リビング前のテラスと和室前のガーデニングスペース(洋風坪庭)とご覧いただきましたので、3分割したこの庭のもうひとつの場所、ダイニング前を解説します。

もともと芝生の中に立水栓があって、既存フェンスにモッコウバラが誘引してありました。スペースの使い方としては、和室前と同じくガーデニングを楽しむ場所とし、ここにはハーブが多数植わっています。
もうひとつこの場所の役割があります。それは打合せの時にご夫婦から出た「出窓から木が見えたらステキだね」ということを実現すること。と同時に、テラスからこちら側に目をやった時に、庭の奥行きを感じられるようにすることです。でないと地面から持ち上げたテラスが宙に浮いた感じになってしまうんですね。テラスの存在が唐突になるんです。

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出窓の外に見える木は、ジューンベリーにしました。窓を開けると手が届きそうな位置にジューンベリーのやさしい葉っぱが揺れていたら、ダイニングの中まで柔らかい空気感が入り込んでくる。そんなイメージでの提案でした。撮影の時にちょうど花が咲いていて、芽吹いて間もない新緑と可憐な花が、設計時にぼくがイメージしていた以上に、その何倍も、周囲の空気を柔らかくしていました。その木が設計意図を理解して全面的に協力してくれたように思えて、とってもうれしかったです。

木を植える他にもうひとつ、2方向にアイアンのトレリスを設置しました。もともと植わっていたモッコウバラをそれにからめることで、場の立体感が出て、テラスからの庭の奥行きがでるということ。それと部屋からの眺めも、今まで何もなくて意識に入らなかったその空中を、庭として認識できるようになります。道路から見るとこうです。

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どうしても平面的になりがちな庭に、立体感、厚みを持たせたい場合に、このトレリスはとても便利です。設置方法は土に突き刺すか、既存のフェンスに結束するだけなのでとても簡単。庭が立体的なるとグンと居心地がよくなりますよ。

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窓の外の手が届きそうな位置に木の葉が揺れているって、一度そういう環境で暮らすと、もうそれなしではいられないと思うほどいい感じです。つまり庭は、庭で過ごすこと以外に、(目隠しを含めて)室内を演出するという役割もあるんですね。今回のこの場所は室内(ダイニング)を演出し、同時に外の部屋であるテラスも演出しています。2方向への演出効果。だからトレリスも2方向に設置してあるというわけです。


 
 
昨日の雨で空気がスッキリしていますね。
体調もマインドも絶好調!今日もはりきってがんばりましょう!