再度テラスに戻って、何をどう構成したのかを解説します。



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中央にいつもの囲炉裏があります。これはテーブル兼用、バーベキューをしなくてもコップや皿を置ける幅があります。

囲炉裏と同心円でレンガ塀があり、それを背中にして、これもいつもの昼寝ができるベンチ(シエスタベンチ)です。その一角を植栽スペースにして、いつもは落葉樹を植えるその場所に、今回はオベリスクを置いてクレマチスを絡めました。



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レンガ塀はいつもは目隠しが目的なので、座ったときに周囲からの視線を遮る高さまで積むのですが、今回は違います。椅子に座って周囲の植物を感じられるように、床からの高さは90センチです。

ベンチに腰掛けるとこんな感じです。



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椅子に座るとこうなります。



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「仕切っておいて見通す」、この具合をどうするかで、場の雰囲気は全く違うものになります。
設計時に頭の中で何通りもレンガを積んでみて「ここだ!」という高さを探すのですが、それをイメージするのがけっこう楽しい作業なのです。設計段階で、すでの完成した庭を想像する。妄想癖のあるぼくにはうってつけの作業で、すぐにその仮想庭を歩き、風に揺れる花を眺め、鳥の声を聞き、あまりの心地よさに現世に戻って来れなくなることもあります。そういう状態のとき、ぼくは傍目にはボーッと惚けているように見えるらしく、妻が「おーい、帰ってきなさーい」と声をかけてきます。


このレンガ塀で、平面から腰高までの空間構成ができました。次は上空です。
テラスの上部を構成するのがこのパーゴラ。
これもまた「仕切っておいて見通す」です。パーゴラがあることでそのむこうの空を感じるようになるのです。空を取り込みながら籠ることの心地よさを生み出す、パーゴラの不思議。



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パーゴラの柱を利用して、植物を絡めるための木製パネルと照明器具を設置しました。このパネルも「仕切っておいて見通す」。



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はい、これでバーベキューテラスは「外の部屋」になりました。



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この風景はリビングの窓に描いた絵でもあります。家族が集まるリビングルームの外にこの風景があったら、庭に誘われますよね。
風景に誘われて外に出ると、そこは室内とは光と空気の質が違う「外の部屋」です。


こんなふうに、いろんなことを考え、時に妄想の世界をさまよったりしながら設計しています。
もしかしたら、いつかあっちへ行ったきり帰って来れなくなるかもしれないなあ。いやほんとに、あっちにいるときに、カラータイマーが点滅するみたいにドキドキしてくることがあります。だから妻の声で現世に戻ると、少しホッとします。






今日の夕方、早めに仕事を切り上げて妻と葉山に行きます。夕焼けの時間を狙って愛犬ノアの海岸デビューです。



ノア1




夕日にキラキラしながら寄せては返す葉山の波に、このお嬢さんがどんな反応をするのか、楽しみです。水は嫌いじゃないから、もしかしたら泳ぐかな?