昨日のアジサイに続いて、その他の雨に濡れた植物をご覧いただきながら、今回の庭が生まれた経緯を書きとめておこうと思います。
吉永さんの奥様は若い時にご両親とも亡くされています。それ以来、ご近所の方々(特に裏のお宅のおばさま)に支えられて暮らしてきました。
ご両親との想い出が詰まった家が老朽化して、大嫌いなねずみも住み着くようになったため、意を決して建替えに踏み切ったのだそうです。
生まれ育った家、ご両親と暮らした家を立て替える・・・、どんな思いだったか。その心情を考えると胸が苦しくなります。まあ逆に考えれば、それだけ今の生活が充実していて、想い出は想いでとして、しっかりと次に向って歩んでいるということですから、拍手なんですけどね。
立て替え後も、そのご両親が丹精していた庭の一部が残っていて、今回のガーデンリフォームはそこを再生することがテーマでした。だからいつもの「過ごす庭」ではなくて「昭和レトロなガーデニングを楽しむ庭」になったわけです。
それと、裏のお宅からの見栄えを気にしたのも、奥様の「お世話になった方へ、少しでも快適に暮らしていただきたい」という気持ちからでした。
ご両親の想い出が詰まった庭の再生は、イコール尽きることのない幼い日の幸せな記憶を庭に刻みつけたい、ということ。
ですから奥様からも「あまりつくり込んだ感じの庭ではなくて、まくら木のすきまに草が生えているような庭に」というリクエストがあったのです。そのことを奥様はご自分でスケッチッを描いて、とてもやさしく、でもしっかりとぼくに伝えてくださいました。
若くしてご両親とも亡くされるということが、どれほどキツいことなのか、両親とも元気なぼくには実感できるはずもありませんが、その経緯と、この庭への奥様の思いを感じて、身が引き締まる思いで設計にのぞみました。
頭を切り替えるのに数日かけて、昭和の庭の写真集や書籍を引っ張り出して眺め、気力を充実させて一気に描きました。
話は変わりますが、打合せ中に奥様からベストセラー「奇跡のリンゴ」を教えていただいて、さっそく読んで、ものすごく感動しました。本を読みながら涙があふれるというのはそうそうあることではありませんけど、涙があふれました。
不可能と言われたリンゴの無農薬栽培に挑んで、そして奇跡を生んだ、木村秋則さんの物語です。
いい顔してるでしょう!木村さん。興味のある方はぜひ読んでみてください。この本を教えてくださった吉永さんに、感謝しています。
そして、この吉永さんちの庭でも奇跡が起こりました。
うちのスタッフが工事前に取り置いてあった草花を植え込みにうかがったときに、物置の奥にあった園芸用の炭を見つけ「この炭を使ってもいいですか」とお訊きしたら「どうぞ、使えるんなら使っちゃってください」という返事。で、スタッフがさあ植え込もうと土を掘ると、土中から炭がたくさん出て来ました。「これは亡くなったご両親が埋めたものに違いない」と、スタッフはそのことを奥様に。
それを見た奥様は「父が埋めたんだと思います」と、・・・微笑みながら涙ぐんでいたそうです。
それぞれのお客様が、庭への様々な思いを持っていて、ぼくらはそれを精一杯いいカタチにしようとがんばって。
あの奇跡は、ご両親からの、庭を大事に思いながら立派に暮らしている娘へのプレゼントであり、そのすてきなドラマに接することができたぼくたちもまた、幸福なプレゼントのご相伴ににあずかりました。
その晩、ドラマの余韻が消えなくて、ぼくは妻とそのことを肴に、おいしいビールをいただきました。「うちの子供たちは、将来、庭で野菜を育てたりバーベキューを楽しみながら、ぼくたちのことを思い出してくれるだろうか・・・」なんて言いながら。
お盆ですね。仕事の合間を縫って新潟にお墓参りに行って夕べ帰って来ました。
奇跡と言えば私たちの存在自体が奇跡なんですよね。あなたも私もとてつもない強運の持ち主です。
ぼくは越後の山奥に暮らす岩渕又一と愛というひと組のカップルから生まれました。ぼくの命を誕生させて育ててくれた、その又一と愛にもそれぞれに両親がいます。そのまた親、ぼくからさかのぼったひいじいさんとひいばあさんは8人です。その8人がいなかったらぼくはここにいないということになります。
さらに先祖を辿って計算していくと、10代さかのぼると1024人、20代では1048576人、20代さかのぼると、ということは江戸時代でしょうか。江戸時代に生きていた百万人のうちひとりでも欠けたらぼくは存在していなかったということです。ちなみに30代さかのぼると10億7千3百70万人になります。めまいがするでしょ。
つまりあなたも私も、奇跡に次ぐ奇跡、宝くじで4億円が当たることなんか比べ物にならないくらいの運のよさによって、いま存在しているというわけです。
お墓に手を合わせながら、「せっかくいただいた奇跡の命を、精一杯生きますから、どうか見守ってくださいね」という誓いと感謝の気持でいっぱいになって、背筋がシャンと伸びました。
さっ、今日もはりきって、思いっきりがんばりますよー!
