この仕事で、今回とてもうまくいったことがアプローチの乱張りです。
石はエスビックのアースクォーツで、色はピンクとホワイトを7:3で混ぜて使いました。

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自然石の乱張りは、職人さんの上手下手がハッキリと出る作業で、いくつかある決まり事に従って施工するんですけど、そのことに加えてその職人さんのセンスも問われます。
我が軍の職人さんたちは人柄もセンスも抜群だと自負しているんですけど、石を扱う時の知識と技術には多少のばらつきがあって、過去何度か「こことここはやり直し」と手直しをお願いしたこともありました。
そんなぼくの(職人さんにしてみたら理不尽とも思える)ダメ出しに「なるほどねえ〜、勉強になるなあ」と前向きに対応してくれる人ばかりなので、それに感謝しつつ、でも何度もダメ出しをしてきました。
しかし今回は 一発合格!で、実のところちょっと感動しながら撮影していたのです。「腕上げたなあ!」と。

ではここで、乱張りの上手下手の見極め方をお教えしましょう。いくつかの守るべき法則があるんですけど、一番簡単な見極めのポイントは「目地が三叉路」だということ。目地というのは石と石の隙間のことで、その交わる部分が全て三叉路になっているのが正しい石の組み方なのです。
写真をご覧ください。ね、そうなってるでしょ。四つ角や五叉路は一ヶ所もありません。散歩しながら近所の乱張りを見てくらべていただくと、その違いがよーくわかると思います。

なぜ三叉路がいいのか・・・、くわしく解説すると長くなるので、ごくごく簡単に言うと3は安定を生む数だということなんですね。大阪城の石垣も同じ法則だし、なんとなんと、マチピチュの遺跡の石積みも同じなのです。目地が三叉路です。3。2でも4でもなくて3。
紀元前の中国の器で足がついているのがありますけど、その足の数は決まって3本です。
日本の生け花でも基本は3です。芯、添え、控えの3点で構成されます。
南米でも中国でも日本でも、太古の昔から3の効用に気づいてそれを暮らしに取り入れていたのですから、3、興味深い数字です。

「三つどもえの戦い」とか「三角関係のもつれ」とか、3はドラマも生み出しますよね。
他にもあります3がついた言葉。「三種の神器」「三日坊主」「三度目の正直」「石のうえにも三年」「三三九度」「三日天下」「三位一体」「かけつけ三杯」「御三家」「三大珍味」・・・ウルトラマンが地球上で戦えるのは3分間で、カップラーメンも3分間です。
ね、3という数字は人類に対して特別な何かを持っているのです。そしてその特別な数字を背中にしょって活躍したヒーローが、そう、長嶋茂雄さんです。そう考えると、長嶋さんは背番号を3にした時から「特別な人」としての運命が始まったのかもしれませんねえ。

3ておもしろいでしょ。毎日庭の設計をしていて、最も使う図形が円と三角なんですね。円と三角があれば「幸せな場所」を設計できます。ということは、生活全般にも円と三角を取り入れると、何かしらいい結果が導き出されるのかもしれませんね。
そうそう、円もまた興味が尽きない形なんですよ。家庭円満の円、円卓会議の円、雪舟が描いた円、楕円、卵型、スパイラル。宗教哲学や宇宙まで円の話は広がっていきます。そんな円のことも、そのうちやります。