今考えると突飛でわけわからない手紙を大量に発送し、その反応はというと、翌日ありました。ビッグサム宮前平店の店長である高瀬さんから電話がありまして「お手紙拝見しました。こういう人を探していたんです。これからそちらにうかがってもよろしいでしょうか」。その日は台風直撃の暴風雨で、さすがに「今日は無理でしょう。台風が過ぎたら明日にでも私がそちらにうかがいますので」と言ったのですが「すぐに行動することが私の主義なのでとにかくこれから行きます」という返事。数時間後、全身びしょ濡れになった高瀬店長がやってきました。タオルを出してコーヒーわかして、その後は庭のことやホームセンターの社会的な役割だとか、それぞれの家族のこと、お客様とのエピソードなど、数時間に及ぶ熱いトークで盛り上がりました。そして高瀬店長は「いやあ楽しかったあ、じゃまた」と言って帰っていきました。暴風雨の中びしょ濡れでやってきて、熱く語ってさっと消えるという印象的な出会い、でも考えたら具体的に今後どう関わっていくとか、何の仕事をするとか、そういう話は一切なしでした。それでも私の中には何ともいえないうれしさがあって、後で妻にそのことを話すと「変り者は変り者を引き寄せるのよ」。
その後いろいろな運命的な出会いと紆余曲折を経て、気がつけばビッグサム港南台店で店を構えることとなったのです。

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つまり島忠ホームズ中野店での一瞬のひらめきから始まった奇跡のような運命のうねりに乗って今のグレースランド、今の私の仕事と生活があるわけです。「ホームズに来ている笑顔あふれる家族連れのさらなる幸せのお手伝いができないだろうか」ということから始まった私の思考は『庭は家族が幸せになるための場所』というシンプルで結論めいたコンセプトに行き着き、その思いは港南台で庭をつくるほどに強くなって、今では揺らぐ余地のない信念みたいになっています。そのホームズからのお誘い、一も二もなく引き受けたというわけです。そして思いました「漠然と願っていることってある日突然現実化するんだなあ」。イメージできたらできたも同然、といつも言っていますが、もう少し掘り下げて解説すると(私の場合ですけど)イメージはぼんやりでいいから絶対にそれを消さないこと、これがイメージ実現のこつなのです。目標を設定してそこに突き進むというような企業の社員教育セミナーみたいな強烈な感じじゃなくて、何となく、ぼんやりと、柔らかい願いみたいなこと、振り返るとそういう感じの思考は全て実現しています。これホント。
話はそれますけど、「イメージできたらできたも同然」はいつもお客様と一緒に庭を考えるときに話すことです。お客様の中には庭に対する漠然としたご要望やあまりシルエットのハッキリしないイメージがあれば大丈夫。あとは私がそれを具現化していきますので。理屈を組み立てて、寸法や色や質感を吟味して、あなたの中の柔らかいイメージを現実の形にする、それが私の仕事だからです。つまりこうです。私は常にいくつかの柔らかい漠然としたイメージを暖め続けていて、それはある日突然現実化すして人生はますます楽しくなる。日々やっている仕事は、お客様がお持ちのイメージを専門的な力技で速攻現実化すること。そしてお客様の人生はますます実り多く楽しいものになる。どうです、イメージとの付き合い方っておもしろいんですよ。
話戻して、8年前にホームズから始まったすばらしい展開、今考えるとそこがもしホームズでなく他のホームセンターだったらこうはならなかっただろうなあと思っています。明日はそのことを。