リビングの外の過ごすのに充分なだけの広さを壁で囲って、地面を持ち上げて、タイルを張って、ベンチをつくって、照明器具を設置して、木を植えて・・・。すっかりお馴染みになったグレースランドスタイル(と職人さんが言っていました)のテラスです。

今回のポイントは角度です。サッシと45度でタイルを張って、ベンチもそれに合わせてあります。
これは家の中から外を見た時に、室内の壁や床板の方向と違う角度の世界があることで外を広く感じるということと、外への誘惑が増すからです。なぜそう感じるのかという心理的な解析はできるんですけど、けっこう時間がかかるので省略。まあ「そういうもんなんだあ」と思ってください。「窓の外にある違う角度の風景は人を外に誘う」のです。
ちなみに、この45度を30度にするとさらにその効果は強まります、が、今回45度にしたのには理由があって、0度(建物と平行)と組み合わせたかったからですね。わかりづらい話になりますが、ちょっと辛抱してください。
平面的には室内と角度を違えて、立体的には平行にしたかった、ということです。その場合に平面が30度だと落ち着かない。45度ならしっくり組み合わすことができるのです。45度は左右対称ですから0度、90度と一体感が出る・・・、わかりますかね。まあいいか。そういうことなんですけど、まあ「けっこう理屈っぽいんだ」というくらいでもいいです。

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床面の45度に対して、衝立てになっている塀は建物と平行です。曲線なので平行というのは変ですけど、建物と平行な線上に、円形の中心を高くした左右対称の塀ということ。つまり塀は建物と同調しているのです。

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建物と平行、窓の外に室内と同じ角度の壁があるとどうなるかというと、部屋が外に広がった感じになります。これもまた外への誘惑です。ええっと、誘惑というより魅力かな。
角度が違うことでの誘惑と角度が同じことでの魅力を組み合わせると・・・。

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この角度による世界感の変化は、しょっちゅう引っ張り出している便利な引き出しなんですね。あるときこんなことを考えました。

角度が違う世界の誘惑は異性で、同じ角度の世界の魅力は同性だなあって。男も女も、異性には「自分と違う何か」を感じ、そこに惹かれるものですよね。そして同性には尊敬や憧れや共感など、「自分と同じ種類の何か」を持っている人に魅力を感じるものです。
異性の誘惑と同性の魅力を使って庭をつくったら・・・。そんなこと考え始めるともう止まらなくなて、はやくそれをやってみたくなりました。そういうタイミングでこの庭の設計に入ったというわけです。だからこのテラスは平面的には異性で立体的には同性の、・・・つまりオカマ!?

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理屈としてはそうなるんですけどね、まあ漠然とイメージしていたその組み合わせの効果は、実際にできあがるとイメージ以上でした。ちょっと不思議な世界に仕上がったと思うんですけど、いかがでしょうか。

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オカマというほど強烈ではなくて、「Unisexなテラス」という感じでしょうか。

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この狙いに自分ではものすごくワクワクしたんですが、効果はほんのささやかで、でもちゃんとそれなりのおもしろさは出せた気がしています。
設計を繰り返すうちに、こういう微妙な効果が楽しくなってきて、ほんとに飽きるということがないありがたい仕事です。自分の性格にぴったりの天職だなあ。


 
昨日の話、老人ホーム巡りをして痛感した「笑顔は大切」ということの続きです。
大切なのはわかっていても、ずっと笑顔でいることは難しいですよね。あなたはいち日の何割をスマイルモードで過ごしているでしょうか。

笑顔でいるための最も簡単な方法は、笑顔の中に身を置くということです。周囲がみんな笑っているのに、自分ひとり仏頂面していられるものではありませんからね。
その点、ありがたいなあと思うのは、うちのスタッフは「基本笑顔、普通の顔が笑っている」というタイプがそろっていること。それとご来店くださるお客樣方も笑顔の方が多いので、そういう笑顔グループの中にいることで、自然と自分の笑顔率が上がっています。そういうもんだよなあって思うんですね、笑顔の人に惹き付けられて笑顔になっていく。

写真を撮っているとそのことを感じます。ファインダーを覗いていて、被写体が愛くるしく笑う子どもだと、こちらの口角は最大限上がっています。
同じことが庭を撮っていても起こるんですよ。誰もいない庭で、ひとりでパシャパシャ撮影しながら、気がつくと、もし誰かに見られたらはずかしいくらいぼくの顔は笑っています。
できあがった庭、撮影時そこには誰もいないのに、これからその場所で繰り広げられるであろう楽しいシーン、あふれる笑顔が目に浮かんで、それでついついニコニコしながら撮影しているのです。

笑顔は惹き付け合う

今日も笑顔を求めて、さっ、はりきっていきましょう!