吉永さんの奥様は若い時にご両親とも亡くされています。それ以来、ご近所の方々(特に裏のお宅のおばさま)に支えられて暮らしてきました。
ご両親との想い出が詰まった家が老朽化して、大嫌いなねずみも住み着くようになったため、意を決して建替えに踏み切ったのだそうです。
生まれ育った家、ご両親と暮らした家を立て替える・・・、どんな思いだったか。その心情を考えると胸が苦しくなります。まあ逆に考えれば、それだけ今の生活が充実していて、想い出は想いでとして、しっかりと次に向って歩んでいるということですから、拍手なんですけどね。
立て替え後も、そのご両親が丹精していた庭の一部が残っていて、今回のガーデンリフォームはそこを再生することがテーマでした。だからいつもの「過ごす庭」ではなくて「昭和レトロなガーデニングを楽しむ庭」になったわけです。
それと、裏のお宅からの見栄えを気にしたのも、奥様の「お世話になった方へ、少しでも快適に暮らしていただきたい」という気持ちからでした。
ご両親の想い出が詰まった庭の再生は、イコール尽きることのない幼い日の幸せな記憶を庭に刻みつけたい、ということ。
ですから奥様からも「あまりつくり込んだ感じの庭ではなくて、まくら木のすきまに草が生えているような庭に」というリクエストがあったのです。そのことを奥様はご自分でスケッチッを描いて、とてもやさしく、でもしっかりとぼくに伝えてくださいました。
若くしてご両親とも亡くされるということが、どれほどキツいことなのか、両親とも元気なぼくには実感できるはずもありませんが、その経緯と、この庭への奥様の思いを感じて、身が引き締まる思いで設計にのぞみました。
頭を切り替えるのに数日かけて、昭和の庭の写真集や書籍を引っ張り出して眺め、気力を充実させて一気に描きました。
話は変わりますが、打合せ中に奥様からベストセラー「奇跡のリンゴ」を教えていただいて、さっそく読んで、ものすごく感動しました。本を読みながら涙があふれるというのはそうそうあることではありませんけど、涙があふれました。
不可能と言われたリンゴの無農薬栽培に挑んで、そして奇跡を生んだ、木村秋則さんの物語です。
いい顔してるでしょう!木村さん。興味のある方はぜひ読んでみてください。この本を教えてくださった吉永さんに、感謝しています。
そして、この吉永さんちの庭でも奇跡が起こりました。
うちのスタッフが工事前に取り置いてあった草花を植え込みにうかがったときに、物置の奥にあった園芸用の炭を見つけ「この炭を使ってもいいですか」とお訊きしたら「どうぞ、使えるんなら使っちゃってください」という返事。で、スタッフがさあ植え込もうと土を掘ると、土中から炭がたくさん出て来ました。「これは亡くなったご両親が埋めたものに違いない」と、スタッフはそのことを奥様に。
それを見た奥様は「父が埋めたんだと思います」と、・・・微笑みながら涙ぐんでいたそうです。
それぞれのお客様が、庭への様々な思いを持っていて、ぼくらはそれを精一杯いいカタチにしようとがんばって。
あの奇跡は、ご両親からの、庭を大事に思いながら立派に暮らしている娘へのプレゼントであり、そのすてきなドラマに接することができたぼくたちもまた、幸福なプレゼントのご相伴ににあずかりました。
