
テラスからバーベキューコーナーまで、40センチの高低差を緩やかにおりるスロープでつないであります。

このスロープはやや足が弱ってきたお父様を気づかったご主人からの要望でした。

庭や外構で「将来車椅子になっても大丈夫なように」ということでスロープにしたいというお話が年に何度かあります。「老後の車いすの心配までしている人はまず車椅子生活にはなりませんよ」と答えるのですが、それでも、という場合にはスロープの設計をします。でもこれがなかなか厄介で、一般的にイメージしているより緩やかでないといけません。5%(1メートルで5センチの坂道)くらい。勾配が10%以上になったら、老老介護の場合はとてもじゃないけど車椅子を押して上がれませんし、下りはさらに大変で危険でもあります。ということはつまり、長いアプローチが必要になるわけです。例えば宅盤が道路から50センチ上がっている場合は、玄関ポーチが宅盤から30センチ上がっていれば計80センチの高低差。5%だと16メートルのアプローチが必要になります。・・・たいがいは無理ですよね。前庭がある場合は庭を通って玄関ポーチに至る坂道にしたり、日光のいろは坂みたいにしたり、いろいろと工夫していますけど、無理な時は無理ですと説明します。危険なアプローチをつくるわけにはいきませんから。
でも今回は庭が広かったので問題無しでした。
ついでに、スロープの外側にある木製パネルの説明を。

これは目隠しではありません。植物を絡めてもいいですけど、それが目的でもありません。ご両親が過ごす和室から外を見たときにお隣の間知ブロックがドドーンを迫って来るので、それを緩和させるために設置しました。
庭全体を考えたときにもここにパネルがあることで空間構成がしっかりします。数日前の庭の全景写真をご覧いただくと、その効果を感じていただけると思います。