この数日間、朝起きる時間が遅くなっていました。遅いといっても6時過ぎなので朝寝坊ではないんですが、自分としては5時にスッキリと目覚めるのが理想なので、ちょっとリズムが乱れていることが気になっています。
こういうときにディフェンシブになると、ドッと疲れが吹き出してしまうことは百も承知していますから、攻めることにしました。
今朝は4時に起きて、一瞬庭に出て(まだ真っ暗)、すぐに身支度して出社。いつもは朝のまったりした時間に、徐々にテンションをあげていくことが習慣になっているのを、ちょっと変化させてみました。
朝食は吉野家の朝定食、その後駅前のスタバでコーヒー買って、まだガラガラの保土ヶ谷バイパスを一路「レノンの庭」へ。

何となく体調悪いなあということありますよね。何となく気分が冴えないままで数日が経ってしまうとか、そういう体調不良前夜みたいな、未病ですか、そういうこと。
そういうときに素早くリカバリーするためには、変化させることが一番。それもちょっと無理する方向へと何かを変えてみる、刺激を与えてみるということをよくやります。
昭和時代のテレビみたいなもので、映りが悪くなったら、叩く。
うちの実家は町の電気屋さんで、居間の棚にはドライバーやハンダゴテなどの修理道具がたくさん置いてありました。でも、自分ちのテレビが映らなくなると、親父は・・・よく叩いていたなあ。
ぼくもそのテレビみたいなもんで、まず叩いてみる、自分は叩けばなんとかなると、そう思い込んでいるようなところがあります。

調子が悪い時はまず叩いてみる。昭和に製造された人の修理方法です。

避けたいのは、調子が出ないままで時間を過ごしてしまうこと。そうやってだらだらとダメ状態を続けると、ろくなことになりません。「リカバリーは素早く」が大事。

リカバリーするために、どこがいけないのかという現状分析することも必要ですが、それよりも、とにかく変化させること。それも負荷をかけることがぼくには合っているようです。
いつもより3時間早く出勤すると、時間がたっぷりあっていい気分です。
製造年月日が昭和35年3月14日のおんぼろテレビ、時々叩けば、まだまだ使えます。


ではルーティン、槌矢さんちのビフォー・アフターをご覧いただきましょう。
湿気が強くてこもった場所、どう扱っていいかわからないままに時間が過ぎていた庭スペースの変貌です。



Before 1
ビフォー1

After 1
アフター1



すごい変化でしょ。



Before 2
ビフォー2

After 2
アフター2



庭が生まれ変わりました。
新築のさら地状態からだったらいつものことなんですが、そうじゃなくて、新築時に設置したウッドデッキが朽ちて以来、何年間もビフォーの状態だったわけですから。 



Before 3
ビフォー3

After 3
アフター3



今までは、リビングのカーテン開けると、その外に見える風景は苔むしたお隣のブロックでした。
それだけでも、ちょっと気が滅入っちゃいますよね。 



Before 4
ビフォー4

After 4
アフター4



それも解決して、さらに、そこに出て過ごしたくなる場所ができたわけですから、ぼくとしてもちょっと興奮するほどの変化です。



Before 5
ビフォー5

After 5
アフター5



このように、マイナス要素が一気にプラスに生まれ変わるという変化に立ち会えることのうれしさ。



Before 6
ビフォー6

After 6
アフター6



この劇的な変化をもたらしたものは、ぼくの設計じゃなく、かけたコストでもないんです。
ほんとですよこれ。 



Before 7
ビフォー7

After 7
アフター7



いくら丹念に設計しても、いくらお金をかけても、この一気にプラス世界が出現する劇的な変化は生まれません。



Before 8
ビフォー8

After 8
アフター8



ではいったい、何がこの庭を生み出したのかというと、それは槌矢さんご夫婦の「もっと!」という気持ちです。



Before 9
ビフォー9

After 9
アフター9



「もっと!」という気持ち。
苔むしたコンクリートを眺めながら、多くの人はそれを見慣れてしまいます。庭に出て楽しむことができなくなっても、日常には他に楽しいことはたくさんありますから、庭が楽しいことリストから外されたままになります。「別にこれでもいいじゃない。しかたないよ」と、何年でもそのままで過ごし続けます。 



Before 10
ビフォー10

After 10
アフター10



ぼくは、その悲しい状況から抜け出すための設計をするわけですが、お客様の中にそれに呼応する気力、元気、欲求、ワクワク感がないと、仕事として成立しません。
その呼応がないままで設計通りに仕立ててみたところで、これもまたカタチだけの庭になってしまって、時間の経過とともに色あせていくことは目に見えています。



Before 11
ビフォー11

After 11
アフター11
 


見慣れた日常に「もっと!」という気持ちを持ち続ける人だけが、劇的な変化に遭遇できます。

例えばサッカーってそうなんですよねえ。なかなか得点できない時間帯が続いていても、攻め続ける姿勢を無くさなければ、突然チャンスが舞い込んできてゴールが決まります。押しまくられるばかりでひたすら守りに入っている状態では、間違っても得点はできません。

ご来店から打合せ、完成まで、槌矢さんご夫婦はいい試合を見せてくれました。






朝早くに店にきたおかげで、余裕しゃくしゃくで設計に入れます。
おまけにさっき「今日の門馬さんちの取材は雨で延期でーす」と電話が入って、ますます余裕ができました。
門馬さんちにうかがうのは先の楽しみになって、今日はタップリと設計する時間ができて、雨が降ってきたので集中力も増すし、いやあ、早起きするといいことだらけの展開になります。
何となく調子が落ちそうになったら、とりあえず叩いてみる、負荷をかける方向に変化させてみる。
もしあなたが昭和生まれならやってみてください。
昭和のテレビは、叩けば何とかなります。電気屋の息子が言うんですから間違いありません。