北原照久さんは『夢実現の伝道師』であると書きましたが、ついこないだ、庭の打合せでおじゃました隅野さんというお客様から、夢実現のちょっといい話を聞きましたので、それをご紹介します。

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隅野さんご夫婦には6年生と1歳の女の子がいて、家族4人、新築の家で笑顔いっぱいで暮らしています。その6年生のお姉ちゃんがまだ小さくて、いろいろとおしゃべりができるようになったなったばかりのころに、「私にはね、3つの夢があるの。大きなクルマとね、赤ちゃん(妹か弟)とね、家」。無邪気な女の子の夢物語、空想の世界だったんでしょう。それを聞いたご夫婦はとても困ってしまったそうです。そのころ仕事も不安定で経済的にとても苦労していたそうで、大きなクルマとか、まして一軒家などそれこそ夢のまた夢。奥さんは「どうやってこの子を傷つけないようにあきらめさせようか」と考えていたそうです。

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でもまあ子供の言ってることだからそのうち忘れてしまうだろう、と思いきや、お姉ちゃんはいつまでたってもその3つの夢をニコニコ笑いながら言い続けていたそうで、ついにご主人は仕事をがんばって大きなクルマを買いました。そしてめでたく奥様がご懐妊、お姉ちゃんの望み通りにかわいい妹が生まれました。これで夢が2つかなったわけです。

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残るは一軒家。「大きなクルマと赤ちゃんはがんばってかなえられたけど、さすがにこれは無理だなあ」というのがご夫婦の気持。でもお姉ちゃんはそんなことおかまいなしで友達の家に行ってもおままごと感覚で、楽しく夢を語り続けていたそうです。
するとある日、お友達のお母さんが「家を建てるのって案外簡単なのよ」と融資の受け方や住宅メーカーとの話の進め方を教えにきてくれたそうです。そうこうしているうちに身内でスポンサーが出現し、新築一戸建てが徐々に現実味を帯びてきて、あとは目に見えない流れに乗るように、とうとう実現してしまったのです。

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いい話でしょう。幼い女の子が無邪気に夢を語り続けたこと(北原さんの説く『ツキの10ヶ条』に合致します)で、ご両親には最初イメージすることすらできなかったすばらしい今の生活が実現した。子供の無邪気な夢とご両親の子供への愛情が運を呼び込んだんですよね。「私にはね、3つの夢があるの。大きなクルマとね、赤ちゃんとね、家」。
隅野さん一家を幸福な暮らしに導いたそのお姉ちゃんは、この春から中学生です。とっても聡明な感じで、「将来、この幸運の女神のハートを射止めるのはどんな男性なのかなあ」なんてこと思わせるようなレディーになりつつあります。妹さんはひたすら笑顔で、ちょっとだけ日本語が話せるようになっています。彼女がおしゃべり上手になったときにどんな夢を語り出すのか、私は楽しみで仕方ありませんけど、ご夫婦は「今度はいったい何を言い出すんだろうか」とハラハラしているかもしれません。

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夢の実現っていいですよね。北原さんもきっと、自分の夢実現だけじゃあもの足りないほど人の夢実現を目撃することが楽しいんでしょうね。それと夢に向ってがんばっている人の姿。そういう人っていいですよ、ほんと。応援したくなります。
考えたら私の仕事はそれなんですよ、夢を応援すること。一人でも多くの人、一組でも多くの家族が、私のつくる庭で幸せを感じてほしい。もっともっと、めまいがするくらい幸せな人生を築き上げていってほしい。あぁ、この家みたいな『気』を放つ庭が理想だなあ、誰でも絶対に幸せになれるような。

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北原さんが、VANの創立者であり昭和のファッションをリードした故、石津健介さんから「家は大事だよ。家は人を育てるからね」と言われたことがあったそうです。私の場合は「庭は大事ですよ。庭は家族を育てます」。誰かの人生の夢実現にかかわれるとうことの楽しさ、うれしさを感じていて、そのことが日々の仕事の原動力になっています。
『海を庭にしてしまった家』、この家がどう北原さんに影響を与えて、そしてこの家によって北原照久という人がどのように育てられたのか、そこにはきっと大きなドラマがあるはずです。そういう「家と人生」とか「家と家族」とか「家庭」とか、そんなテーマで本を書いてくださったらうれしいなあ。きっと日本中の家族の、幸せな暮らしを実現するなるための手引書みたいな本になるんじゃないかなあと思います。
この家はもしかしたら、5代目オーナーの北原さんに巡り会って、今が一番輝いているんじゃないかなあ。パーゴラの下のあの大谷石は、建てたときよりも今の方が数十倍いい味出していると思うのです。積み重ねられた90年分のエネルギーが満ち満ちている家と、そこに惚れ込んで、そこで暮らしている夢追い人のお話、タイトルは『佐島の家の物語』。どうですかね、北原さん。一年かけて、佐島の家と庭と、北原家とその仲間たちの春夏秋冬を撮影して。
この不思議な家と、そこで暮らし、家を維持しながら夢の実現を語り続けている不思議な北原照久さんのことを知ることが、人生をすばらしいものにするためのヒント、あるいは指針、そんなふうに捉えて、その本との出会いによって後の運命が開いてより良く生きていく人が、私の予想では100万人くらいいると思うんですけど。

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訪問してから数週間が過ぎても、こんな感じで興奮が冷めず話が尽きない北原邸、佐島の家です。最後に北原さんを「キャプテン」と呼ぶ湘南のシンガーソングライター、テミヤンがつくった『佐島の海の物語』(北原照久セレクションによる 『ベスト オブ テミヤン』/ブリキのおもちゃ博物館で売っています。北原さんの解説付きで、名曲がいっぱいのCDですよ)を。

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佐島の沖に飛ぶ海鳥
船でやってくる仲間達

カジメの森に遊ぶハコフグ
海に浮かぶようなプールサイド

波の記憶がしみ込んだ
とても強くて優しいこの家で(佐島の物語)

嵐の時にも凪の日にも 信じる力があふれてくる
空に駆け上がる 心の波動が 夢を形に変えてゆく


波に洗われるボートハウス
白いタイル光るバスルーム

芝生の庭に吹く風に
やる気 元気 勇気が湧いてくる 心にみなぎる(佐島の物語)

笑顔で過ごせる幸せに 感謝の気持はわすれない
空を染めてゆく 真っ赤な夕日が 夢の続きを見つめてる

嵐の時にも凪の日にも 信じる力があふれてくる
空に駆けあがる 心の波動が 夢を形に変えてゆく
夢の続きを見つめてる
佐島の海の物語


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夕暮れ迫るころに佐島の家を後にしました。帰り道で、旬子さんに紹介していただいた魚屋さんで元気に泳いでいるイカとカワハギとキンメを買って、その晩は夢のような一日のことをみんなで話しながらの豪華な魚パーティー。
いやあ、一生忘れられない楽しい日でした。最高でしたよ。北原さん、旬子さん、ありがとうございました。