ぼくの友人には何人かの俳優がいます。
先月、そのひとりの浅賀秀郎さんを含めた数人で、元町での食事会がありました。

場所は汐汲み坂の登り口にある
イタリアン&ティールーム『KANDY』(キャンディ
最高に楽しい時間を過ごしての帰り道でのことです。
しーんとした元町の裏通り。いい具合に酔いがまわっている誰かから「浅賀さん、ちょっとそこに立ってみて」と声がかかりました。
浅賀さんは瞬時にして演じました。


岩田かずなおさん撮影
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ぼくは、その姿に唸りました。
いいでしょう、このショット。
まるでチャップリンの映画のようです。

いつでもどこでも演じられるって素晴らしい。



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演じるということに、ぼくはものすごい価値を感じています。
演技するというのは実像とは離れた虚構なわけですから、嘘と言ってしまえばそうなんですけど、でも誰でも虚実入り混じって生きているわけですから、演じることを肯定的に捉えるべきだと思っています。

演技とは自己表現。

ぼくの場合、顔すら自分のイメージ通りに動かない。これは軽いコンプレックスです。
もっと表現力を鍛えなければと思っています。



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以前、舞台美術の仕事をしたときに、竹中直人さんのトークショーで植物を使った装飾をやりました。けっこう好評で、竹中さんから「いいね、これ。ちょっと感動」って言ってもらえたことがうれしくて、今でもその場面を鮮明に記憶しています。
講演のテーマは「演じるということ」、お話しの趣旨はこういうものでした。

誰でも演じている。
演じずに生きることはできない。
だったら個人として、家庭人として、社会人として、自分は俳優なんだという感覚を持って、演技力を鍛えた方がいい。


あなたは演じるということを、どう捉えるでしょうか。
自分を客観視しないと演じることはできません。自分という素材をプロデュースする創造性がないと大根役者になってしまいます。



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人生は一編のドラマであり、その主人公はまぎれもなく自分。
主演女優賞(男優賞)を目指して、自分が思い描く理想の自分を演じてみましょう。



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ちなみになんですけど、これ、自慢話なんですけど、俳優の渡辺謙は同級生で近所の幼なじみです。
謙は小学生の頃から、校舎の3階のベランダで、ひとり夕日に向かってトランペットでニニ・ロッソを吹いているヤツでした。







人影まばらな校庭に向かって夕日に映し出されたその姿は・・・カッコいいというよりも「変わり者」という感じだったんですけど、今思えば小学生にしてすでに自分を演じていたのだと思います。彼は根っからの俳優です。
多くの苦難を見事に乗り切り、今も一途に突き進んでいる謙を目にするたびに、あの日の姿が浮かびます。

毎日が本番。
理想の自分、あるべき自分を見事に演じよ。


さあ今日も舞台の幕が上がります。
主役は、あなたです。