくがんばりましたよね。妻は力が入って息を詰めて観ているもんですか ら、ほんとに窒息しそうになっていました。それにしても、キム・ヨナ、完璧でした。

真央ちゃんの悔し涙・・・、あの瞬間日本中の子を持つ親たちが彼女のことを自分娘のように思ったんじゃないでしょうかねえ。いやあ泣けた泣けた。表彰式でちょっとご機嫌が直ったようで、こちらも少しホッとしましたけど。

本気で頑張り続けた結果ですから、順位は別として、感動しますよね。感動で熱くなったところで、さっ、仕事仕事。ぼくはぼくの仕事で、本気で頑張りますよー!


フィギア観てた分また仕事が遅れてしまったので、今日のブログはここまで。明日からちゃんとやりま〜す。反省してま〜す。

幸せってのは・・・1

連日お客様と、庭のこと、家族のこと、ときに人生についてなど話し込んではお客様から仕入れた「いい話」を手帳に書きとめています。
そんな中から、福祉関係のお仕事をされてきて、そろそろ定年をむかえる男性の言葉です。

結局のところ、幸せってのは人との関係性の中で感じるんだよなあ。

ウ〜ン、全くその通りだと思いました。
この「幸せは人との関係性の中で感じる」ということは、庭にそのまま当てはまります。「庭での幸福感は人との関係性の中で感じる」のです。つまり、「人がいてこそ庭」です。
つづく

BBQパーティー( 小枝邸 1)

はい、今日から新シリーズです。
今回はこの写真から。

DSC_0108

撮影にうかがった日、ちょうど奥様のお仲間が集まってのバーベキューパーティーと重なって、あまりに楽しそうだったのでパシャッと撮らせていただいた1枚。
ご婦人方の盛り上がり方ってのはいいですよねえ。まるで女子高生みたいにワーワーキャーキャー、それはそれは大盛り上がりなパーティーでした。

今回ご紹介する小枝さんちは、長年手入れをしてきた芝生の庭の一部を「過ごす庭」にするというリフォームでした。結果は・・・大成功ですよ!この1枚がその証明写真です。

ついでに、夜はこうなります。

DSC_0200

DSC_0175

「いい感じでしょう!」と、鼻を数ミリ高くしつつ最初に成果をお見せしといて、で、明日からいつものようにやります。

北原照久名言集から「健康のコツ」

設計が溜まりに溜まって来ました。春だな〜。毎年のことながら、ちょっとポカポカして来ると、みなさん庭への意欲が急激に活性化するようで、怒濤のように相談や設計依頼が入ってくるのです。
まあどんなに行列が伸びてもぼくはマイペースでコツコツとやりますのでストレスゼロ。急いだり、ストレス貯めてたら庭の設計なんか出来はしませんからね。でもお待ちの皆様がストレス貯めないように、できるだけ長時間を設計作業に当てるようなスケジュールにしています。
で、次のシリーズの写真整理がまだできていません。トホホ。
しかたないので今日は違う話題でお茶を濁そうと思います。

さっき、先週受けた健康診断の結果を聞きにいって来ました。お医者さんいわく「ほぼ異常なし!」だそうでして、・・・一瞬ホッとしたんですけど、その「ほぼ」が気になりますよね。そこを突っ込んでお聞きしたところ、「悪玉コレステロールがやや高いけど、うん、まあこんなもんでしょ。あと尿酸値と血圧がちょっと高いけど、まあこんなもんです。え〜と、あとはややメタボですね。魚食べて、運動して、ってとこかな。ややメタボくらいの方が長生きしますよ!ガハハハ・・・」。近所のお医者さんなんですけどね、好きなんですこの先生。こんな調子ですけど、腕はいいんですよ。先生に胃カメラを突き刺してもらった時に、その繊細なテクニックで一切痛みを感じませんでしたから。口はガサツで腕はいい!職人だねえ!
まあ大丈夫そうなので、これで、自分に遠慮しないでガンガン仕事ができます。ありがたいことです。

北原照久名言集(ぼくの手帳なんですけどね)から、健康に関する言葉をいくつか。


元気な自分をイメージするんですよ。「病気」はひっくり返すと気の病、気を病むと病気になるし、気が健康なら病気は治る。「元気」は気の元って書くでしょ。元気を出せば気が健康になって、病気は治るんです。


大病しても落ち込んではいけない。「命」は人を一回叩くと書くでしょ。たいがい一度は叩かれるけど、でもがんばって早く治してくださいね。「辛い」は立つに十、一本足すと「幸」になる。だから今は辛いだろうけど、あと一歩頑張れば絶対に幸せになりますよ。がんばってくださいね。


