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 まるで大工が手斧で削ったように見事な仕上りで木の皮をはいだのは何者なのか。その前に、このようにされた木がどうなるかといいますと、次の写真。

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 皮をはいだ部分から先が枯れてしまいます。
 子どものころ魚沼の山奥で山菜採りをして生計を立てているおじいさんから教わりました。新潟の雑木林には黄蘗(キハダ、キワダとも言います)という木が生えています。木の皮をはぐと内側が鮮やかな黄色で、その木っ端を乾燥させて煎じて飲むと強烈に苦くて、でもそれが胃にいいのです。胸やけは即解消、飲み続ければ胃かいようも治るといいます。ひ弱で病弱だったいわふち少年はよくそれを飲まされていました。そのキワダの皮をはぐときに、幹のぐるりをはいではいけないというのです。おじいさん曰く、木は皮のすぐ内側で水を吸い上げているので、ぐるりをむいてしまったらすぐに枯れてしまうのだそうです。皮は幹の片面だけを縦長にはぐ。そうすれば木は枯れないし、はいだ部分もいつのまにか回復するのだと教えられました。こうしてみると、全くその通りです。こんなむき方をしたらその木はもうおしまいです。

 ではクイズの答を。犯人はこいつです。

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 リス。台湾リスだそうです。円海山から鎌倉にかけて、山道を少し歩けば必ず見かけるほど数が増えています。このリス、昔からここにいたわけではなくて、ペットとして買われていたのが逃げたか放されたかして、それが野生化して、天敵がいなくてドングリが豊富なこの森で爆発的に増えたのだといいます。リスの他に、アライグマとハクビシンがそういうパターンで野生化しています。アライグマは山沿いのお客さまから「池の鯉をやられた」とう話を何度か聞きましたし、ハクビシンには遭遇したことがあります。
 木の皮をむいて枯らしてしまう犯人はこいつなんですが、どうにもかわいらしくて“悪者感”が持てません。山歩きを楽しんでいる人たちにとっても“かわいい森の住人”という感じで、エサを持ち歩いて餌付けを試みている人もいます。
 かわいいから許してやろうというわけではありませんけど、直接的にはリスが犯人だとしても、元をたどればそのリスを放してしまった住人、我々人間が真犯人だと思うのです。さらに言えば、リスが紛れ込んだくらいでバランスが崩れてしまうほど自然を弱くしてしまった人間がいけないのです。もっと厚みのある、力強い環境なら、リスくらいで生態系が崩れることはありません。これはかつて新潟と長野の山を歩きまわった“昔山男”の実感です。本来の自然は人間すらはねつけて立ち入らせない強靭さと深さを持っているものです。経済活動優先で開発を進めながら、自分達の勝手な尺度で保護地域を決めて“自然保護”だと言っていますが、その保護している範囲があまりに狭いためにその自然に厚みが無い。だから自らバランスを保ったり傷を回復させるというような力が乏しいのです。
 とは言っても、現状この保護地区には感謝していますし、できることなら少しずつでもこのプチネイチャーに体力を付けて厚みを増して、そんなことのお手伝いができればと思っています。

 で、前にも書きましたが、円海山の麓の谷戸で持ち上がっている開発計画の話。先日もお客さまのお宅でその話題になって、“絶対反対!”で意見がまとまり大盛り上がりしたのですが、反対と言うよりナンセンスなのです。何で今自然を削ってまでマンションやショッピングモールをつくる必要があるのか、全く理解できません。そのお客さまに教えていただいたのですが、計画地には貝塚や古墳があるのだそうです。つまり縄文時代からここは住みやすい場所で、この自然は永々とこの辺りに暮らす人たちの生活を潤し、人々はその自然を大切に守りながら暮らしてきたということです。それを、麻薬中毒者みたいに経済活動優先で谷戸をつぶして木を切って、山肌を切り崩して・・・。天罰が下りますよ。開発を進めている人ではなくてその子どもや孫に。

 円海山の台湾リスから自然保護活動家みたいな話に展開してしまいましたが、皆様どう思います?


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