「そりゃあねえ、庭が広かったら何でもできるけど、うちの庭は狭いからなあ」
一年中お聞きするお客様のこの台詞に、ぼくはニヤッとして、そしてファイトがわいてきます。
狭い場所こそ、よーく考えて構成することで劇的に楽しい場所になる。何度もその課題をクリアーしていくうちに「狭い場所の方が居心地がいい」とまで思うようになって、広々した庭ではその一部を仕切って「狭い場所」をつくり、そこにこもることの心地よさを演出したりしています。

狭さ(広さ)は感じ方なので、どのくらいからが広い庭なのかは定義できませんが、ぼくのイメージとしては建物からの出幅が3メートル以上あると、設計の自由度が増して「広くて何でもできるなあ」という感覚になりますし、それが2メートル前後の場合、ンッ!と気合いが入ります。

今日からご紹介する草野さんのお庭は出幅が2.1メートル。これがビフォーです。

ビフォー2

ビフォー5

このくらいの庭スペースが、新築の場合とても多くて、大概「何の木を植えようか」という程度で、庭で食事をしたり、家族みんなで楽しく過ごすというところまでイメージが広がらず、数年して気がつくと「そういえば木の剪定と雑草取りばかりしていたなあ」ということになりがちなのです。
出幅2メートル前後の庭スペースを、どこまで楽しい場所、「家族が集う外の部屋」として構成できるかが今回の設計のテーマ。さあ、あなたならこの場所にどんな庭をイメージしますか?

明日、プラン図をご覧いただきます。お楽しみに。




まだこの世に存在していない空間なりカタチなりメロディーなりをイメージする、生み出すという作業は、それを職業としている人でなくても、暮らしを組み立てていく上でとても重要な能力であると思います。イマジネーション、想像力。
庭に関しては毎日イメージしていますので、もう条件を揃えてスイッチを押すと、すぐに仮想の庭空間が頭の中に出現するところまできましたが、庭以外の、暮らしでのイマジネーションはなかなか・・・。
生活環境でいうと「もっと美しく暮らしたい」という気持がありながら、その美しさを具体的にイメージしないままに時間が過ぎているのです。これじゃあいけませんね。

庭をどうイメージしていったらいいのかわからない、というお客様にいつもお勧めしている方法を、庭以外の部分でぼく自身もやってみようと思います。それは「スクラップ」です。
庭に関しては習慣化された作業なんですね。雑誌や広告の気に入った写真を切り取ってノートに貼っていくと、そこに自分が見えてきます。自分の好み、自分が求めている世界、自分でも気づかずにいた自分の発見もあります。

イメージできればできたも同然!

インテリアでも料理でも、何の分野の雑誌でもおかまいなしで、心
に響いた写真を集めて並べると、漠然としている「美しく暮らしたい」というぼくの欲求、そのイメージのシルエットが徐々に鮮明になっていくんじゃないかなあ。うん、きっとそうなるにちがいない。何だかワクワクしてきました。

駅ビルの無印に行ってスクラップブック買ってこよ。



実はね、人はイメージした通りに生きているんですよ。

本田健さんの言葉です。
本田健さんのことが大好きなので、ぼくはその言葉を鵜呑みにします。「人はイメージした通りに生きている」。
だとすると、イメージすること、その空想世界を鮮明にしていくことができれば、人生は自由自在だということです。あなたも鵜呑みにしてみませんか。もしかしたら凄い魔法の力を手に入れることになるかもしれませんよ。