ぼくは疲れないんですね。意識すること。食べるのも歩くのも「身体にいい」という意識をしながらする。ダラダラと嫌々歩くと身体に良くない。意識しながら過ごせば、疲れは溜まらないものです。
でも無理しないこと。無理しないでちょっとずつがいい。「歩む」は止まることが少ないと書くからね。少しずつ、でも止まることが少ない、これがコツ。


愚痴や不満は身体に良くないから言わない。いつも感謝、ありがとう。これで心も身体も健康になる。


ぼくは一年中休みみたいなもんですから。好きなこと、楽しみなことだけやってるからストレスはゼロ!「遊びは真剣に、仕事は楽しく」これが大事。


笑いは健康でいるための特効薬。笑うのは神様が人間にだけ与えてくれた特典。だから、いつも笑っていること。
いつも笑っている。辛くても笑っている。楽しいから笑うんじゃない。笑っているから楽しくなるんだ。


北原さんのラジオやライブでの話、お会いしたときの会話から印象的だった言葉を書きとめているぼくの手帳「北原照久名言集」を、ほんの数ページめくっただけで、結構「健康ネタ」が出て来ました。いつも笑顔で、元気で、エネルギッシュで、健康そのものの北原照久さん、日々健康を意識していることがわかります。
こういう方に出会うと、ひとまわり若いぼくとしては、愚痴ることも弱音を吐くこともできなくなるのです。ありがたい存在です。
ぼくがやるべきことはただひとつ、追っかけて追っかけて、一歩でも近づくことどと思っています。
はるか彼方に北原さんを見ながら追っかけていくと、ひとつのことに気がつきました。油断してるとその目標はどんどん遠ざかっていくということ。62歳の師は日々成長し、進化し続けているんですよねえ。びっくりします。

龍馬伝/テミヤンライブ

次のシリーズに行く前に、最近はまっている番組「龍馬伝」のことを。

妻は「福山雅治は嫌い!唇が薄い男は好きじゃないの!」と言ってあまり見たがりませんけど、ぼくは毎週夢中で観ています。
龍馬と言えば司馬遼太郎の「龍馬が行く」と小山ゆうの「おーい!龍馬」と、そして武田鉄矢主演の「幕末青春グラフィティー/RONIN」の印象が強くて、最初はぼくも福山龍馬に少々違和感がありましたが、回を重ねると、もうすっかり福山イコール坂本になっています。
このままだと、以降、龍馬像が福山雅治になってしまいそうで、それはそれでカッコいいからいいんですけど、でもちょっと残念な気もしますので、「RONIN」のラストシーンで、違う意味でカッコいい武田鉄矢の龍馬を再確認しとこうと思います。何度観てもグッと来るシーンです。

坂本龍馬→武田鉄矢、高杉晋作→吉田拓郎、桂小五郎→川谷拓三、伊藤博文→伊部雅刀、主題歌は拓郎の「RONIN」、そして勝海舟役とナレーションが石坂浩二(石坂さんの語り、これがいいんですよー!)。
「もし、三途の河原で道に迷うたら、エイブラハム・リンカーンを探せ!」
「おまんら、夢を見たことがないか・・・」
もう24年も前の作品なんですよねえ。昨日観たみたいに熱くなります。日本映画史上に残る名作です。

話を龍馬伝に戻しましょう。前回の放送でふと思いました、「このドラマの主役は岩崎弥太郎かもしれない」。それくらい弥太郎役の香川照之がいいですねえ。
龍馬を激しく憎み、反面あこがれて、やがて強く龍馬に惹かれていって、維新後には龍馬の亀山社中に倣って三菱財閥の基礎を作ってゆく。司馬さんの「龍馬が行く」ではそれほど大きくは扱われなかった弥太郎に、このドラマでは(今のところ)主役級の役回りを与えています。そして演じている香川照之の演技の力量が群を抜いているので、ぼくは龍馬以上に弥太郎に魅力を感じながら観ています。
もうしばらくすると、武田鉄矢が勝海舟役で登場するそうです。これも見物です。

龍馬伝、ご覧になっていない方はぜひ。はまりますよ。
実のところ、武田鉄矢でも、福山雅治でも、誰が演じても関係ないんですね。なぜなら龍馬の物語に酔いしれるとき、自分自身が坂本龍馬になるのですから。

では、龍馬の言葉をいくつか。

世の人は 我を何とも言わば言え
我が成すことは 我のみぞ知る


時代の波が大きくうねる時に、その波に飲み込まれそうになりながらも、夢を熱く語り、前のめりに夢に向って泳いでゆく志士たち。

世に生を得るは 事を成すにあり

男だねえ!
最後に、わが家で一番男前な人、妻カオリさんが大好きな言葉です。酔っぱらうとこれが出ます。

死ぬときは たとえ溝の中でも 前向きに倒れて死ね

大河ドラマ「龍馬伝」、前評判通りです。すばらしい!日曜の夜はこれ観て熱くなって、月曜から志士の志で仕事ぜよ!


