亡くなられたお父様がコレクションしていた壷を庭に置きました。

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 そして、二階の仏間から見た庭がこれです。ご主人お気に入りの眺めだそうです。ここからの風景を意識して、仕立てを“和風に”というご要望だったわけです。

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 永六輔さんの言葉、「人は二度死にます。一度目は生物的な死で、二度目は今生きている人の記憶からあなたが消え去ったときです」
 私は四十二の厄年を過ぎた頃から、やたらと亡くなった人たちのことを思い出すようになりました。日に何度も、思考の中にその人たちが登場してきて、励ましてくれたり、「それでいいんだよ」と応援してくれたり、何でもないような世間話をしていったり。5年前に他界した祖父母や、小さい頃から私をかわいがってくれた近所のおじいちゃんとおばあちゃん。昔一緒に汗を流した職人さんたち(農家のおじいちゃんが多かったので、何人かはすでに他界しています)。母方の祖父母も時々出てきてくれて、けっこうにぎやかです。そしてみなさん、一様にこう言います。
「生きてるうちにがんばりなさい。生きてるうちに楽しみなさい。生きてるうちに他人様の役に立って、その姿を子供たちに見せなさい。それが娑婆の務めだよ」

 祈りは今日を生きる決意なのです。・・・いやぁ何だか今日はにわか坊主の寅さんが説法しているみたいな感じになってしましました。とにかく、生きてるもんががんばりましょう。亡くなった人たちをたくさん思い出しながら、その方々にたくさんの決意表明をしながら。


 で、若いご夫婦への庭ばなしに移ります。
 新米夫婦が故の喧嘩や育児の大変さのほかに、もうひとつ、くれぐれも注意すべき局面が“新築”です。家を建てるなんて、夢のように楽しくエキサイティングな家族のイベントだと思っていませんか。本来そうあるべきなんですけど現実はそうじゃないことの方が多いようです。
 最初、住宅展示場を歩いているときは夢のかたまりです。でも話が進んで契約、地鎮祭、建築工事、コーディネーターとの打ち合わせ、引っ越しの段取り、立て替えの場合は仮住まいの契約も必要です。どんどん夢はしぼんで、その分疲労とストレスが膨らんでくるものです。ストレス指数で考えても“多額の借金をする” 、“生活環境が変わる”、“責任を伴う判断を迫られる”などの項目がいっぺんに起こるわけでして、トータルで考えたらその数値は精神的な健康を害するのに十分なものなのです。仕事柄、一年中新築で疲れ果てている奥様に出会います。顔色が悪くて笑顔が無くて、たいがいそういうときは夫婦喧嘩も併発しているので、さらにそこに育児のストレスが加われば、もうこの世の終わりのような最悪な状態です。そんなケースも何度もありました。
 そして、新築ですから庭や外構の話になるのですが、うちに来られたお客さまは大丈夫。新築でしぼんでいった夢を復活させるようなデザイン作業ですので、庭が完成する頃には別人のように明るい笑顔の奥様に戻っています。たいがいはそうなっていただけるし、それがこちらのひとつの楽しみでもあるのです。でもあまりに疲れが激しそうな場合は、「外構なんて表札とポストとインターホンがあればいいんです。そんなの仮設で作って、アプローチや駐車場は砂利を敷いておけばいいじゃないですか。庭なんて後でいいですよ。庭が手つかずでも生活に何の支障もありません。引っ越しの段ボールが全部片付いて、しばらく生活してみてからイメージしましょうよ」とお話しして、設計を先延ばしにします。まずはのんびりとからだを休めて、疲労もストレスもゼロにすることです。
 ここまででお気付きでしょうか、新築で疲れ果てるのはほぼ100%奥様の方です。それも専業主婦の奥様が断然多い。共働きの場合はお互いに気遣っていたり、忙しくてあまり家のことにのめり込めないのが幸いしているのでしょうか。専業主婦の場合はどうしても奥様が担当みたいな感じになってしまって、ご主人は夢を語り、奥様は現実と戦う、そうなってしまうようです。
 これから家を建てようと考えているご夫婦に。ご主人は、奥様だけに負担がいかないよう気をつけて下さい。奥様はできるだけ楽に、コーディネートは引っ越しは全部プロにおまかせみたいな感じで。何よりも、新居での生活がスタートするその日まで夢がしぼまないように、ますます夢が膨らんでいくような、そんな新築を実現して下さい。そして、外構と庭は・・・、ご来店お待ちしております。


 明日は終日、デザイナーズ協会の総会と懇親会なのでブログはお休みします。またあさってお会いしましょう。



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 走る走る走る