現地を拝見して最初にグッときたのが玄関前の黄色い壁でした。黄色って私も大好きな色なんですが、使い方がなかなか難しくて、ほんの少し照度が強くてもどぎつくなってしまうし、あまり弱くすると黄ばんだTシャツみたいなへたった印象になってしまいます。みなさんも街のあちこちで黄色の失敗例を目にしていることと思います。その点、こちらの黄色はバッチリで、「これこれ、こういう風に使うんだよ!」とわが意を得たりという感じで嬉しさがこみ上げて来たのです。
そこで考えたのが、この黄色を他の部分にも使おうということ。ちょっと冒険的な思いつきで、もし失敗したらせっかく好印象の黄色い壁を台無しにしてしまうかもしれない・・・、そう思うと躊躇してしまう、かと思うと全く逆で、もうやってみたくてしかたない。
黄色い構造物をどこに使うのか、まず考えたのがリビング外の目隠し壁。ということで、最初にこの黄色ありきでスタートした設計です。

玄関先の壁と同じ黄色を使ったリビング前の目隠し、これで家全体の中での黄色が『ワンポイント』から『テーマカラー』に変化しました。きっとこの家の設計士さんも納得してくれるのではと・・・。後付けで一方的な建築とのコラボレーション、後だしじゃんけんですけど勝ちは勝ちって感じです。

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さらに建物との一体感、全体の統一感を狙って、白く塗った木製トレリスを3か所に使っています。なぜ白なのかというと建物のサッシが白だからです。白には白、単純なことですがこれが大事で、韻を踏むようにこういったことを積み上げて行くことで、荒れた感じ、暴れたデザインになることを防げるのです。

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意匠的な構成でいうともう一点ポイントがありまして、船の先っちょのように突き出た庭スペース、その先端に植えた木です。もしここに木が無かったらとイメージしてみて下さい、間が抜けるでしょ。もうここしかない、という位置なのです。少しでも左右どちらかにずれたら、あるいは庭の中に入っていたら、意味が違ってきてしまう。庭の三角形の頂点に植えることで三角を立体的に際立たせて、同じく三角に出ている黄色い壁の立体的なボリュームと、同等の厚みを持った三角の庭空間を絡ませたかった、厚みを持った大きな三角ふたつが重なって、道路に向かってツインピークスを形成している、そういうふうに見せることで家のデザインが持つ魅力というかデザイン的な狙いが何倍にも増幅される、そう考えたわけです。木を1本植えるだけでグッと建物が大きく見え魅力が倍増、住宅外構の植栽計画で意識したいことです。

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アァ理屈っぽい。暑いのにこんな話で申し訳ありません。明日はこの木を含めた3本の木についてさらに理屈を。

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