建物も庭も、できあがったときがベストな状態で、ローンを払うに従って色あせ退化してゆく・・・というのでは悲しすぎますよね。

ヨーロッパでは「家は育てるもの」という感覚があります。
庭は、その感覚がさらに強い場所として認識されています。


力まかせに開発、消費しながら発展することを良しとするアメリカ的価値観よりも、歴史と伝統に重きを置くヨーロッパ的価値観の方が、これからのぼくらには大切なんじゃないかなあ。



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イングリッシュガーデンって、みんなもてはやすでしょ。あの魅力に欠かせないのが「時間の経過」です。
時間が庭を輝かせる、そのことに気づかずに、そのカタチだけを真似しちゃうと・・・年々色あせていくという悲しい展開になる可能性がありますので、要注意ですよ。

時間の経過とともに味わいを増してゆく庭がいい庭です。



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まあヨーロッパとか言わなくても、日本人はもともとそういう民族だったんですけどね。

暮らすということは、家庭(家と庭)に記憶を紡いでゆくことであり、幸せを育んでゆくこと。
日本の庭は、家族の歴史を刻んでゆく、アルバムのような場所として存在してきました。
あなたもきっと、そういう家庭で育まれてきたことと思います。じゃなかったら、庭になんか興味を持ちませんからね。

家と庭で「家庭」。たぶん日本だけですよね、このすてきな言い方。



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そういう魅力を生み出すためには、庭を構成する素材を吟味する必要があります。

建築・造園資材には、時が経つと劣化した印象になるもの(劣化素材)と、逆に風合いを増していくもの(風合い素材)とがあります。
劣化素材はコンクリート、アルミ、樹脂(プラスチック)などで、風合い素材はレンガ、石材、材木などです。
雨風にさらされ日に焼けるほどにいい感じになってゆく石、歩けば歩くほどやわらかく丸みを帯びてゆくレンガ、年月を経て苔むしてゆくことを良しとする感覚で素材を選んでください。

風合い素材で構成した庭は、時間とともに輝きを増していきます。



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例えばウッドデッキ。腐らない人工木(樹脂)も便利でいいんですけどね。でも手入れをしながら、補修をしながら、本物の木材の風合いや温もりを楽しむ方がいいんじゃないかなあって思うんですけどねえ。
植木鉢もそうで、素焼きの鉢なら、いくらたくさんあっても庭の良い感じを損なうことはありません。たとえ草花が植わっていなくても、苔が生えた鉢が転がっているだけでも庭に風情が生まれます。
でもそこに白いプラスチックの鉢が混ざったらどうでしょう。とたんに景色が雑然としますよね。

天然・自然に近い素材が風合い素材です。
見て、触れて、気持のいいものに囲まれて暮らすことで、あなたの心身はいい具合に調整されます。




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横浜山手の洋館、鎌倉の古民家などの歴史的な建物をイメージして、風合い素材で庭を組み立てていってください。

素材を吟味することで、その庭があなたとご家族の歴史的な場所へと成長していきます。



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もちろん素材以前に、庭を家族の幸せな時間を積み重ねてゆく場所としてイメージすることが先なんですけどね。