<内藤さんのケース>
 念願の庭付き一戸建てを手に入れ、ローンの心配をしつつも新居での生活に胸をおどらせるご夫妻。あわただしい引っ越しも終わり、やっと荷物も片付いたころ、まだ手付かずの更地の庭を眺めながらしばし呆然・・・。何から手を付けたらいいんだろう。
 「早く何とかしなくちゃ」と思いながら、どうしたらいいか考えがまとまらずに時間が過ぎて、気がつくと何と庭は雑草のジャングルに。
 1回は雑草取りをしてみたけれどやたら大変でそれっきり。殺伐とした庭はそのまま放置され、やがて庭を見ることが苦痛になってきて、リビングのカーテンは閉まりっぱなしに。
仕事で帰宅の遅いご主人はほとんど庭に興味をなくし、その一方で奥様はストレスを倍加させ、せっかくの新しい生活のイメージは室内だけに限られてしまったのです。

 こういうケースは多々あります。しかも、いったんそうなってしまうと、これがけっこう長くて、3年間そういう状態で生活していたという方もいらっしゃいました。
 私のように庭の設計を生業にしている場合は別として、一般の方にとって庭のプランニングはけっこう取っ掛かりにくいもののようです。さまざまな庭への憧れや庭を舞台にした幼い頃のすてきな思い出もたくさんお持ちで、しかも更地なわけですから、何でもやれそうなのですが、いざ考えると何から始めていいのかわからない。そういう方はまずコンセプトメイクから始めてください。
 コンセプトメイク=概念の構築です。自分で言っておきながら、難しいですよね、何のことやらわかりませんよね。もう少しやさしく言うと、この庭スペースをどう活用していきたいのかをハッキリさせるということです。設計者としてはこのコンセプトメイクがとても重要なプロセスで、しかも単純ではなく、論理的で複雑なパズルとひらめきが必要な知恵の輪を同時にやっているような感じの作業なのです。時に長く辛く、時にはワクワクするような快感を感じながらの作業なのですが、この作業の知恵の輪の部分で『レノン降臨』(別項)があるわけです。複雑なコンセプトメイクは私にお任せいただくくとして、皆様にはもっと簡単な手法をご伝授いたします。

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 うちのお店に『コンセプトメイク』というチェック表を用意しております。どういうものかといいますと、庭でのいろんなシーンが列挙してあり、お客様がご自分の要望、イメージと合致する項目をチェックしていく、そういうものです。つまり、シーンから入るコンセプトメイクというわけです。これをやっていただくと、私が設計しやすいことはもちろんですが、お客様の中に庭のイメージがシーンとして組み立てられていくので、具体的に必要なものや素材選びがとてもスムースに決定されていくのです。
 例えばご主人が『平日、帰宅後に庭でビールを飲む』をチェックしたとします。必要なのはゆったり座れるイス・テーブルと、それを置ける広さのデッキかテラス、ガーデンライト、くつろげるための目隠し、奥様手作りのおつまみメニュー表(有料のお宅もありますよ)・・・となるわけです。『家庭菜園』をチェックしたら、日当たりと水はけのいい場所を確保して、水場(立水栓と洗い場)を近くに設け、作業がしやすく、土を踏まずに日々収穫ができるように通路を作る。あとはコンポスト、ゴーヤやキュウリなどのつる野菜をからめるアーチかパーゴラ、作業道具をしまう木製物置・・・となります。
 このように、まず実現させたいシーンをイメージして、そのシーンに必要なものを揃えていくというやりかたです。こうしてシーンをはっきりさせることで庭の『テーマ』が決まってきます。
 次に『スタイル』です。例えばモダン和風、スパニッシュ、日本の田舎の庭、アジアン・・・。他に、リビングのインテリアに合わせてとか、建物のデザインに合わせてといったこともあります。こうして絞り込まれた『テーマ』と『スタイル』、これが庭のコンセプトとなるわけです。
 どうでしょう、ご理解いただけたでしょうか。せっかくの庭スペースです。じっくりとイメージして、家族の大切な場所、すてきなシーンの舞台をつくっていって下さい。この仕事をはじめて20年、少々乱暴に、誤解を恐れず、あえて言い切っちゃいますが「家族と庭のいい感じは比例するのです」。


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