さあてと、今回の庭のキモ、ポイント、設計的に最も注意深く組み立てた要素をご覧いただきましょう。それは「目隠し」です。

Before
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After
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Before
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After
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ビフォーが何の目隠しもない芝生の庭ですから、この目隠しの具合をどうするか、どの方向にどれだけの強さで目隠しを施すかによって、庭の居心地が決まるのです。

目隠しというと、庭の外周に塀や生け垣をめぐらせて、庭全体を箱の中状態にすることをイメージしがちですが、それでは開放感や見晴らしが損なわれます。特に今回はそのこと、目隠しと見晴らしこもる感じと開放感のバランスをどう設定するかということを、設計の段階で、入念にイメージしました。

それには理由があります。
この家が建っている住宅地が、横浜でも有数の「感じがいい街並」で、ぼく自身、いつか住んでみたいと思っている「いい風が通り抜ける」場所なのです。いい風が通り抜けるということは、そこで暮らしている人たちもいい感じ。散歩していても気持のいいその空気感、雰囲気を、塀で遮断したくないなあと、そう考えての目隠しの設定でした。

では、具体的にどのように構成したかをご覧ください。
まずウッドデッキのコーナーパーゴラに取り付けたパネル。庭つながりのお隣さん側は、目の細かいパネルで、

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お向かいさんの側は、気になる窓もなくほとんど人も歩かない場所なので、目の粗いパネルにしました。

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ここにツル性の植物を這い上がらせて、完成となります。

お隣さんの玄関と道路からの視線は、目の細かいパネルで。

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道路側からはこうなります。

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これらの大枠の目隠しに加えて、さらに、ウッドデッキの手すりを、通常よりも高くし、その外に木を植えて。

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これで、外からはこうなります。

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デッキから道路側を眺めると、こうです。

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いい感じでしょ。

設計段階で、図面上であれこれとイメージした通りというか、実際にその場所で風と光を感じると、「いい具合にできあがったなあ」と、撮影しながらひとりニンマリ。設計している時のトキメキが倍増されて、幸せな気分を味わいました。

目隠しと見晴らし。こもった感じと開放感。このバランスをどうとるかで、庭の居心地は決まるのです。