パソコンの調子が悪くて数日間アップしないままでした。毎日開いてくださっているみなさま失礼いたしました。

昭和の庭からのガーデンリフォームです。昭和と今とで庭は、庭に持たせようとする価値はどう変わったかといいますと、『眺める庭、見せる庭、趣を味わう庭』から『家族が過ごす場所』へという変化です。実際昭和時代の私がかき集めて吸収していた庭知識はそういうもので、その庭が見る人、そこの立つ人にどういう感じを与えるかということが、作庭者に課せられた課題であり、100年経っても色あせないインスピレーションを内包した庭、そういったことが庭の価値と捉えていました。
で、今は、『そこに暮らす家族が幸せになるための場所』と考えています。とってもシンプルなこの考えに辿り着いてから、私の中のいろんなことや思いの整理がついて、それまでに吸収して未整理のままほったらかしておいた庭に関する知識や技術、庭以外の経験まで含めた全てがおもしろいように庭づくりに活かせています。この話、明日に続きます。


では本間さんちのプラン、左側から、ガーデニングゾーン、ウッドデッキ、バーベキューテラス、畑、という構成です。

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バーベキューテラスとウッドデッキ、両方とも過ごす場所で要素がだぶっていてもったいない、他にも実現したい庭イメージがあるということだったのでしょう、ご主人から 「ウッドデッキではなくて芝生にしたい」というご希望。さすがです、その場所はいい感じの昭和レトロな広縁の外で、その縁側を生かすためにはウッドデッキじゃだめですよね、そこに思いが至らなかった自分を責めつつ、即変更してデッキは中止で芝生広場になりました。

そうなると庭の中心として際立ってくるのがバーベキューテラスです。ポイントは場の背景にある壁で、そのお大きさ、高さ、形状をどうするか、何種類かのラフプランをつくってイメージしてみた結果が次のプランです。

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見晴しが良く海からの心地よい風を満喫できるこの場所の利点を壊さない、それを意識しながらできあがったデザインですが、実際にブロックを積んでいる段階で設計よりも一段低くすることになりました。お客さまが部屋から外を眺めたときにその方がしっくりくるということでしたので。大事なんですよねえこういうことって、図面上では吟味しきれない微妙な部分を調整していくひと手間。ブロック一段で20センチです。壁が20センチ高いか低いかで場の印象は大きく変わってきます。妥協しないでしっくりくる高さをイメージしたお客さまの熱意といいますか、この庭への期待度の高さを感じてうれしくなった出来事でした。

イメージを組み立ててご提案するのは私の仕事ですが、私とお客さまのイマジネーション、理想とする完成形は必ずしも一致していませんので、それをすりあわせていくこと、そして実際に出来上がる段階で『正解』を確認していく作業、時にはやり直しも発生しますけど、つくり手としてはエキサイティングな時間です。