台風が通り過ぎた直後に、クッキリとピンが合った富士山が見えました。きれいだったなあ。今朝は快晴で、空気も澄み切っています。
では、いつもにように。

再度ビフォーをご覧ください。

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この場所にバーベキューテラスを出現させるために必要な思考は・・・立体的にイメージするということです。
駐車場の高さをゼロとすると、ベンチが置いてある庭の高さはプラス60センチ、玄関ポーチはプラス80センチ、リビングの床の高さはプラス1メートルです。
テラスを玄関ポーチの高さ、プラス80センチに設定することで、部屋からも出やすいし、広く平らな場所を確保できると判断しました。ただし、駐車場からの80センチ分の階段が必要になります。
同時に、テラスとリビングを居心地よくするための目隠しも必要ですので、それらを考え合わせてできあがった立体構成によって、このバーベキューテラスは成立しました。

数字を並べて解説するとややこしいので、つまりリビングからスッと外に出られるようにするために、テラスの高さを玄関ポーチの高さまで持ち上げて、階段と目隠し壁を設けた、ということです。

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できあがってみるといろんな問題が解決できていて「これでいいのだ!」という感じなんですが、このカタチに至るまでのぼくの脳内でのプロセスを思い起こすと、けっこう唸っていた気がします。ああでもないこうでもないと、何度も線を描いては消しを繰り返して、そしてレノンが降りて来て、あとは一気に「これでいいのだ!」となりました。

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こないだも書きましたけど、その一気に問題解決する瞬間がエキサイティングなんですよねえ。

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もしご自宅の庭のリフォームを考えている方がいらっしゃったら、この立体的にイメージするってことをやってみてください。庭や外構を設計するプロでも、このことが抜け落ちている人が多くて、そうするとどうなるかというと、問題未解決の、グッと来ないできあがりになるのです。

人はものごとを平面上で考える。天使は立体的に考える。(ガウディー)

ぼくは天使でも悪魔でもない、ただの人ですけど、庭の設計に限らず、むかしから立体的思考は得意です。というか好きんですねそういうのが。だからお絵描きよりもレゴみたいなブロック遊びや粘土が好きでした。絵を描くのでも飛行機が旋回している絵とか、画用紙の平面の中に立体を生み出すようなことにワクワクしたおぼえがあります。今の自分の仕事を考えると、これはありがたい特性です。

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ついでに、テラスの左右に設置した木製パネルですけど、これもテラスを部屋っぽくして居心地をよく演出するための立体構成です。

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もしこのパネルがなかったら、とイメージしてみてください。

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ね、間が抜けるでしょ。


 

立体的に構成する、立体的に思考するということを意識して、それを盛り込んだ設計をして、そしてお客様に解説します。これまで数千回それをやってきて気がついたんですけど、人はストレスや過労で脳が疲れていると、ものごとを立体的に捉えられなくなってくるようです。ようするに思考の柔軟性が失われると平面的な思考になってしまう、ということ。
それに気がついてから、自分でも気をつけるようになったんですけど、気をつけたからといってそうならないわけではありませんから、時々ストレス貯め込んで平面的思考になってしまいます。そうなると感情的にもなりやすくて、後で考えて「何であんな些細な妻のひと言にムカッとしてしまったんだろうか」というとき、ぼくは自分の思考がベターッと平面的になっていたことに気がつくのです。
「そうか!なあんだ、そう考えると妻から日々断続的に投げかけられる(些細な)ひと言は、自分の思考のコンディションをチェックするのに便利な、ありがたいことなんだ」
そう考えればいいんですよね。カオリさん、ありがとうございます。毎日入念にチェックすることができてうれしいです。

設計に限らず、思考は立体的に、柔軟に。自分の脳みそにそれができる余裕を確保しながら生活したいものです。
立体的思考を維持するためのポイントは、バランスのいい食事と、運動と、十分な睡眠かな。それと刺激ですかね。本を読んだり人に会ったりして刺激を受けると、とたんに立体的思考がパワーアップするのを感じます。

「ものごとを立体的に考える」、それと似たことで「夢はカラーで思い描く」ってのもあるんですが、それはまた次の機会に。とにかく脳みそのゆとりと柔軟性を意識して暮らしましょうね。