回覧板で〜す。

バラは今が施肥のタイミング



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冬は庭がひと休みしていて、ついつい放ったらかしになりがちですけど、この休眠期にどれがけ根っこを伸ばせるかが勝負です。
根っこがたくましく育たないかぎり土から上も育たない。葉が茂り茎が伸び花が咲くのも、根っこが先行して成長していればこそのこと。
寒風吹く季節に土の下では根が育ち盛りの子どもみたいに腹を減らしていますので、しっかりと肥料をあげて、思う存分太らせてあげてください。



ピエール ドゥ ロンサール
ピエール ドゥ ロンサール



何にも咲かない冬の日は、下へ下へと根を伸ばせ。

京都の大徳寺大仙院の住職、尾関荘園和尚のこの言葉に出会ったのは中学一年の時でした。
もともと運動が大好き、というか美術と体育以外はオールペケだったいわふち少年に大事件が起こりました。
腹痛と微熱が何日も続く・・・診断は腎炎。お医者さんから告げられたのは一年間の運動禁止でした。
自分の小器用な身体能力を活かそうと卓球部で張り切っていたのに、止むなく美術部に転部し、暗ーい気持ちでふてくされながらのデッサンの日々。
そんなときに美術部顧問の今井先生から手渡されたのが尾関荘園和尚の本「平常心」で、「何にも咲かない冬の日は、下へ下へと根を伸ばせ」はその中にあった言葉でした。



イングリッド バーグマン
イングリッド バーグマン



パーッと明るい気持ちになったことをおぼえています。「そうか、これはきっと根っこを伸ばすために与えられた運命なのだ」と。
少年の心というのは健全かつ純粋無垢なものです。だからふてくされている時でも常に希望の糸口を探しているんですよね。
その言葉を生徒手帳に書き写し、それを道しるべとして、「今やれること一生懸命にやっていれば、いつかきっとそれが役に立つ日が来るにちがいない」と、ぼくの思考は青春ドラマ的展開を示したのでした。
さらに「 みんなは体育の授業をしているのにぼくはできない。これはきっと、人と違う道を進めというお告げに違いない」と、とってもいい具合に能天気な思考もともなっていました。
そうなるともう止まりません。来る日も来る日も取り憑かれたようにデッサンをし、美術の本を読みまくり、ゴッホを始めとする印象派の画家たちの世界にのめり込み、ターナーにあこがれ青木繁に心酔したのでした。



ブラッシングノックアウト
ブラッシングノックアウト



医師から命じられた運動禁止によって、ぼくの根っこは同級生の誰とも違う成長を遂げ、その結果、進路はいわゆる「レールに乗る人生」からは大きく外れて行くわけです。
外れると、当然それなりの苦悩の日々となります。人と違う道ってのは、たいがい凸凹だらけで歩きづらいものですから。

何度も行き詰まります。「何で自分だけこんな変な道を・・・何でこんなにうまくいかないんだ」と、実にその後30年間も、常にそういう気持を持って生きていたような、すんなり歩けた時期はほとんどなかったような気がします。
でもそうのたびに荘園和尚の言葉が浮かんできたんですね、「根を伸ばせ!」と。
少年期に受けた感銘ってのは、実に強烈なものです。



アプリコットネクター
アプリコットネクター



そうやって育った特異な根っこのおかげで、今はこうしてたくさんの人によろこんでいただける仕事をして、日々満ち足りた気持で過ごすことができているんだと思っています。
「何にも咲かない冬の日は、下へ下へと根を伸ばせ」は、ガーデンデザイナーいわふちひでとしという今の自分へと導いてくれた、有り難い呪文でした。
それを授けてくださった今井浩勝先生と尾関荘園和尚に、今でもとても感謝しています。



ストロベリーアイス
ストロベリーアイス



何かうまくいかないことが起こったら、何をやっても裏目に出るような時期に入ったら、これを唱えてみてください。
何にも咲かない冬の日は、下へ下へと根を伸ば!
きっといつか花咲く春はやってきます。必ずそうなると、ぼくは言い切ります。

ぼくにもまだまだ予期せぬ困難がやってくるかもしれません。
そのときには、きっとまたこの呪文を唱えて、これまでそうしてきたように、今やれることに専念するだろうと思っています。



ニュードーン
ニュードーン



解剖学者の養老猛司さんはこんなことを言っています。

八方塞がりになったら九方目を探せ!
どん底まで落ちたら、掘れ!


追いつめられた時には現在地を確認して、掘って、根を伸ばす。
何度考えても、どっからどう考えてもそれしかないんですから、腹をくくって、足元に意識を集中しましょう。

何にも咲かない冬の日は、春を信じて根を伸ばせ!
迷うことなく、気を緩めることなく、徹底的に根を伸ばせ!

困難にぶち当たっている人に、つらい状況にある人に、そしてまだ芽の出ていない若い人たちに、このことを回覧します。


庭を覆ったあのドカ雪も数日で消えて、雪に圧縮されて平らに整った芝生が見えています(芝生の肥料は3月後半から梅雨明けまで、月2回を繰り返してください)。
今度こそ春近し!
い〜い感じです。