昨日のコリウスの枝を折ってしまったワンちゃん「セツ」です。

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もうおばあちゃんで、目も見えないし耳も聞こえないと言います。
だから枝を折ったのも、遊び回ってぶつかったのではなくて、様子が変わった庭を手探りで確認するうちに、鉢にぶつかって折れてしまったのでしょう。

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このセツさん、とっても穏やかで、日がな一日のんびりと駐車場と庭で過ごしています。呼んでも聞こえないので、周囲で何が起ころうと我れ関せずで、寝転んだり歩き回ったり。

奥様にかわいがられて、何の不安も不満もなく、幸せな老後生活のようです。

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ワンちゃんって、ほんと、人を優しい気持にしてくれます。

このセツさん、充分に幸せなはずなのに、時々庭からの脱出を試みるとのこと。目と耳が良くないので出歩くと危険なんですよね。近所の人に発見されて、送り届けられることもあるそうです。
セツさんはきっと、自分が年老いているなんて思っていないんでしょうねえ。目が見えないとか耳が聞こえないとか、それは気のせいだって思っているのかもしれません。気持は若いときのまま。きっとそうなんです。

ぼくたちもそうですよね、気持は10代20代のまま。ところが身体がついてこない。
L.A.モース著の「オールド・ディック」というミステリーの名作があります。年老いた探偵ジェイクに15年ぶりに仕事が舞い込み、若いときの気持のままで事件に立ち向かうというもの。78歳のジェイクは犯人を追跡しながら喘ぎます。「おかしいぞ!何で俺の足はこんなにのろくなってしまったんだ。何でこんなに息切れしてしまうんだ。もしかしたらこれが老いぼれるってことなのか」と。
きっとそういうものです。

セツさん、頑張って脱出してくださいよ(この住宅地はクルマがほとんど通らないから大丈夫でしょう)。楽しいなあそういうの、青春だなあ。

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北原照久さんに教えていただいたサムエル・ウルマンの詩を、セツさんと、これをお読みのすべての探偵ジェイクに贈ります。

青春とは 人生のある時期ではなく 心の持ち方をいう
年を重ねただけで 人は老いはしない
理想を捨てたときに 初めて老いるのだ


セツさん、いつまでも脱出を試みながら元気でいてくださいよ。



イギリスでは、赤ちゃんが誕生すると犬を飼うそうです。その赤ちゃんが物心ついたときに、犬との主従関係、自分が犬のリーダーなんだという感覚を身につけさせるためだといいます。自分にはこの犬を世話したり指示を出したりする役目があるんだということを知ることで、自分自身の存在を価値あるものとして認識させるのです。アイデンティティの確立ですね。
そして犬を飼うもうひとつの理由が、犬の死です。
赤ちゃんが成長して、中学生になる頃に、犬は寿命を終えます。
その悲しみと対峙して、受け入れて、そこから死ということ、命ということ、愛情、そして家族ということを学びます。

庭の設計をしていて、そのお宅にワンちゃんがいる場合、犬種、性格、暮らしぶりをお訊きして、その庭がワンちゃんにとってもお気に入りの場所になることをイメージします。
庭が、そのご家族の誰にとって心地いい場所になることが理想なのか、順位をつけるとすると、まず奥様、次が子供、その次が犬、最後にご主人。ケースバイケース、異論反論ございましょうが、長い経験上、この順番がベストなのです。