庭の地面を持ち上た庭スペースを曽田さんご夫婦の「最上の場所」にするために、いくつかの要素を組み立てました。

その前に、この庭はリビングと離れています。2階がリビングで、この庭に面した部屋は客間のような書斎のような、フリースペースなのです。これが大問題、というかどんな庭に仕立てていくかを考える上での大事なポイントだったのです。
前にも書いた通りで、リビングと離れている庭は、そこに行く目的をハッキリさせるとともに、そうとうに楽しく、ワクワクするようなシーンを思い起こすような仕立てが必要なのです。そうじゃないと、せっかくコストをかけて庭らしくしても、そこに行かないまま、庭を楽しむことのないままの暮らしになってしまうからです。
2階から下りてきてでも、そこに行きたい、そこで過ごしたいという庭。
曽田さんご夫婦にとってどんな庭がそういう「トキメク庭」なのかを、打ち合わせをしながら引き出していった結果、やはりバーベキュー。そして昼寝、読書、洗濯物をたたむなど、そういう日常的なことが庭を使ってできたら、気分良いだろうなあ。そんなイメージでした。


そういう「過ごす」ということの大前提として「目隠し」が必要です。
周囲に視線が気になる窓は少なく、宅地が坂道の途中にあるため、庭は道路から上がっています。ですからいつもやるような背の高い目隠しはいりませんが、それでもある程度のものがないと落ち着きませんので、背の低いタイプ(H 1100)の目隠しパネルを設置しました。


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パネルの設置を、椅子に腰掛けたときにちょうど目が当たる高さにしました。床面から1メートル20センチ。
これが開放感をなくさずに落ち着いて過ごせる「魔法の高さ」なのです。これより10センチ高くても、低くても、その魔法は消えてしまいます。
もしお手元にメジャーがあったら1メートル20センチを計って、そこまでパネルがあるというようにイメージしてみてください。そして次に10センチ低かったらどういう感じか、10センチ高かったらどうなるのか。1メートル20センチ、どっかにメモしとくと何かの役に立つかもしれません。


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もうひとつ、設計していて気にしている高さがあります。それは1メートル50センチ。

この高さが持つ意味とは。
これは庭や玄関アプローチ、あるいは室内を歩くときに、それ以上の高さがある植物や構築物は空間をつくり出し、それ以下のものは平面に配置されているという認識になる、ということなのです。
「そんなこと何の役に立つんだ!」と言われそうですけど、面白いと思いませんか、物の高さでその存在感や空間への影響が変わるっていうようなこと。
例えばリビングに観葉植物を置く場合に、その背丈が1メートル50センチ以下だと、「鉢植えが床に置いてある」ように感じて、それよりも背が高いと「観葉植物があるリビング」となります。

いいぞいいぞ、今日も庭のことを理屈っぽく語れる自分。調子がいい証拠なのです。

明日はバーベキュー炉です。
っと、明日はイブですね。後藤さんちのみごとなクリスマスディスプレイをご覧いただきますので、バーベキュー炉の話しは明後日。