新築の場合、多くのお客様は、「庭スペースがあるから、とにかくそこを何とかしなくては・・・」ということで相談に来られます。
その時点では「とりあえずその庭スペースを、庭っぽく塗りつぶさないと家として整わない」と思っているわけです。
塗りつぶすに当たって、いくつかのご要望が並びます。

  • 雑草取りをしなくていいように土をなくしたい
  • 木は大きくなるから植えたくない
  • 蚊がいるし蜂が恐いので庭には出たくない
  • 花を育てるのは苦手なので花壇は小さくていい
  • できるだけ安くあげたい

ぼくとしては八方塞がりになります。



森邸 Plan
森邸 プラン



そのご要望をすべてクリアしつつ、カッコよく庭のカタチにすることは簡単にできます。
でもそれをしたところで、庭は庭として機能しません。
庭スペースを庭っぽく仕立てても、そこが庭として機能しなければ(ぼくの仕事としては)まったく意味がないのです。

「庭っぽく塗りつぶした場所」と「庭」とは違います。

八方塞がりになったぼくは、とても基本的なところに話を持っていきます。「はい、振り出しからもう一度」って感じで。
とっても基本的に、そもそも庭って・・・。



森邸 Before
森邸 ビフォー

森邸 After
森邸 アフター



ではそもそも、庭の機能、庭があることの意味って何でしょう。
昔ながらの「眺める庭」であっても、ぼくが提案し続けている「過ごす庭」であっても、そこが「自然を感じられる場所」でなければならないと思っています。

庭の最大の機能は「自然を感じる場所」ということ。


古澤邸 Plan
古澤邸 プラン




庭のある暮らし、庭を楽しむ暮らしをしている人は、いつも自然を感じながら暮らしている人です。

自然を感じ、自然に癒され調整される暮らしが庭のある暮らし。

自然に調整されながら暮らすということは、自然に従って生きるということです。



古澤邸 Before
古澤邸 ビフォー

古澤邸 After
古澤邸 アフター



「自然に従って生きる」ということをイメージしやすいように、その逆の「不自然な生き方」とはどういうものかを並べてみます。

〈 不自然な生き方 〉
  • 昼夜逆転や不規則な生活
  • 不健康な食生活
  • 何ごとにも否定的で批判的
  • いつも不機嫌
  • 弱気で悲観的
  • イライラすることが多い
  • 利己的
  • 仕事に喜びを感じない
  • 子どもが愛おしくない
  • 夫婦仲が悪い
  • 親を恨んでいる
  • 怠け者で依存している
  • 片付けられない
  • 自分が好きになれない
  • 極力他人とかかわりたくない



門馬邸 Plan
門馬邸 プラン



これらは不自然です。
一見すると自然・不自然と関係なさそうに思うこともあるかもしれませんが、ぼくは「不自然」と断言します。なぜならこれらはすべて、庭を楽しむ人の暮らしとは正反対のことばかりだからです。 
ためしに、ひっくり返してみますね。

〈 自然な生き方 〉
  • 早寝早起きの規則正しい生活
  • 健康的な食生活
  • 何ごとにも肯定的で批判をしない
  • いつも上機嫌
  • 自身に満ちていて楽観的
  • おだやか
  • 利他的
  • 仕事が生きがい
  • 子どもが愛おしい
  • いつもラブラブ
  • 親に感謝している
  • 働き者で自立している
  • 掃除好きで片付けが得意
  • 自分が大好き
  • 出会いが大好き


門馬邸 Before
門馬邸 ビフォー

門馬邸 After
門馬邸 アフター




まさに「庭を楽しんでいる人」の姿です。
日々庭に出て、庭を楽しみ、自然を感じながら暮らしていると、いつのまにかこうなります。そういうものなのです。

自然に歩調を合わせていくと、暮らしが上質に整っていきます。



高橋邸 Plan
高橋邸 プラン



自然を感じにわざわざ遠出しなくても、自宅にいながら日々自然に歩調を合わせることができる場所が庭。

庭をそんなふうに捉えれば、「庭スペースを庭っぽく塗りつぶす」のではなく「庭をワクワクと組み立てる」ことができるんじゃないかなあ。
新築の手つかずの庭を目の前にしてそんなイメージを持てた人だけに、庭は意味を持ち、暮らしに機能する、重要かつ魅力的な場所になります。



高橋邸 Before
高橋邸 ビフォー

高橋邸 After
高橋邸 アフター



ぼくは、新築時に庭を庭っぽく塗りつぶそうとしている人たちに繰り返しこう話しています。

あなたとご家族にとっての理想の庭をイメージしてください。
夢いっぱいに、ワクワクと、「こんな庭があったら最高!」と思えるまで、じっくりとイメージを膨らませてください。


庭だけじゃない。暮らしって、人生って、そういうもんでしょ。

じゃあいつやるか。今でしょ!(笑)