庭を構成するときにどんな素材を使うかによって、庭の雰囲気は大きく違ったもになります。
それは完成したとき以上に、時間の経過によって顕著になります。

翌年、5年後、10年後、20年後と時が経つほどに味わいを増してくるような素材を使いたいものです。

時間の経過によって風合いを増す素材で構成することで、庭の魅力も時間とともに増してゆきます。



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ぼくの感覚だと最も避けたいのが樹脂系のもの、プラスチック、ポリカーボネート、人工木などです。
次にコンクリートとアルミ製品。これは建築物やエクステリア製品で多用されているので避けようがないわけですけど、それでも見え方や使い方に注意して、極力景観に影響を与えないようにしたいものです。



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時間の経過で劣化して残念な印象になるものを「劣化素材」、時間とともに味わいを増してゆくものを「風合い素材」として、それぞれどんなものがるのか並べてみます。

劣化素材/プラスチック、樹脂、コンクリート、アルミ、人工植物

風合い素材/石、レンガ、材木、鉄、枕木 、植物


例えば材木は、条件によっては反るし割れるし、条件によっては朽ちてゆくこともあります。だから皆さん腐らない素材、アルミや樹脂を選択します。
でも、ぼくは思うんですけど、それって不自然なんですよ。



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腐らない素材に囲まれていたら、人は安らげない。

そんな気がしませんか?
スーパで買ってきた食パンが一週間経ってもカビが生えない・・・ぼくはちょっと違和を感じます。
カビが生えないパンの方が便利なわけですけど、でも、ちょっと違うと思うんですよね。



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暮らしは便利にこしたことはありませんが、庭は便利さ優先の場所ではありません。
自然界と同等の不便さが失われると、庭の魅力も失われます。




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レンガや石が雨に打たれて、日に焼けて、年々いい感じに古びてゆく、時間の経過の中にあった楽しく幸せな記憶が、その「古び」を「古美」にするのです。「古美る/ふるびる」っていいでしょ。



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将来、とても自然に、すんなりと土に還ってゆくような素材で形作られた庭にいるとき、人はその循環に身を委ねることができる。

そう思うんですけど・・・周りを見渡すと、世の中的にはぼくはとても少数派のようです。



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それでもできるだけ風合い素材の中で、庭を、暮らしを楽しみたいなあと思っていますし、そういう庭を生み出し続けたいと思っています。
そんな思いと願いを込めて日々設計をしています。



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庭にたくさんの素敵な記憶を積み重ねて、やがて自分は消えてゆく。
その数十年後に、庭もまた原子レベルで地球に融けて消えてゆく。
ぼくも庭も、気持よく「千の風」になる。

幸せな記憶は、さらに積み重なりながら永遠に受け継がれてゆく。


という感じ、いいと思んですよねえ。



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繰り返します。

庭は、せめて庭だけは、便利さでだけで組み立ててはいけません。
庭はあなたが安らげる素材で構成してください。




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庭はあなたが自然と同調することによって、日々のストレスやリズムの乱れを調整する場所なのです。だからできるだけ自然素材で、ナチュラルに仕上げておきたいものです。



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これは、頑固な少数派の意見。
自分的には20年前から変わらない、ごくごく当たり前な考えだと思っているんですけどねえ。
・・・まあいい、そのうち、あと50年もしたら世の中が追いついてくるでしょう(笑)。





人は周囲にあるものの素材によって心を変化させます。
だから「できるだけ優しい素材に囲まれて暮らす」ということを意識してください。
例えば、オーガニックコットンのタオル
(ちょっと贅沢でっすが)の感触は、まるで魔法にかかったように気持が軽くなり、心が優しく変化します。