その晩、ドラマの余韻が消えなくて、ぼくは妻とそのことを肴に、おいしいビールをいただきました。「うちの子供たちは、将来、庭で野菜を育てたりバーベキューを楽しみながら、ぼくたちのことを思い出してくれるだろうか・・・」なんて言いながら。
お盆ですね。仕事の合間を縫って新潟にお墓参りに行って夕べ帰って来ました。
奇跡と言えば私たちの存在自体が奇跡なんですよね。あなたも私もとてつもない強運の持ち主です。
ぼくは越後の山奥に暮らす岩渕又一と愛というひと組のカップルから生まれました。ぼくの命を誕生させて育ててくれた、その又一と愛にもそれぞれに両親がいます。そのまた親、ぼくからさかのぼったひいじいさんとひいばあさんは8人です。その8人がいなかったらぼくはここにいないということになります。
さらに先祖を辿って計算していくと、10代さかのぼると1024人、20代では1048576人、20代さかのぼると、ということは江戸時代でしょうか。江戸時代に生きていた百万人のうちひとりでも欠けたらぼくは存在していなかったということです。ちなみに30代さかのぼると10億7千3百70万人になります。めまいがするでしょ。
つまりあなたも私も、奇跡に次ぐ奇跡、宝くじで4億円が当たることなんか比べ物にならないくらいの運のよさによって、いま存在しているというわけです。
お墓に手を合わせながら、「せっかくいただいた奇跡の命を、精一杯生きますから、どうか見守ってくださいね」という誓いと感謝の気持でいっぱいになって、背筋がシャンと伸びました。
さっ、今日もはりきって、思いっきりがんばりますよー!
最近繰り返し考えていることがあります。唐突ですけど、一生は思いのほか短いということです。そのいつ終わってしまうかわからない、明日終わるかもしれない人生の価値をどう捉えるかということ、そのことをエンドレスに考えています。お盆や終戦記念日がある8月からかもしれませんし、身近で何人か病気療養中の知り合いがいるせいかもしれません。
ぼくは、はたしてあと何人の人たちに、何組のご家族にぼくのイメージする、ぼくにしか生み出せない庭を提供できるだろうか・・・。ぼくの願いや思いはあと何回カタチになって、お客様の暮らしに笑顔や感動を生み出せるだろうか・・・。
まあそんなこと考えながら、一所懸命になれる仕事を得ている事自体が幸せなことなのかもしれませんね。
もうひとつ、最近思うことがあります。それは「親はありがたいなあ」ということです。親を見て覚えたお作法や生活の価値観が、今の自分の90%を占めていると感じていて、その受け継いだいろんなことが土台となって、その上に日々の幸せや喜びや感動があるんだと、年を重ねるほどにそのことが身にしみて「親はありがたいなあ」と実感しています。つらつらと。
忙しさに追われてるばかりでは、なかなか踏み込まないこういうことに思いが行くのは、たぶん吉永さんのやさしく豊かな感性、とっても心地よい波動の影響だと思います。
吉永さんが早くにご両親を亡くされたときに受けた悲しみは、きっと代償の先払いだったんですね。だからその分、今は充実した日々が廻って来ている、ということなんだと感じています。
「すべての悲しみは、素晴らしい今日のための前払いだった」ということですよね。
もし時間が取れたら「テミヤンコンサート」に行ってみませんか。吉永さんの感性とテミヤンの曲、絶対にピッタリときます。感動しますよ。
あらためて、素敵な仕事をさせていただいて、ほんとうにありがとうございました。