庭はふたつに間取りしました。リビング前のレンガ塀に囲まれたテラスと、和室前のガーデニングエリアです。

今日は和室前を解説します。

リビング前はキッチリとレンガで目隠しをしているのに対して、和室前は縦横格子の木製パネルで目隠ししました。
理由は3つあります。
1、普段は使っていない部屋の前なので、レンガほど強い目隠しである必要がない 。
2、庭側が植物を育てて楽しむ場所なので、いくらかでも陽が入ることと、風通しを確保するため。
3、リビングと和室で、室内からの眺めを変えたかった。

ではご覧ください。
まずは道路側からです。



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風は通るといっても、けっこうな目隠し効果があります。もちろん部屋のカーテンは開け放っておけます。

庭側に入ると、外からの印象よりもはるかに開放感があります。



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この隠し具合、我ながら絶妙。
目隠しの設定については、設計しながらほぼ毎回考えることであり、その仕上がり具合がいつも気になります。
隠すべきはしっかり隠す。でもそれを必要最低限にとどめないと、庭は箱の中みたいになり、圧迫感が出たり閉鎖的な場所になってしまいます。
空や周囲を感じられることが屋外にある庭スペースの大きな意義ですから、遮蔽し過ぎはいけません。

目隠しの設定は、隠しながらも庭の開放感をなくさないバランスが必要。

庭によって広さや周囲に状況などが違いますから、やむを得ない場合もありますけどね。その場合は、やっぱり目隠しが優先で、箱の中感はあれこれと手法を駆使して和らげるようにしています。
優先すべきは「目隠し」、ということは変わりません。

どんな条件でも、まずはセオリー通りに組み立てる。
あれこれ考えあぐねても、優先順位は守る。
基本が崩れることで本質が崩れたら元も子もありません。




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ぼく、この点はすっごく頑固です。
世の中の多くの庭が、基本が崩れていることで使えない場所、楽しめない場所になってしまっているからです。

むやみに基本を外れないこと、基本を忘れないこと、それ以前に基本を持っていることが大事。これ、庭だけじゃなくて、どんな仕事でも、子育てや暮らし全般のことでも言えることですよね。

坂東玉三郎さんが言っています。

型破りな芝居は、型を知っているからこそできること。

基本です、基本。



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ガーデニングアリア、ということは植物を植えて、管理しながら育てる場所です。
やるべきことは通路の設定です。土を踏まずに手入れができる導線(歩き方)を考えて通路を仕立てます。
そのときに、できれば直線ではなく、曲がってうねって歩くようにすると庭らしくなります。



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真っすぐ歩くと通路、曲がって歩くと庭。

曲がって歩くと庭になるって面白いでしょ。
たまにはわざと歩きづらくすることで足元に視線を導いて、そこに面白い小物を置くとか、そういうこともやります。これは日本庭園で昔から使われている手法です。

歩きやすいだけだとつまらない、歩きづらい非合理性に気持が引っかかって心が動くという、こういう辺りに庭の本質があるんだなあ。

無駄があるから面白く、歩きづらさから情緒が生まれる。

放浪の詩人、種田山頭火です。

真っすぐな道でさびしい

心地いい非合理性を設計に織り込むことを忘れると、庭が庭ではなく、造形の場所になってしまいます。



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構成上、もうひとつ意識したのが庭にボリューム感を出すということ。上下の厚みを持たせて、横方向では奥行きを感じさせるようにする、ということです。
「野菜や草花を育てる場所」というと、どこに何を植えて、という具合に平面的にまとめがち。空中も庭だということを感じられるようにするために、エリアの中央に木を植えました。



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和室からの眺めをご覧ください。



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カーテン開けておけるし、景色としても厚みと奥行きがあって、洋風の坪庭に仕上がりました。



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草花が茂っていって、木が大きくなればなるほど、この庭は厚みと深みを増していきます。
今はあまり使っていない和室が、きっとお気に入りの部屋になりますよ。