毎年恒例、六本木にクリスマスの飾り付けをしに行ってきました。軽トラにツリーやオーナメントが入った段ボールを山積みで、まだ明けきらない静かな横浜からGO!
 8時に六本木の交差点に到着。いつもいながらそこは不思議な空間なのでした。まだ騒ぎ足らない若い女性を半ばむりやりにタクシーに押し込んでいるホストや、帰宅前に富士そばで腹ごしらえしている胸元をだらしなく開いた黒服のおにいちゃんなどの“夜の人”たちと、早朝出勤でさっそうと歩くビジネスマン、東洋英和に通ういかにも育ちのいい感じの小学生を学校まで送る、きちっとした出で立ちのお母さま方という“昼の人”とが、まるでお互いが視界に入っていないかのように、微塵も反発したり交錯したりすること無しに、ひとつの雑踏をつくり上げているのです。以前東京で暮らしていたときにはさして違和感を感じなかったこういう風景が、のどなか港南区から出かけて行くとものすごく不思議なことに思えます。
 昼の人も夜の人も、その歩き方はひたすら自分の進行方向だけに意識が行っている感じで、もしこの場で殺人事件や交通事故が起こっても、きっと立ち止まること無くまっすぐに目的地を目指すんじゃないか、そんな気がするほど“かたくな”に周囲をシャットアウトして成立している個人が集まって出来上がっている人混み、そんな感じがするのです。
 そのことの善し悪しを云々することよりも先に、一番気掛かりなのはそこをお母さんと手を繋いで歩いている小学校の子どもたち。日本で有数の名門校に通っているこの子たちに、この風景は何を感じさせ、どういう影響を与えるのだろうかということです。「大丈夫なのかな?」「これでいいのかな?」とどうしてもそう思ってしまうのです。

 でも考えたら大きなお世話で、この辺に住んで、東洋英和に子どもを通わせることができるということは、何の分野であれ相当のエリート。みなさん高い教育を受けて、しつけや子育てに関しても最高を目指している努力家ばかりなのです。よね。・・・まあ私はのどかな港南台で、たくましい雑草を育てますよ。そういえば去年わが家の雑草シオリをここに連れてきたら「ここはどこ?えっ、六本木??わ~、外人がいっぱいいる~!」と騒いでいました。雑草の子は雑草。「シオリよ、君には都会は似合わない。将来は葉山の農家か三浦の漁師の家に嫁いで、よぼよぼになったお父さんとお母さんに海が見える高台に家を建て、毎日新鮮な食事を食べさせて親孝行するのだぞ」

 で、何しにここに来たかといいますと、毎年恒例、クリスマスの飾り付けです。六本木にお住まいの2組のお客さまから“おまかせ”でお受けしています。どちらもすばらしい仕事と華麗な生活を実現されているお宅で、両家ともとてもすてきなご家族です。仕事というよりも、このようなセレブな方々の生活に触れることがとても心地よい刺激になるので、毎年楽しみな作業なのです。

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 これが終わると「さあ、今年もラストスパートだ!」という感じで、でもまあ、一年中スパートしっぱなしなので何が変わるわけではないんですけど。

 帰り道に思ったこと/六本木にいても横浜にいても、北のはてや南の島で暮らしていても、環境がどうであれ、子どもをいい感じで育てたり家族が笑いながらすごすという“家庭”を実現する“強さ”を持ちたいものです。
 その“強さ”は、何となくなんですけど、忍耐力とか経済力ではなくて、精神力。健康ではつらつとした精神とその中心から溢れ出るイマジネーションなんじゃないかなあ。たぶん。



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