さあ、新シリーズを始めましょう。
今回は外構のリフォームで、隣り合わせの2軒の家の入り口をひとつにするというものです。ビフォーはこうなっています。

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左側の家が依頼主、濱田さんのお宅で、右側の家にご両親がお住まいです。よく「スープが冷めない距離」と言いますが、まさにそれですね。2世帯住宅もいいですが、こういう住まい方もいいですよね。ひとつの理想型です。

ご依頼は2軒の入り口、玄関アプローチを使いやすく、見栄えよく、かつ統一感を持たせたいということでした。ぼくとしては2軒で2世帯という設定がとても素敵に思えて、ワクワクしながら「さあて、どういう仕立てにしようか」としばらく考えて「少々大掛かりな工事になりますが両方でひとつの入り口というのはどうでしょうか」と提案してみました。するとそれでOKとなりまして、できあがったプランがこれです。

Plan A
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住宅外構というのは、家に洋服を着せるようなものです。一般的には既製の服で不自由なく過ごせますけど、せっかくのマイホームですから、できれば注文服を着せたいですよね。
しかも今回のような場合はオートクチュールじゃないと。
「アプローチの仕立て方によって両家の暮らしがさらに楽しくスムーズになる」という思いから、気合いが入りました。

極力アルミ製品とコンクリートを使わないで、外構というより前庭のような雰囲気で、そして2軒が同じ階段を使って家に出入りする。同時にお互いの家を気軽に行き来するというイメージで設計しました。

明日は違う素材で雰囲気を変えたPlan Bと、さらにご検討いただいてできあがったPlan Cをご覧いただきます。


 
今朝は曇り空です。連休の真ん中なので街がシーンとしています。
さわやかな秋晴れも良し、今日のような静かな曇りの日も、べた凪の海面のように気持が平らになって、いい感じです。

篠山紀信さんが撮った百恵ちゃんの写真で、菩薩様のような穏やかな表情なのに涙がツーッと頬を伝っているというのがあります。その涙のわけを聞かれた百恵ちゃんのひとこと
「・・・あんまりすてきな曇り空だったから」
篠山マジックなのか、山口百恵という人の感性が並外れているのか、いずれにしてもすごい写真でした。30年前に見たその1枚の写真と百恵ちゃんのひとこと、鮮明に記憶に残っています。

よしっ、丁寧にコーヒーを入れて、今日は心静かに設計に没頭します。
すてきな曇り空だったから、と涙を流すようなところまで、行き着いてみたいなあ。