そして、明日24日は恒例の テミヤンライブ です。

temiyan


スペシャルゲストにブレッド&バターの岩沢二弓さんが来られるとのこと。「センチメンタル・フレンド」が聴けるかなあ。
それから、人形の家の展示がこないだリニューアルされたはずなので、ライブ終了後に北原照久さんが案内してくださるナイトミュージアムツアーも楽しみです。

毎回、「笑顔」とか「夢」とか「元気」とか、そういう言葉があふれるような内容で、出演者も、そこに集う人たちも、難しい時代に輝き続ける現代の志士たちのようでもあります。あなたもぜひ。
明日6時半に、横浜人形の家でお会いしましょう。

神田と名乗る青年( 小椋邸 32)

辺りはすっかり暗くなりました。この夜、小椋さんご一家はお出かけで留守。ふだんはカーテンが開けられていて、この風景に暖かい部屋からの明りが加わります。

DSC_0288

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では昨日前振りした話題。

ご主人が生まれ育った喜多方の山村は、住人のほとんどが小椋性だそうです。その小椋一族は代々山の民で、林業や山菜採りで暮らしていました。ですからその村から全国に散っていった小椋一族は、例えば京都でも漆器の器づくりとか、木に係る仕事をする人が多いのだと言います。
そんな村に、ある日東京から神田という大学生がやって来ました。彼は人生に悩み、疲れはてて、自殺まで考えながらその村を訪れました。ひょっとしたら死に場所を探してさまよっているうちに、たまたまそこにたどり着いたのかもしれません。
しばらく滞在するうちに、彼は村人たちの純朴な暮らしぶりに癒され、森とともに生きる山の暮らしに感銘を受けて、そして立ち直ったのだそうです。

これは1970年頃のお話しです。コンクリートの狭間で学園紛争に明け暮れる大学生の日常。声高くアジテーションするものに、興奮し、学生たちが思考停止したままで酔いしれていくような状況、そんな時代だったんだと思います。
その時代の空気に馴染めない繊細さを持った東京育ちの神田青年の中に、東京では解決できない青春の日の歪みが広がっていったんでしょうね。
そして彷徨いの果てに辿り着いた山村で、そこに暮らす山の民の営みに触れて立ち直った神田青年は、東京に帰り、銀行に就職し、後に音楽に人生の道を見いだしてシンガーソングライターになりました。そしてそのときに、かつて自分を立ち直らせてくれた小椋一族から名前を取って、小椋 佳と名乗ったのでした。

DSC_0281

完成した庭で、夕暮れ時にご主人からうかがったこの話、「山の人」らしくトツトツとしゃべるその話し振りとともに、とても印象に残っています。
人は悩み苦しんだ時に、どんどんピュアになっていって、やがて真直ぐに自分を見つめるようになります。突き詰めて考えたときの自分の根っこを確認して、そこに立とうとします。小椋佳の根っこは「山の人」だったんだなあと。ですよね、きっと。そう、小椋佳は山の人ですよね。
そしてぼくの根っこも、まちがいなく「山の人」です。

DSC_0266

ぼくも、ご主人も「山の人」。小椋佳がそうだったように、奥様はきっとご主人のそういうところに惹かれて結婚したんじゃないかなあって、勝手に想像しています。

あらためて考えると、ぼくも、自分の中の「山の人」を使ってと言うか、そこを頼りに生きて来たようなところがあります。だから小椋さんちには親近感とともに、これからも着実に一歩ずつ、ご夫婦で次の扉を探しては開いてゆくような、素敵な人生になってほしいなあと。

DSC_0271

小椋さん、すてきな仕事をさせていただいてありがとうございました。夏になったらバーベキューに呼んでくださいね。食材持参でうかがいますので。

遠くからですけど、ぼくちゃんの成長を楽しみにしています。そして寡黙なご主人と明るい奥様というわが家と似た組み合わせのお2人が、いつまでも仲良く、実り多い人生を送られることを(寡黙に)願っています。


