草野さんのお宅には、リフォーム前から何本かの木が植わっていました。それらの木をプランに合わせて配置換えしさらに数本植え足しました。

この風景から樹木を無くしたら・・・とイメージしてみてください。

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樹木を消したら、ちょっと物足りないですよね。

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庭木があることで、空間が潤い、濃くなります。

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これらの木が成長して、緑のボリューム感が増していけば、この庭はさらにいい感じになっていくことでしょう。

庭のスタイルによっては、木が一本も無いということもありますが、一般的な庭では木が多いほど、緑のボリュームが大きいほど、庭の感じは上がります。
ただし、木の量に比例して手入れは必要になりますけど。それもコツを覚えれば大したことではありません。

うちの場合は、剪定などの手入れの依頼があると、お客様にやり方をお教えしながら作業するようにしていますので、数回やると、だいたい皆さんご自分でできるようになります。その方がいいんです。自分で剪定したり消毒・施肥をすれば、木への愛着も増しますから。
それも面倒だと言う方は、年に2回植木屋さんに入ってもらって、消毒・施肥・剪定をすれば、普段の手入れなどほとんど必要ありません。

木の手入れは楽しいし、大したことではないので、条件が許せばできるだけ木を植えて大きく育てましょう。




ぼくがイメージする理想の庭のひとつが「精霊が住み着いた雑木林の庭」です。
北向きの、天井が高いアトリエの外に、鬱蒼と茂った雑木林があって、その一部を間借りするようにテラスがある庭。
春は新緑のパワーに包まれて、夏は蝉時雨のシャワーを浴びて、秋は落ち葉に埋もれて、冬は木枯らしの音に心洗われる。
なんて表現するとちょっと情緒的すぎて、妻から「バッカじゃないの」と言われそうですけど、要するに軽井沢の別荘にいるような庭がいいなあと思っています。とにかく木がたくさん生えている庭。

庭に木が多いと「精霊」が住み着くんです。ほんとですよこれ。ぼくは森で育ったので、ごく普通のこととしてそう思っているんですけど、あなたは見かけたことありませんか、「精霊」。
庭に住み着く「精霊」は、小さいおじさん、ティンカーベル、数年前に亡くなったぼくをかわいがってくれた近所のおばさん、アリエッティ、人魂、カッパ寿司の宇宙人・・・。見え方はいろいろですが、はっきりわかることはぼくらを見守って、応援してくれているということです。「精霊」が現れると勇気がわいてきて、その直後に必ずいいことが起こります。あるでしょ、そういう経験。

新潟の山奥育ちのぼくはこの「精霊」とはなじみがあり、新居の庭には、実家の坪庭にいた「スナフキンのような姿をした精霊」がはるばる遊びにやってきます。
庭に住み着く精霊の存在、あなたも感じますよね。感じたことがない、という人は、「そんなこともあるのかもしれないなあ」でもかまいませんので、ちょっと肯定してみてください。ヨーロッパ人は庭は精霊の住処だということを前提にして庭を設計しますし、アフリカでは森に住む精霊とともに日常があります。日本だと、そうそう、八百万の神(やおよろずの神)というくらいですから、庭にティンカーベルやアリエッティがいても、ね、おかしくはないのです。

お宅の庭にも「精霊」が住み着くといいですね。木を植えましょう!花を咲かせましょう!彼らは木や草花が大好きなのです。庭で彼らと語りながら暮らしていけば、彼らが、ぼくたちの人生を正しく導いてくれます。