25歳の春、まだ風景に雪が残る北魚沼郡から、ぼくは旅に出ました。
それを、世間では家出と言うのですが、本人としては家出じゃなくて、出家するような清々しい決心を持っての旅立ちでした。

愛車のおんぼろアコードに、着替えと、数冊の本と、ラジカセと、カメラと、電子ピアノを積んで三国峠を越えた、あのひとりっきりの旅立ちから27年。
流れ流れてたどり着いた横浜で、こうして、たくさんの人に囲まれながら暮らしていることの不思議。 

今は天職と思って没頭しているガーデンデザイナーという仕事も、言ってみればなりゆきの末のこと。



【 内山邸 】Before
内山邸ビフォー

After
内山邸アフター
 


人生は旅。いわふちひでとし52歳、まだ旅の途中です。

その道すがらに出会った、庭を楽しみながら暮らす人々に、ぼくはいつしか導かれるようになっていきました。
頑張れば頑張るほど深みに足を取られてゆくぼくを、高みから笑顔で手招きしてくれた賢人たち。
その人たちの暮らしぶりに発見した知恵や、幸せを実現するためのコツ、生きる上で大切な事柄を、ぼくは庭に潜む「幸せへの扉」と捉えて並べてきました。



【 曽田邸 】Before
曽田邸ビフォー

After
曽田邸アフター
 


前項までの29の扉です。


1、もっと!

2、懐に入れて温める

3、平らな時空にいる

4、早く起きて庭に出る

5、悪所に近づかない

6、波動を知る

7、波動を上げる

8、波動の法則

9、エレベーターのスイッチを押す

10、幸せな生活感があふれていいる

11、シンプルに暮らす

12、パートナーの笑顔が生きがい

13、庭は奥様へのプレゼント

14、ほめ上手、のろけ上手

15、直感で選び、何ひとつ否定しない

16、いつも主人公

17、エネルギー値が高い

18、楽しみを先送りにしない

19、すべてを「◯◯したい!」に変換する

20、掃除好き

21、家を愛おしむ

22、興味津々

23、山あり、谷あり、言葉あり

24、長い友だち

25、仕事も家庭も日々鍛錬!

26、様子がいい

27、自然な暮らし

28、笑顔で暮らす

29、花を植えましょう


そして30番目の扉は、「扉を開き続ける」です。



【 蔵前邸 】Before
蔵前邸 ビフォー2

After
蔵前邸 アフター2
 


庭に潜んでいる扉、ひとつの扉を開いて中へと進むと、そこには今まで感じることのなかった素晴らしい世界が広がっています。
でもその素晴らしさが日常になったとき、そこにまた次の扉が現れます。開きます。また次の扉が・・・。

ぼくはそれを繰り返していくうちに、毎日が幸せでいっぱいな今の暮らしにたどり着きました。
扉の存在など気にもかけなかった頃の、何をやってもうまくいかずにもがき苦しんでいた自分が、親や妻や子ども、そして友人たちにも、心配と迷惑をかけ続けながら過ごしていた日々が、遠い昔のことのように思えます。

人は変われます。
自分が変われば、人生は好転し、どこまでも明るい未来が開けていきます。


これ、実感です。
昔のぼくを知る人たちは、口を揃えて「あんなに◯◯だったお前がねえ、よくここまで・・・」と。
◯◯と・・・は、・・・あまりに恥ずかしいので伏せときますが。



【 畑邸 】Before
畑邸 ビフォー5

After
畑邸 アフター5
 


あなたは今の自分をどう感じていますか。

あまり幸せではないなあと感じるなら、扉を開き続けてください。大丈夫です、絶対に幸せになります。
なぜなら、扉の存在を教えてくれた人たちも最初から幸せだったわけではなく、扉を開き続け、そこを通ることによって幸せになったのですから。ぼくもそうです。

今がとっても幸せだと感じているなら、やはり扉を開き続けてください。人生が、あなたが考えてもいないような、もっと大きな幸せへと向かいます。
それと幸せは固定されませんから、決して油断してはいけません。幸せで居続けるためには、いつも視線を幸せ方向へと向けて、止まることなく進んでいなければならないのです。

「幸せへの扉」を開き続けることが、幸せへと向かう旅路の歩き方。

ひとつ開くと、次の扉が現れて、昨日開いて通ったはずの扉がまた現れたり、何度も何度も扉を見つけては進んでゆく。それが幸せな人生への唯一の道なのです。



【 日置邸 】Before
日置邸ビフォー

After
日置邸アフター
 


この30の扉のひとつひとつが、ぼくにとっては世紀の大発見なわけです。でも同じ扉が、もしかしたらあなたにとってはごく当たり前なことで、扉でも何でないかもしれません。
あなたには、あなたにしか見えない扉が現れます。必ず現れますから、それを見逃さないで、すぐに開いて入って行ってください。
それを繰り返すことがよりよく生きることなんだと、心に刻み込んでください。

メンター北原照久さんから教わった言葉を書きます。

おごるなよ 月の丸きも一夜限り

これは、臨済宗の高僧であり、その奔放な言動のままに波瀾万丈の生涯を送った仙崖和尚が、家を新築したお金持ちの信者から掛け軸をたのまれ書いた言葉だそうです。
その信者さん、ドキッとしたでしょうね。



【 高橋邸 】Before
高橋邸 ビフォー

After
高橋邸 アフター
 


坂村真民の、こんな言葉もあります。

不幸は待たなくてもやってくる。だが幸福は、待つだけではやってこない。

だから、ね、扉を見つけて、それを開き続けましょう。

ゆめゆめ油断なさりませぬように。