昨日の音楽熱中倶楽部、北原さんがぼくのリクエスト「オール・マイ・ラヴィング」を採用してくださって、感激!しかも、ぼくが送った曲にまつわるエピソードを、まるで講談師のように熱く読んでくださって、感謝感謝です。いつもその放送を新潟で聴いている母からすぐに電話があって「おまえ、なかなかいい文章を書くねえ!あんなに長々と紹介してもらって、北原さんによーくお礼を言っときなさい」と。
どんなエピソードだったのかと言いますと、このブログの2009年3月25日、
「ポール・マッカートニー(小田邸 4)」に書いていますので、ぜひご一読ください。

一曲の音楽でよみがえる記憶ってありますよね。悲しかったとき、、悩んでいたとき、希望に満ちていたとき、熱く燃えていたとき、そういう記憶のインデックスが音楽なんですよね。

PM4:05〜音楽熱中倶楽部

午後4時5分から、NHKラジオ第1放送で、2週に1度の日曜日のお楽しみ、音楽熱中倶楽部があります。
北原照久さんがナビゲートする夕暮れ時の音楽番組。なんとなんと、今日はぼくのリクエストを採用してくださるという情報が入って来ました。ワクワクしています。

休日の夕方、行楽帰りのクルマの中や楽しい夕げの準備の時間に、グッと来る曲とエピソードで、その電波が届いている日本全体が、ひと時シアワセ〜な気持ちになれる番組です。みなさん、ぜひ聴いてみてください。

ぼくは毎回聴きながら思います、「音楽っていいなあ」、そして「北原照久さんって、つくづく、おもしろい生き方をして来た方だなあ」と。
午後4時5分ですよー!

山の人( 小椋邸 31)

夕暮れから夜へ、順に並べてみます。

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マリンライト4灯とブルーのLEDフラットライト2灯です。

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時間とともに変化する庭。この時間帯の撮影は楽しくて、いつも夢中で愛用の大型三脚を移動しながら撮ってます。

DSC_0251

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夜になってもリビングのカーテンを閉めたくないような、夜になったら外に出たくなるような、そんなライティングを施せば、庭の魅力は倍増するのです。
いいでしょ、こんな「夜の庭」があったら。


ご主人と話していたら、ぼくとの共通点がありました。ぼくもご主人も山奥で生まれ育ったということです。ぼくは新潟の魚沼で、ご主人は福島の喜多方です。
で、ご主人もぼくも乾燥肌。冬は痒くなって大変なんですよ。奥様によると、ご主人は風呂上がりに全身に保湿クリームを塗りまくっているとのこと。わかりますそれ。それは山奥育ちのためなんですね。
山は木が多いので湿度が高くて、そのジトジトした環境でできあがった身体ですから、何年経っても冬の横浜の乾燥した空気に順応できません。ぼくも冬は保湿クリームが手放せないのです。

ご主人が山奥育ちの「山の人」だということは、話していて納得。基本的に寡黙で、放っといたら、おそらく一日中ひと言も発しないままだと思います。でも何かのはずみでスイッチが入ると一気に持論を展開し始めるというタイプ。ぼくと同じです。同郷の同級生、渡辺謙もそんな感じでしょ。そうそうあの感じ。あれが「山の人」なのです。渡辺謙も「山の人」。

そんなご主人の出身地、福島は喜多方の山村に、ある日東京から、神田と名乗る大学生がやってきたました。彼は人生に悩み、自殺すら考えていた・・・。明日は小椋さんちの最終日。ご主人から聞いたその青年の話を。


今朝は晴天なのに富士山がモヤっていました。春です。今日は暖かくなりますよー!
こうして山を見るのも「山の人」の習性なんですね。自分の現在地や方向、天気予測、田植えや稲刈りの時期も山に教えてもらいます。
小学生の頃、近所の農家のおじさんがおしえてくれました。

暦がなくても山見てたらわかるて。来週田植えだ。

山に訊きながら暮らす「山の人」、のどかだなあ。
「海の人」はきっと海に訊きながら暮らしているんでしょうねえ。「海の人」にしか聞こえない海からのメッセージってのがあるんじゃないでしょうか。あるのかな、どうなんでしょう?うん、あるんですね。加山雄三さんはいつも海と会話してますからね。

海に訊く、山に訊く、ついこないだ(昭和時代)まで、それは日本人が誰でも持っていた自然と会話する言語能力だったんじゃないかなあって。
春霞の富士山から「
自然と会話する言語能力」に話が転がりました。庭屋としてはこのテーマに引っかからないわけにはいきませんので、次回のシリーズでネチネチやってみることにします。
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