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デザインについて解説するときに欠かせない事柄として『黄金分割(黄金比)』があります。少々難解かもしれませんけど、美術の授業で一度は習っているはずですから、ここでおさらいしておきましょう。


黄金分割の解説はこれまで何度か、セミナーや講演で話してきました。以前ガーデンデザイン教室でお話しするために書いた原稿がありますので、(手抜きですが)それを転記します。かなり長いため三日間に分けてアップしますので、内容も専門的だし退屈かもしれませんけど、少し辛抱しておつきあい下さい。最後はデザインの話から離れて黄金分割の概念を日常にどう活かすか、というような内容になっています。では第一日目を始めます。

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『黄金分割のはなし』

名刺、画用紙、写真、テレビ画面はなぜ正方形でなく長方形なのか、そんなことを考えたことあるでしょうか。私は小学生のころからそういったことがやたら引っ掛かる思考僻がありまして、これに限らず、あらゆる些細なことが次から次に一日中頭を支配していました。はた目にはただボーッとしているように見えたらしいのですが、本人としては宇宙空間のような無限の世界を浮遊しながら、重箱の隅のカスをかき出しては口に入れることが楽しくてしょうがない、そんな日常だったのです。で、なぜ長方形なのかという疑問が解けたのが中学生になってから、美術の授業ででした。皆さんもたぶん習ったはずなのですが、おそらくは忘れてしまっているでしょう。『黄金分割』です。話の前段としてまずは授業の復習です。

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時は遥かさかのぼって、15世紀ころのイタリア。ルネッサンスという文芸復興ムーブメントがありました。それは、古代ギリシャ・ローマ時代の文化を復興することで失われた人間性を復活させようという考え方だったといいます。ダビンチやミケランジェロやラファエロがそのころの芸術家です。その当時、ダビンチが芸術家であると同時に、偉大な科学者であり発明家でもあったように、科学と美術が同じフィールドで語られていたようで、美しさを科学で解明しようという試みがなされていました。右脳で感じる快感を左脳で説明しようとしたわけです。美しい彫像を作るために人体を解剖して内臓の配置や筋肉の構成を探ってはスケッチしました。平面の中に空間を生み出すための遠近法が確立されたのもこのころでした。その流れで、人が心地よい、美しいと感じる比率が研究され導きだされた割合、それが『黄金分割』なのです。1対1.618、コピー用紙や写真屋さんのプリント写真の縦横がほぼこの比率です。
つづく。