なんでそんなに庭が好きなんですか?
これまでお客様から、何度もこの問いを頂戴しました。
ぼくが庭の楽しさ、庭がある暮らしの素晴らしさを嬉々として話しているときに、そう問われます。
言い方を変えれば「どうすればそんなに庭を好きになれるんですか?私もそうなりたいんですけど」ということです。



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どうしたら庭が大好きになれるのか、これはとっても簡単。

手をかければかけるほど、その対象への愛情が増します。

手入れをすればするほど、その庭が愛おしく感じられるようになります。



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「さんざん雑草引っこ抜いて手入れしてますけど、やればやるほど嫌になるんですけど・・・」聞こえてきそうです。
それって、多くの場合、中途半端に雑草取りしてるんですよね。いやだいやだと思いながらやってるから「そこそこ」で終わりにしているのです。
もっとやったらいい。黙々とやって、やがて愚痴が出なくなって、もっともっとやって、やってることも忘れるほどやってみたらいいんですよ。



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夢中でやって、ふと顔を上げると視界から雑草が消えている。
ウ〜ン、清々しい。


多くの人が庭が嫌いな理由の筆頭に上げる「雑草取り」が、じつは庭を楽しむ人にとっては「楽しみのひとつ」なんですよね。
庭がさほど好きではない人にとって、これはとても意外なことかもしれません。



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庭が完成するまでの打合せの段階で、ぼくは自分自身が感じている庭の素晴らしさを話します。その話の中身は、デザインや植物の種類のことなどの庭の構成についてではなく、「庭がある暮らし」についてです。
雑草取りの楽しさ、手をかければかけるほどそれに応えてくれる花たちのこと、数ヶ月後をイメージしながら花を植えるこということの意味、ただ眺めるのではなく、暮らしの場所として庭に出て過ごすことの重要性、庭がどのようにして日々の幸せに寄与するのかなどをじっくりと時間をかけて伝えます。

ぼくが提供したいのは、イカしたデザインの庭ではなく、暮らしが幸せをへと向かう庭です。



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ぼくのその思いをそのまま受け取ってくれる人と、なかなかスンナリとは受け取っていただけない人とに分かれます。
その分岐点にある看板に書いてあることがこれ。

あなたは、苦労を楽しんだ経験がありますか?

苦労を避けてばかりいる人には、とうてい庭を楽しむなどということはできません。
苦労の先にこそ幸福感が待っている。しかも苦労すればするほど、その幸福感は大きい。
それを知っている人だけに庭は微笑みかけてくれます。



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「な〜んだ、そんなに苦労しなければ庭を楽しめないのか」と思った人は要注意です。
いや、おせっかいなことなんですけどね。それを重々承知で言いますけど、苦労の先に幸せがあると気づかないと、人生なかなかうまく事が運びませんよ。

苦労して、手をかければかけるほど、あなたは愛情に満ちた人になります。
もしいつも苦労を回避する思考で生きていたら、あなたの愛情は枯渇してしまって、誰も愛する事ができない、誰からも愛されない、それどころか自分をも愛せない人になってしまう可能性があります。
庭はそうならないための修行の場でもあるのです。




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苦あれば楽あり、楽あれば苦ありってこと。
庭好きの人は、無意識に、自分がそいこからブレていないかを確認するために庭に出ているんじゃないかなあ。

庭がある暮らしを楽しみ、庭を花いっぱいにしている人は、ひとりの例外もなく「苦労は買って出る」タイプの人です。間違いありません。
そうじゃないと、庭はあっという間に色あせるという性質を持っていますから。




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冒頭の問い「何でそんなに庭が好きなんですか?」に、もうひとつの答えを出すとすればこうなります。

苦労の向こうに幸せがある事を忘れずにいられるから、庭が大好きなんです。

家事も、育児も、夫婦関係も、何でもそうでしょ。苦あれば楽あり、楽あれば苦ありなら、積極的に苦労を積み重ねていく暮らしこそが、幸せへと至るためのまともな思考なんじゃないかなあ。
庭はそのロジックに、即座に、見事に反応してくれる場所だから、ぼくは庭が大好きなんです。



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では、ぼくから問います。

あなたは庭が好きですか?

はい!苦労もするけど、庭は大好きですよ!そういう答えが聞きたいなあ。