今日は砂場のお話。

庭に砂場。現実的には庭に砂場がある家ってほとんどありませんよね。
でもぼくとしては、小さいお子さん、特に男の子がいるご家庭では条件が許せば必ず作っていただきたい庭のアイテムなのです。

大人にはバーベキュー炉とシエスタベンチ、子どもには砂場とプールを出せるスペース、これがあると、庭は格段に楽しい場所になります。


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男の子はヨチヨチ歩きの時点ですでに男の子ですよね。まず石ころを拾って投げたり蹴っ飛ばしたりします。次は土に穴を掘ります。穴を掘って水を混ぜてドロ団子を作っては並べて、天日干しにして悦に入ります。もの心つかないうちから、もう狩猟や収穫や創造という将来生きて行く上で必要な能力を磨く訓練を、本能に従って開始しているのです。
ぼくはそういう男の子の生態に出会うたび「いいぞいいぞ!」と、もともと細い目をさらに細めてしまいます。


子どもがドロいじりや砂遊びに夢中になっているとき、お母さんは声をかけてはいけません。どんなに服が汚れても、砂が口に入っても、ちょっと離れたところからジッと我慢で、その遊びに飽きるまで見守ってあげてください。子どもが夢中で穴を掘っているときに、その子の無垢な脳細胞に、集中力やイマジネーションが育っているからです。
躾けは言葉がけで教えられますが、集中力とイマジネーションに関しては大人の言葉は邪魔をしてしまいます。かけてもいい言葉は「上手だねえ!」と「すごいねえ!」だけ。
 

これまで砂場を設置したお宅のお子さんを観察してみると、女の子は砂遊びからすぐにおままごとに移行して、近所のお友達と一緒に数年間は遊んでくれます。砂場のある庭が女の子たちの社交場のようになって、そのお宅は託児所状態。子どもの親たちもやって来て、にぎやかな庭風景が展開されます。女の子というのはそういう時間を経て、将来話し好きなにぎやかな、元気なおばちゃんになっていくんでしょうねえ。
それに対して男の子は、ひとりで純粋な砂遊びを何年でも楽しんでいて、長い子だと、小学5年生になっても庭の砂場がお気に入りの場所、ということもあります。わかるんだなその感じ。

男の子にとって砂場はただの遊び場ではなく、無限に広がる宇宙空間なのです。 

ひとりで宇宙遊泳している感覚。


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男の子は砂遊びをしながら自分と向き合っているのです。
砂場を舞台に社交性、コミュニケーションを身につけていく女の子と、砂を掘りながら自分の内面を掘り下げていく男の子。

・・・年を取ってもそのままですね。年配のご夫婦って、奥様はお友達と出かけることが多くて、ご主人は自宅で趣味や読書で沈思黙考する。
つまり、砂場は、人生を練習する場所ということです。
っと、えらく大げさな話になりましたが、でも、砂場がある庭ってほんとにいいもんですよ。
お子さんに、庭の直径1メートルほどの宇宙空間を(女の子には社交場を)、プレゼントしてあげてください。