旗竿型宅地なので、アプローチの入口に何かしら奥にある家の存在を示す何かが必要です。そしてその何かがこの家の第一印象になる。今回は思い切って大きめな塀を立てました。そこに表札とインターホンを設置。機能的にいえばこんなに大きな塀じゃなくても、インターホンがセットされた機能門柱で事足りるのですが、余白も含めたこのくらいの大きさがあると、「きっとありきたりな家じゃなさそうだ」とか。「きっと楽しい方が住んでいるんだろうなあ」、そんな感じを与えられるのではないかと。どうもあの機能門柱が好きになれなくて・・・、まああそれはまた別の機会にするとして、塀の形も表札をセンターとしたかまぼこ型で家方向に向かって意識を誘うように伸びていくようにしました。

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表札はアイアンの文字表札。通路の反対側の植え込みに隠したスポットライトで、夜はこれがライトアップされます。

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設計ではこのレンガ通路、直線部分のセンターに芝生を入れてありましたが、「シンプルな方がいいかな」というこになりまして、このようにゆったりしたレンガ道になりました。秋のレンガ道、ギルバート・オサリバンの『グッバイ・イエロー・ブリック・ロード』が聞こえてきそうです(ちょっと強引ですね)。

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でもまあ気分いいでしょうねえ、お出かけから帰って来たらこのレンガ道を通って家に入るんですから。

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レンガ道はそのゆったりした幅のままで玄関へとつながっています。

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いいないいな、あらためて見るとこの直線と曲線の貼り分けのアイデア。ほんといい効果を出しています、と自画自賛。

スロープの途中に木工フェンス。これは目隠しというより立体構成のために設置しました。

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この長い坂道を歩きながらひとつの世界感を味わっていただきたいという狙いからです。ひとは自分より背の高いものに囲まれた時にようやく空間をひとつの世界として認識するものなのです。

これって茶道でいう結界、神社の鳥居も同じことで、そこをくぐることで別の世界に入ったという認識が得られるのです。・・・木の塀ひとつで世界感だの結界だのとうるさいですよね。こんな性格でほんとすいません。