うちに設計依頼してくださった時から、すでにご主人の中には庭のイメージが出来上がっていました。『芝生と雑木林の庭』。パンフレットか何かの写真を見せてくださいまして、それはとてもナチュラルで、落ち着いた雰囲気の庭風景で、その庭を眺めながらの、ゆったりと充実したリビングでの時間が連想されるものでした。
ご要望なのでもちろんその写真を参考にしてプランニングを始めましたが、現地の様子から「こりゃあ芝生は無理があるなあ」と判断。お向かいとこちらの両方の家が結構背が高く接近しているので日照が足りないと思ったのです。何とか枯れずに生息する程度は大丈夫なんですけど、せっかく芝生の手入れに手間かけるわけですからベストな結果が得られない提案はできません。で、『芝生と雑木林の庭』ではなくて『雑木林・自然景(自然を感じる風景)の庭』を提案。ご主人にも納得していただけました。

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ガーデンデザイン的にはこういうのがオーソドックスなんでしょうけど、考えたら久しぶりの庭っぽい庭の設計で、何とも楽しい時間でした。設計しながら自分の縮尺を図面のサイズにスケールダウンして、自らその仮想庭を歩いたりしゃがんだりするといういつもの空想行動。風を感じ四季折々をワープしながら庭を行ったり来たり。描き上げるまでに何往復もします。
この独りイリュージョンみたいな空想行動のことは、どのように説明してもなかなか伝わらないと思うので、残念に思っています。楽しいんですよこれが。設計者の特権というか、これができないとおそらく庭を設計することはできない、設計のプロセスでも重要な部分なのです。
ちょっとはなしずれますけど、この設計に必要な『空想行動』について思い出したことがありましたのでそれを。先日購入した安藤忠雄の自伝を読んでいたら、最初にラフスケッチを描き始める時点でこれから設計を組み立てていくその場所(空想世界)に安藤忠雄が悠然とたたずんでいて、建物の形以前にその場所の風や光や空気を感じていることがわかりました、やっぱりそうかと。地形や地質までなら建築家なら当然把握するでしょけど、それにとどまらなくて、その土地に堆積した歴史というか情念みたいなことまで見極めようとする。安藤忠雄の凄みはそこなんじゃないかと。生活する空間を創造する建築家でありながら、最初にやることはコンセプトメイクでもゾーニングでもなくて、自然を感じる、磁場というかオーラというか。北大路欣也(ホワイト家族のおとうさん)が昔やった空海みたいなイメージです。荒れ狂う海原に向って悠然と立っている感じ。そう、空海流に言うなら「自然を感じようとするな!己が自然になれー!!」。
いやはや、はなしが逸れてもとに戻れなくなってしまいましたので、今日はここでお開きにします。


 
 
『きのうの続きのつづき』、渡邊美樹さんの最終回、いやあ楽しかった。
屋久島を撮っているカメラマンから言われた「屋久島に行かない人はそれだけの人生だ」という言葉で「そんなにすごいのか、一度行ってみるか」と。で、行ったらいきなりはまって、屋久島に家を建てて、毎月屋久島に行っては宮之浦岳に登っているという渡邊さん。

ストレス解消じゃないんですよ。ふだんストレスなんて全然ない、遊んでいるようにしごとしているから。でも疲れがたまってるのかなあ・・・

宮之浦岳に登るために週2回トレーニングをしています。そこに登ると決めていれば暴飲暴食なんて絶対にしない。

さらなる夢ですか、・・・100年先を見据えて死ぬまで頑張ろうと。100年後に地球上で一番「ありがとう」を集める会社にしたい。100年後から見たら売り上げとかそういうことではなくて、その企業の本質だけが問われるんです。

そういうはなしに北原さんが合の手を入れる。

自然と共存共栄。佐島の家でペットボトルや缶を拾っているんです。ゆるせないんですよ。

からだの健康、こころの健康。

渡邊さんはいつも笑顔。

流れるような絶妙の掛け合いで、あっという間に楽しい時間が過ぎました。

お二人を引き合わせたキーマンがイラストレーターのかげさんだそうです。かげさん、わたし知らなかったんで検索してみました。いい感じ、いい感じ。夏休みの空気感を持った作品をつくる人でした。『ボクの夏休み』のボクくんが成長してイラルトレーターになったみたいな。世の中おもしろい人がいっぱいいますねえ。
てなわけで、今日も張り切って設計設計!