数日他の話題で中断していた片桐さんちを再開します。

だんだん暮れてきたテラスの様子をご覧いただきながら、『夜も庭』ということを少々。

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この写真のようにだんだん辺りが暗くなってくると、リビングのカーテンだけではなくて雨戸のシャッターを降ろしてしまう家が多くあり、そのことを普段からとても残念でに思っています。うちのお客樣方は全く逆で、夜になったらカーテンを開けるんですよ、ライティングされた庭が美しいから。それだけではなくて、気候がよくなれば夜は庭に出ます。「今日は夕飯外ですよぉ」とか、風呂上がりに庭に出てキャンドル灯してご夫婦でナイトキャップとか、会社から帰ったらとにかく庭に出て、そこに奥様がビールを持ってきてくれる、それが楽しみで昼間がんばれるというご主人とか。夜だけじゃなくて、朝もそうなんですよ。夜明けが遅い冬でも暗いうちに起きて庭に出てコーヒーを飲んで、それから出勤するという方が何人もいます。そうすると仕事がはかどって、それが習慣化したのだそうです。

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暗くなったらシャッター降ろしてしまったら、人生の何分の一かの幸せな時間を捨ててしまっているようなものです。夜の庭はいいですよお、夜風って気持いいし、キャンドルやランタンの灯りはうちみたいに年期が入った夫婦でもロマンチックな気分になるんですから。

8年前の夏、鎌倉の山沿いのお庭に招待されて夜のバーベキューを楽しんだことがありました。炭火とキャンドルの灯りと、奥様が腰越から買ってきたという新鮮な魚を焼いた料理と、夜露で服がしっとりと重くなる感じと、尽きることのない楽しい会話、忘れられません。その当時港南台の店をオープンしたばかりで、連日鬼のように必死で仕事していて妻も私も倒れる寸前だったんですけど、その夜の庭に心身ともにすっかり癒されて、2人とも翌日から別人のように元気が出たことを思い出します。庭の力を実感した、忘れられない思い出です。

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夜も楽しみましょうよ、庭。

明日は片桐さんちの最終日、夜景をご覧いただきます。そうだ、昼間と夜の写真を並べてみましょう。劇的ですよ。


 
 
昨日は急に気温が上がって、ジンチョウゲが香る頃の感じでした。豪雪地で生まれ育った私は、春の訪れで喜びを感じる種類の脳細胞の量が多いのか、春のワクワク感はものすごいんです。納屋の日陰にまだ雪が残っていて、キラキラした雪解け水が田んぼに引き込まれる頃、山のコブシが咲いて、それを合図に数日で景色が鮮やかな新緑の色に変わる越後の春。新年を雪景色で迎える雪国の人たちにとっては春が一年の始まりなんですよね。その新緑の景色で「さあて、田植えを始めるかあ、今年も一年がんばるぞお」と気合いが入る。その習性はこうして雪のない太平洋側で20数年暮らしていても抜けることはなくて、空気が春めいてくると「さあがんばるぞ」という新鮮なパワーがみなぎってきます。
今日も温かいという予報です。さっ、はりきっていきましょう!さあ田植えだ田植えだ!(うちは農家ではなかったので、これはイメージですけど)
今日は新山下の『Garden Friend』で、港の汽笛を聞きながら設計していますので、散歩がてら遊びにきて下さいね。