縄文までさかのぼれば、庭は薪を焚いて料理をし、人が集う場所でした。
しかしいつの頃からか、植物を植えて眺めるだけの存在になってしまいました。
炎はDNAに作用する。
バーベキューの炭火にあれほど心躍るのは、その光と熱とうねり上がる炎によって、棟方志功や岡本太郎が憧れた「縄文のエネルギー」が呼び覚まされるからなのでしょう。
すべての人の遺伝子には、今でも太古の炎がくすぶっています。
いいですよね、火焔土器、そして縄文人の暮らし。
ぼくとあなたの祖先は、庭で同じ炎を見つめていたかもしれません。
それどころか同一人物の可能性もあります。
仮に一世代を20年とすると、250世代前が縄文時代。
原生人類が火を使い始めたのは150万年前なので、7万5千世代前ということになります。
そこまでさかのぼってゆくと、ほぼ確実にぼくらのルーツはひとつになって、人類みな兄妹。
ぼくとあの人の血脈はつながっている。あの人も、あの人とも。
夜の庭でこういうことを考えていると、眠ってしまうのが惜しくなります。