今日は「アクセント」 についてです。

アクセントとは、音楽でいうと一連のメロディーラインのなかで、ある音を強くすることです。それによってメロディーに印象が生まれます。
ではそれをデザインに置き換えるとどうなるでしょうか?
音楽なら、ある単音のボリュームを上げればいい、鍵盤を強く叩けばアクセントになります。

ではデザインの場合は?
デザインには音はありませんので、アクセントは色でつけます。

デザインは、色でアクセントをつける。

例えばこういうことです。
バブル期後半に、コンクリート打ちっぱなしのお店が流行りました。一見すると地下倉庫のような無機質の壁と天井で、インテリアはモノトーンで。
その極端にモダンな空間をカッコいい場所として成立させるには、あることが必要です
それは、アクセントをつける。つまり、色を入れるということです。

イメージしてみて下さい。
コンクリートが支配するモノトーンの空間に、真っ赤な椅子が置いてある。
その椅子の赤が入ることで、空間全体がイキイキとしますよね。その椅子がなくて、どっちを見ても冷たい白黒の世界だったら味気ないです。そしてそれ以上に、気分が沈む感じになり、とてもじゃないけどそこで恋人とすてきな時間を過ごすなんてありえません。
当時、そういうコンクリート打ちっぱなしの空間に、どういう色使いでアクセントを付けるかが、空間デザイナーの腕の見せ所だったのです。

その「色使いによるアクセント」の効果は、住宅外構や庭でも同じです。
家の外まわりには、たいがいアクセントが存在しません。壁やアプローチ、庭木、エクステリア製品、どれもナチュラルな中間色でまとまられているものです。
その色彩的には平板な風景にアクセントとして、真っ赤なドアがあったら・・・、



こうなります!
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これは、あるリフォーム好きの奥様が、ご自分で塗装した扉。何とも楽しい、見事なアクセントです。

このように、色によるアクセントが風景全体をイキイキとさせます。


では古澤さんちです。
玄関アプローチの入り口に赤いポストを設置しました。



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ちょっと後ずさって眺めると、こうなります。



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赤い点景物によるアクセント効果、感じていただけるともいます。



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その赤い色に引き寄せられるように近づいていくと、ポストの後ろのレンガ塀にプレートが。



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奥様が設置した「Welcome」と書かれたプレートです。



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アクセントで全体を楽しい雰囲気にして、そのアクセントで引きつけておいて「ようこそ!」と。
奥様のおかげで、見事な仕上がりになりました。


庭や外構に色を入れることを、日本人はほとんどやってきませんでした。京都の石庭に赤い壷が置いてあるとか、方丈庭園の縁側がターコイズブルーとか、ありえませんよね。
でもヨーロッパや南米の庭は、パレットのように、自由自在に色を使いこなしています。

色を使って、庭空間をイキイキとさせましょう。

アクセントを考えることと同時に、色を楽しむことにもどんどんチャレンジしてみましょう。




感性が豊かに暮らしている人っているんですよね、美的感受性が飛び抜けている人。
ドアを赤く塗った奥様の家のリビングには、なんと蛍光灯がありません。窓からの自然光と、豆電球を使ったアンティークなシャンデリアと、キャンドルで暮らしているのです。カッッックイイですよ。