香りは記憶のインデックス。

春を告げるファンファーレのようなキョウチクトウの香り。微かにしてゴージャスで、満ち足りた気持ちにしてくれるバラの香り。骨まで溶けるようなテキーラみたいなキスをして、夜空もむせかえる激しいダンスを踊りたくなる月下美人の妖しい香り。
香りは気持ちに作用します。
ヒガンバナを追って漂う芳香に包まれると、浮かぶのは山村で穏やかに暮らす人たちの姿。
仏壇に感謝の手を合わせたようで、清々しく背筋が伸びる早朝の庭。 



一昨日、申し合わせたように
横浜一帯で開き始めたキンモクセイ。

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幼い頃は気にもとめていなかったのに、
今はこの香りで
とめどなく記憶が蘇ってくる不思議。

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稲刈り、畑、ススキの河原、
懐かしい顔とありがたい声。

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金沢文庫店の裏手にも一本あるので、
店内にまで漂って、
服に染み付くほどでした。

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今朝も薄暗いうちから
空気はキンモクセイ一色。


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庭禅がいつもより濃厚でした。