設計の合間に気分転換&メタボ対策の散歩。「レノンの庭」からすぐの四季の森公園を歩いていたら、菖蒲田の脇に咲いていたアジサイが目にとまりました。



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近づいていって、カメラを覗きながらさらに近づいて、ググッとアップにしたときに、その美しさが迫ってきました。



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森のリトマス試験紙、アジサイ。



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この時期視界に入ることはよくあっても、それを意識して、立ち止まることは少ない花です。



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それがなぜか、そのときは軽く打たれるような、ちょっとした感動みたいな感じがありました。



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昨年までのぼくには、たぶんそういうことはなかった。昨年のぼくなら、菖蒲田の脇に咲くのを写してから、すぐに帰って設計を再開していたと思います。



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でも、ぼくはその「昨年と違う自分」と意識したことで、妄想渦巻くあらぬ世界の扉を開いてしまいました。パチッとスイッチが入ってその扉の向こうの部屋が明るくなりました。



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開いたからには中へと進んでいきたくなって、それから2時間、広大な公園を歩き回りながら、アジサイを撮影しました。



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ほとんどが森の森林公園の山陰や散策路の脇に、ポツンポツンと点在しているアジサイを探しながらの撮影は、ほとんど歩きっ放しです。10分歩いては見つけてパシャッと撮って、15分歩いてはパシャッと。



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そうやって狩りをするように歩いているときは、獲物を探すことの楽しさ以上に、歩くこと自体に夢中になります。



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歩く、ただ歩く、ただただ歩いていると思考が澄み切ってきて、アジサイの色がますます沁みてきました。



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何で今年はこんなに・・・。



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今まで大した感慨を持たなかったことに深く感じ入るようになる。年取るってこういうことかなあと。



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花ごとに違う美しさで迫ってくるアジサイが、ぼくには公園を散策している大勢のお年寄りの姿とダブりました。



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年金ぐらしで時間に余裕があるから、こうして平日の公園に集まってくるのかと、以前のぼくはそう捉えていたと思います。
でも今は違います。



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年を取れば取るほど、忙しいのです。
そして経験を重ねれば重ねるほど、感受性が豊かになります。



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その豊かさは、青春期の多感さとは違う、芳醇な感性。
自身が熟成されたことによって得られた多感さです。



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だからじっとしていられません。ビンビン感じますからね。
予定をやりくりしては公園に出かけて、木々や花を楽しみ、水筒に入れてきたお茶を味わいながら、友だちとの会話に花が咲きます。



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心配事を相談し、逝ってしまった連れ合いとの思い出を掘り起こし、今夜の食事を考え、お互いの健康を気遣い、人生がいかにすばらしいものであるかを確認し合います。



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暇を持て余して公園に来ているお年寄りなど一人もいません。そういうもんなんです。



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うちのお客様の中にも、たくさんのお年寄りがいらっしゃって、みなさんとても忙しく暮らしています。
いち日いち日を充実させながら。



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さんざん歩き回りながら感じました。
アジサイは、色もカタチも千差万別で、それそれがそれぞれの輝きを持っています。
それはまるで、公園で梅雨の晴れ間を楽しむおじいちゃんおばあちゃんのようです。



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その色は、驚くほどフレッシュです。



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年を取るってすごいことです。
辛いこと、悲しいこと、やりきれないことをすべてのお年寄りが経験していることでしょう。



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うちの亡くなったばあちゃんは、大失恋をして何日も部屋に閉じこもっていたぼくに、「ひでとし、まんま食え。思うように行かねえことあるどもに、おめえ、生きてるだけでありがてえんだぞ」と言ってくれました。ぼくは泣きながらタマゴかけご飯を食べました。



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じいちゃんは帰郷するたびに、いつも、「おい、横浜は仕事はあるか?仕事があればあちこたねえ(大丈夫だ)」と。



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芳醇な言葉だなあ。同じことを親に言われても、こんなに沁みることはないと思います。
突然開いた、記憶の引き出しでした。



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あの日、2時間歩いて本当によかったと思いました。翌々日の台風で、花は折れ、色はくすんでしまいましたからね。



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こうして写真を並べていると、あの2時間が、一瞬の奇跡の時間だったように思われます。



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長く生きると、ちゃんとご褒美が用意されていますね。
若者には決して感じることができないことを感じられるようになり、いろんな経験を積み重ねて、熟成された言葉やたたずまいが、この日のアジサイのように美しく花開きます。



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広大な四季の森公園、すごくいいですよ。
 


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梅雨時期はしっとりとした森の空気を楽しみに、そして梅雨が明けたら蝉時雨と木陰の諒を求めて、ぜひ行ってみてください。



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中原街道の、ズーラシアとららぽーとの中間地点にあります。
道路を挟んだ反対側に「レノンの庭」がありますので、こっちもぜひ覗いてみてくださいね。






台風の塩害で枯れ枯れになってしまった草花を、今日の雨が洗い流してくれます。
あまりの忙しさで疲労が頂点に達してトリップ状態に入ったのか、単にオジサンになったのか、最近なんだか、何でもかんでもありがたく思えてしまいます。花見て泣けてきたりするんですよねえ。
今朝は生まれたてのメダカをすくっていたら(別の水槽に移さないと親にパクパク食べられてしまうのです)、妙に胸にこみ上げてきて・・・。
まあ誰に迷惑かけるわけでもないので、しばしこの感じを楽しみましょうかねえ。うん、悪くないなあこの感じ。


前を向くカレンダーの6月20、21、22日の言葉です。

幸せとは、ありふれたことを、かけがえのないことだと気付くこと。
birdie-chance   神奈川県横浜市 35歳 会社員



さっ、雨音を聴きながら、設計に没頭します。
そして夕方はテミヤンライブ。6時30分に横浜人形の家でお会いしましょう。