ここんところ北原照久さんから何度もコメントいただきまして、ありがたいやらうれしいやらです。ほんと不思議な方で、私の中の(かすかな)いい部分を引っぱり出してくださいます。おかげさまでここ数日、設計も順調ですし、グングンといろんなことへのイマジネーションがわき上がっています。
で、今日いただいたコメントに返事を書き始めたんですが、文字数が多くて送れないというエラーが出てしまいました。それならと、本編でお返事することにしました。皆様にはいきなりですから、前ふりとして北原さんからのコメントを。

聞いてくれてありがとう。セザンヌ主義、ぜひ見に行ってくださいね。言葉には力がありますね。なにかいい言葉があったら教えてください。「凡事徹底」平凡なことをしっかりやる。小さなことが出来なければ大きなことは出来ない。

ブリキのおもちゃの蒐集家として有名な北原さんですが、実はおもちゃ以外にも膨大な量のコレクションをお持ちだそうで、それにとどまらず『言葉のコレクション』もされているのだそうです。私の持ってる言葉などがそういうことのお役に立てるとはとても思いませんけど、言葉の持つ力という点は日頃私も感じていることなので、私の口癖、常連さんにはおなじみなあのフレーズについて書いてみたいと思います。

北原さんへ
わたしがほぼ毎日頭に浮かべている言葉があります。『イメージできたらできたも同然』です。
中学一年の春休み、私はカーペンターズのLPが欲しかった。学校帰りにレコード店に立ち寄ってはそれを手に取って眺めていました。でもその頃は小遣いも少なくて、とてもじゃないけど2枚組のそのLPレコードは買えない。判断としては買うのをあきらめましたが頭の中には『カーペンターズのLP』が『欲しいもの』から『いいなああれ』というあこがれに変わってしまい込まれていました。不思議なことが起こりました。一年後、ふと気がつくと私の部屋にはそのLPレコードがありました。お年玉やらなにやらでいつのまにかお金に余裕ができて、「あぁ、これが欲しかったんだ」というような感慨もないままにそれを購入していたのです。それは目標を定めてそれを達成するなどというきちっとしたことではなくて、何となく「欲しいなあ」と思っていたことが、一切のそれに向けての努力なしに、気がついたら手に入っているという体験でした。その変な成功体験みたいな出来事が後年ずっと頭にありまして、欲しいものややりたいことが出てくると「何となくそう思っていれば必ずそうなる」と考えるようになっていました。何となく、力まないで、柔らかく、でも絶対消さないで思っていること。私、そうとうな紆余曲折、波乱に満ちたここまでの人生でしたがその『何となく思い続ける作戦』は生活の全ての面でそこそこ功をそうしてきたように思います。
それが45歳を過ぎた頃から少し変わってきました。庭を楽しもう、生活をもっと楽しもうとするお客樣方との出会いを繰り返すうち、尊敬に値するすばらしい人生を組み立てていらっしゃるそういうお客樣方の生活ぶりの中に、私よりももっと積極的な何かを感じたからです。『なんとなく』から一歩進めて『積極的にイメージを鮮明にしていく』。我ながらづいぶん遠回りといいますか気づきが遅いといいますか・・・。思考がそうなってからは設計が変わりました。ものすごくお客様が喜んでくださるようになった。私が設計する庭で感動を味わってくださる人も多くなりました。北原さんと同じ『熱しやすく冷めにくい』性格は変えようもありませんけど、冷めにくさに漫然とせずに火力を強めて熱々にしていく、何となくじゃなくて、ちゃんとイメージしてそれを具体的に育てていく、そういう思考で設計作業も生活もするように変化してきたのです。そして自分にもお客様にもよくいう言葉、それが『イメージできたらできたも同然』

ただし、これは根拠のない私の勘みたいなことですけど、(私の場合)ベースは『何となく』から外さない方がいいような気がしています。何ひとつそれに向った努力をしないのに手に入ったカーペンターズのLP、あの不思議体験にプラスαくらいの積極性。努力というよりは持続力、力まずに継続すること。バランスなんだと思うのです。そうそうサーフボードに立って波のパワーを支配できている時のあのバランス。力んだり足下見ていたらあっという間に沈しますよね。リラックスして視線は必ず進行方向を向く。私はサーフィンじゃなくて材木座でウインドですけど、この感じは同じです。自転車もスキーもサーフィンもウインドも同じ、力んでいるうちは乗れませんよね。

『イメージできたらできたも同然』、設計している時もお客様やスタッフと話す時も何度も浮かぶ言葉です。元ネタは、もちろん『イマジン』、想像してごらん・・・。
一年前の忘年会で職人さんやスタッフに向って「来年は店を増やします。場所も資金もまったくあてがないけど、でももっとたくさんの出会いが欲しいからそうしたいと思っています。店の名前だけはもう決まっていまして『レノンの庭』です。ロゴもつくりました、これです」。皆さん一様に「また始まったよ。ちょっと酔いが早いんじゃないの」てな具合で、ギャグとして受け取っていたようです。私も半分はギャグのつもりだったんですけど。でも、たった3ヶ月後、出会い頭みたいな偶然が重なって『レノンの庭』はオープンしました。運命がコロコロと転がって、出したいという気持よりも出さなくてはいけなくなって出したという感じ。これですよこれ、この感じ。そして今、その店での新たなすばらしいお客樣方との出会いで、仕事的にはてんてこ舞いですけど、うれしくありがたい毎日なのです。
『イメージできたらできたも同然』。

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『レノンの庭』、忘年会でのギャグみたいな宣言から誕生した店なのです。

そうそう、もうひとつ思い出しました、私を元気づけてくれる言葉。中2の息子優一朗が言ってたこと。「バッターボックスに立ったら、振らなきゃ絶対当たらないよ」。深イイ~!