ぼくは新潟の山奥育ちです。
新潟の夏って最高ですよ。特に子どもにとってはパラダイス。庭の打合せで小さいお子さんがいるお宅にうかがうと、よく夏休みの新潟のおすすめスポットのことを話します。
お子さんと一緒に遊びに行く方は、連絡を頂ければ超ローカルな穴場をお教えしますよ。
山に登って、川で泳いで・・・こうして書いていても、頭の中に故郷の風景や記憶が溢れ出てきます。



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山登りが好きで、高校生の頃は春から秋、ほぼ毎週登っていました。
実家のある小出町(魚沼市)は魚沼盆地の中央にあり、周囲はぐるっと越後の名峰に囲まれています。



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ぼくが通い詰めたのは標高2003mの越後駒ヶ岳。湯之谷村の大湯温泉から奥只見ダムに抜ける枝折峠でバスを降りて、そこから登山道を登り始め、4時間半で頂上に立ちます。
帰りは登りとは違うルートで、山の麓にある駒ノ湯温泉までの通常5時間のコースを3時間で一気に駆け下ります(当時、ぼくの足腰は屈強でした)。
標高が下がって渓流の音が聞こえてくるところまで来ると、登山者はみな片手に手ぬぐいを持って歩きます。それは汗を拭くためではなく、絶え間なく襲いかかってくるアブを払いのけるためのものです。
手ぬぐいを振り回しながらのアブ襲来区間は20分ほど続き、そこを通り抜ければ下界、もうアブのいない日常の世界に戻ります。



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こうして記憶をたどると、あのアブが、山という非日常の世界と暮らしのある日常との境界にいる門番みたいな気がしてきます。
いま横浜で暮らしていて、たまにアブに遭遇すると「やあ、久しぶり」と声をかけたいような、山から帰った時の清々しさがよみがえってくるような気持ちになります。



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もうひとつ、故郷の夏の記憶に登場する虫が「ブト」。
関西ではブヨのことをブトと呼ぶようですが、それとは違う目に見えないほど小さいノミの一種で、家々の庭(畑)には必ずいます。
早朝にザルを持って野菜を穫りに行くときに、うっかり半ズボンで行こうものなら、もうあっという間に何カ所も刺されてかゆいかゆい。それを魚沼では「ブトに噛まれる」と言います。



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アブとブト、夏の田舎暮らしに登場する厄介者。
でもだからって、田舎の人たちは、山に行くことも畑仕事も止めないですよね、当たり前ですけど。
山や畑に、虫はいて当たり前。
そうそう、今日はこれを言いたかったのでした(笑)。



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庭の相談を受けながら、これまで何千回も聞いてきた言葉が「蚊がいるから庭に出ません」というものです。
それって・・・魚沼人的には・・・考えられない思考なのです。
蚊はいますよ庭なんだから。でもそんなのはアブやブトに比べたら何でもない、蚊取り線香をたけば済むこと。



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魚沼の人たちは毎日畑に行き、ブトに噛まれつつ野菜を収穫しながら暮らしています。
魚沼だけじゃない、日本中の農家や「庭イコール畑」な人たちがそうやって暮らしています。
自然が豊かなほど虫はいます。
畑をやっていなくても「自然」は庭に欠かせない要素なわけですから、自然を感じられる庭には必ず虫がいるものなのです。



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世界中の人が、いろんな害虫が飛び交う庭で幸せな時間を過ごしているのに・・・その幸福感を、たかが蚊ごときに阻止されるなんて・・・ねえ。

「蚊がいるから」を庭を楽しめない理由にするのは止めにしましょうよ。



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わが家では
朝晩に庭に出て過ごしていますから、ひと夏でお徳用の蚊取り線香を4缶使います。
だけどそれは昨年までのこと。じつは今年は、なんとまだ蚊取り線香を買ってもいません。
その理由は、ホームセンターでたまたま見つけたこのスプレー。



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効果絶大。それと、自分の居場所の周辺にシュシュッとやるだけなので楽だし。これ、おすすめです。



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でもそろそろ蚊取り線香を買いに行こうと思います。
あまりの効き目にちょっと怖くなったのと、やっぱり夏の庭にはあの香りがいいなあって。



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金鳥の夏、日本の夏。

夏は夏の庭を楽しみましょう。