石井さんちの草花をご覧いただきながら。

庭付き一戸建てという言い方、最近あまり耳にしませんね。
昭和時代には「憧れの」付きで、そういう言い方というかうたい文句があった気がするんですが。



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これだけたくさんの家が建っていて、そのほとんどに(建ぺい率の関係で)いやでも庭スペースがあるのに、たいがいその場所を活用できていない。物干し場や畑にしているならましな方で、何となく木を植えて、休日にホームセンターで買ってきた草花を植えてはみたものの、一年を振り返るとそこでやったことといえば雑草取りだけという庭が大半です。他にはウッドデッキを取り付けたけど使ったことがないとか、雑草取りが嫌なので庭中に石や砂利を敷いたが、さてそれで?いったいどうしたらいいの?みたいなことだらけです。



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結局のところ、残念ながら庭文化が育たなかったんですよね。庭スペースはあっても、そこを幸せな暮らしのために活用するという発想がないままに、建物だけが耐震&高機密高断熱へと進化を遂げ、庭は置き去りにされたまま今日に至る、みたいな感じでしょうか。
余裕がなかったんですかねえ、金銭的とか気持ち的に。だとすると、悲しいなあ。庭を楽しむのにたいしてお金などかからないし、庭を楽しむことで気持ちの余裕が生まれるのに、全く逆方向に向かって足踏みしているのですから。



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庭をそのように、ちゃんと提案する人がいなかった。これは言えます。
ガーデンデザイナーと名乗っている人、それを仕事にできている人の数自体ものすごく少ないのです。造園、園芸、外構、エクステリアに関する仕事をしている人は限りなくいますが、ガーデンデザイナーとなると、ぼくの知る限り全国で多く見積もっても数百人じゃないかなあ。もしかしたら数十人かもしれません。「もしぼくならこの人に頼みたい」というところまでハードルを上げれば、十数人です。そんなものです。とっても珍しい仕事なのです。



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つまり、庭スペースは無限に存在しているのに、そこを暮らしの場所として有効活用するというような提案をする人が、ほとんど存在していない。庭付き一戸建ての庭をどうしたらいいのかとうことは、未開のジャングルみたいな状態なのです。
だから(ちょっと辛辣な言い方になってしまいますが)必然的に建築設計士による眺めるためだけの庭や、住宅メーカーが紹介する外構・造園業者が提案する中途半端なデザイン遊びみたいな庭ができあがってしまい、その庭は、その後何ひとつ家族の幸福感に寄与しないまま荒れ果てていくことになってしまうのです。



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ではどうしたらいいのかというと、自分で何とかするしかありません。ジャングルを自らの手で切り開くのです。それか、ものすごく希少な、ガーデンデザイナーと呼べる人を探し当てて相談しましょう。



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意外でしょ、家のこととは違って、庭のことをちゃんと考えてくれる人がほとんどいないということ。でもそれが現実なのです。



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では、そんな現実は現実として把握した上で、庭スペースを持っているあなたはこれからどっちに向かって次の現実をつくり上げていけばいいのか。
自分で何とかするにしてもガーデンデザイナーを捜すにしても、その庭を実り多い場所にできるかどうかは、実のところ、あなた次第なのです。

この続きはまた明日。