50歳以上の方はご存知だと思うんですけど、むかし、西武百貨店の広告で「おいしい生活」ってのがありましたよね、糸井重里のコピー。当時、新潟の実家(魚沼市)で暮らしていたんですけど、どういうわけか広告にはまっていて、2時間かけて新潟市の紀伊国屋まで行って広告批評やコマーシャルフォトなど広告業界の雑誌を買い込んでいました。バブルに向ってまっしぐらな時代での広告って、ものすごくおもしろかった。全ては糸井さんの「おいしい生活」から始まった感があり、後に豊島園の「プール冷えてます/大貫卓也」とかリゲイン「24時間戦えますか/黒田秀樹」なんて頃がピークだったかなあ。十数秒の映像とたった一行の言葉が時代を導いていく感じに、たまらないかっこよさを感じていたんです。電通、博報堂には感性で時代を動かしている人たちがいるんだと。
コマーシャル同様、時代の息づかいや鼓動を感じるということで夢中になっていたのが雑誌、ポパイやブルータスのマガジンハウス社です。26歳で東京に出て来て、まず行ってみたかったのが歌舞伎座の裏にあるマガジンハウスでした。入口はポパイとオリーブが描かれている観音開きの自動ドアで、ロビーには世界中の雑誌が閲覧できるギャラリーがあって、マルチビジョンで一日中CNNが流れていて・・・「東京だあ!」って思いましたよ。
新潟にいると、感性はじゃまなものでした。田舎では今でもそうですけど、土を掘ること、作物を収穫すること、物を移動することが仕事で、写真や絵や音楽や、そういうことに時間を費やすことを道楽と言います。田舎にあって、典型的な役立たずの道楽者だったぼくにとって、広告や雑誌から見えてくる東京は「道楽者が活躍できる夢の世界」でした。糸井重里の「おいしい生活」が、数年後に東京に出てくることになるきっかけだった気がしています。

森川さんちを撮影しながら久しぶりに「おいしい生活」が思い浮かんだんですね。それで今日はこんな昔話から始まったんですけど、この庭はまさに「おいしい生活」なんです。果樹や野菜やハーブや。観て楽しむ植物に混じって、収穫して食べたり、家の中での楽しさが膨らむ植物が植わっていました。

キンカン
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レモン
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パセリ
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コマツナ
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このコマツナはスーパーで買って食べた後に残った根っこを、「生えるかもしれない」と庭に植えたら、こんなに見事に育ったのだそうです。楽しいですよねえ。

ミント
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ラベンダー
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ローズマリー
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花も野菜も果樹もハーブも、ボーダレスで植わっている庭って「楽しく暮らしてるなあ」って感じがしていいもんです。これってファミリーガーデンのひとつのスタイルですよね。


 
 
今日3月14日(ホワイトデー)で、49歳になりました。いろいろと思うところはありますが、まずはこの世にぼくを生んでくれた母親に感謝して「かあちゃん、ありがとね」。また一年、思いっきり仕事して、「ありがとう」をたくさん集めたいと思います。40代最後の年、全力疾走で行きますよお!