7年前の初秋、軽井沢で数日を過ごしました。あこがれの万平ホテルで(宿泊はできなかったのですが)ジョンとヨーコに思いを馳せ、赤城牛の焼き肉を堪能し、My Son 優一朗とニジマス釣りをしたり、鬼押出し、浅間山荘、白糸の滝と、愛車のポンコツハイラックスサーフであっちへ行ったりこっちへ行ったり、下界より一足早い紅葉の高原リゾートを満喫しました。
 地元のジャムを探して、土産物屋の駐車場に車を入れました。駐車場というより雑木林を整備して砂利を敷いただけの場所で、軽井沢らしくクヌギやコナラが点在するところに、木を避けて車を停める、そんな感じです。車を降りるなり、大量のドングリが散らばっているのを発見して大興奮している優一朗を見ながら、ハッと思ったのです、「駐車場は砂利でいいんだ」。その頃、千葉の分譲地の共通外構をプランしていて、駐車場の仕立てをどうするか、ディベロッパーと検討中だったのです。コスト的には土間コンクリートだが、景観的に何とも味気ない、インターロッキングは後々劣化したときの感じがいただけない、レンガは施工に繊細さが必要、天然石は予算オーバー・・・。そんなときだったので、「砂利の駐車場」と思ったわけです。路盤材(クラッシャーランと言って、石を砕いたダストが混ざった砂利で、層としての支持力を持ちます)の上に化粧砂利を敷けば、コストは土間コンクリートの半分ほどだし、建物の色ともコーディネートできる。何よりつるはしで路盤を掘り起こせば木を植えられる。そこに住む家族にいいことがあるたびに木を植えてもらい、やがて大きく育ち、雑木林に車を停める感じになれば、春は新緑、夏は木陰、秋は紅葉、冬は日だまり、車に花びらが積もったり、ドングリが散らばっていたり。なかなかいい感じだと思ったのですが、そのときは却下、実現しませんでした。
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 現在はお客さまと直接検討しながらプランをしていますので、こういうイメージの砂利の駐車場や、さらに進化して、普段はフロントガーデン、来客時は駐車場というスタイルも多く施工しています。駐車場を機能的に車を停めるスペースととらえるか、家族の生活シーンが展開するステージととらえるか、それによって、仕立ては大きく変わってくるのです。あの日の優一朗のはしゃいだ様子(本人は全く覚えていないと思いますが)は私には一生の宝です。駐車場も、イメージひとつで生活空間になるんだということのヒントを与えてくれた優一朗に、いつか、十年後かな、一杯やりながらお礼を言おうと思っています。
 そう言えば『駐車場』を歌った(めずらしい)名曲を思い出しました。小椋佳の『野ざらしの駐車場』です。古いですねえ、30年くらい前の曲です。


野ざらしの駐車場
           作詞 小椋 佳  作曲 星 勝  唄 小椋 佳

腰をおろした切り株 小首かしげた野うさぎ
久しぶりです あぁ ふるさと
砂ぼこり 砂ぼこり 野ざらしの駐車場
これも仕方のないことでしょうか

花ぐしさした少女を 追いかけていたあの日よ
久しぶりです あぁ ふるさと
砂ぼこり 砂ぼこり 野ざらしの駐車場
これが利口というものでしょうか


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ダンスダンスダンス 毎日を楽しみまくっている人たちの世界です。