猿は赤道に近いほど生息数が多い。
しかるに暑い季節は、人が猿へと先祖返りしやすいのです。


音楽のルーツは波の音や風の音、風にそよぐ葉っぱの音、リズムと音階を奏でる鳥や虫の声、情感豊かな狼の遠吠え、命の証しである体内の鼓動などの自然音でした。
かつて安住の森から北の草原へと追いやられた猿の一群が苦難の暮らしを送る中で自然の音に聞き入り、安らぎやインスピレーションを得、その再現に興奮し踊る音楽というジャンルの獲得が人への進化のきっかけとなったの明らかなので、だから夜の庭で耳をすますことが癒しとなって人間性の回復につながるというのは当然であると言えます。
ピークを越えたとはいえ、風が止んだ時の蒸したような空気はキツいですよね。
暑さのあまり猿化しつつある人を見つけたら庭へといざなって、風の音をBGMに、よく冷えたビールと冷製パスタとシンプルなドレッシングを振りかけたサラダで、クールダウンしつつ存分に胃袋を満たしてから、次のように諭してください。

あなたは人間です。そんなにキーキー騒ぎ立てたり、むやみにはしゃぎまわってストレスを放出するのではなく、肥大化した脳の前の部分、眉毛から上3センチほどのところに意識を集中して、シナプスネットワークを駆使して、その領域の奥深くのどこかに眠っている秘宝、『素直な言葉』を探し出してください。
それは例えばこんなワードだったりします。「ごめんなさい」「ありがとう」「さびしい」「すきです」。
発声しなくてもいいので、その見つけた言葉を口の中で繰り返してください。

「ごめんなさい」

「ありがとう」

「さびしい」

「すきです」

そう、そうです。次は側坐核(感動中枢)に反響させながら。

「ごめんなさい」

「ありがとう」

「さびしい」

「すきです」

もしかしたら涙が出てくるかもしれませんけど、構わず続けてください。

「ごめんなさい」

「ありがとう」

「さびしい」

「すきです」

その調子その調子。ゆっくりと、ゆっくりと、何度も何度も。

「ごめんなさい」

「ありがとう」

「さびしい」

「すきです」

素直というお宝が脳内にいっぱいになり、扁桃体(怒りや攻撃性を発症させるいわゆる爬虫類脳)にまで溢れ出てそこを満たしてしまえば、もう猿化によって周囲と摩擦を起こすことも、自分で自分を扱いかねることも、頑張っているのにうまくいかないという、出口のないトンネルに迷い込んでしまったような恐怖も消えてなくなります。



ト音記号( 🎼 )をヴァイオリン記号とも言いますが、
ぼくはその出自を
ヴァイオリンやチェロやコントラバスのシルエットではなく、
キュウリかなんかのツルなのではないかと。

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音符が発明された当時、
人と植物の関係は今よりもずっと濃密でしたからね。




猿化に傾きかけていたその人の眉間から力が抜けて、ほんの少しでも口角が上向いたら、さりげなくBGMを風の音からジャズかクラシックにシフトさせて、あとはメラトニンが吹き出し心地よく目を閉じたくなるまで、心と心が響き合う人間同士の会話をお楽しみください。飲み物はスッキリと饒舌に、同時に聞き上手になれるよう、バーボンを炭酸割りにして。
人生は一夜の夢。人が人として夢見ることができたら、その夢を語れる人がそばいたら、きっと夢の終わりの一瞬にはこの上なく美しいお花畑に立てることでしょう。
というのはあくまで想像ですが、語り継がれてきた神話、民話、おとぎ話に照らして考えれば、きっとそうに違いないと思われます。

PS. 自分が猿化しそうな時も、庭へ。





猿が人になった大地ではどんな音が楽しまれているのかと思い立ち、
「アフロジャズ」と検索したところ、
出会い頭にエスペランサ・スポルディングの
Wild Is The Wind。



狙った的(アフリカ)から地球半周外して
アメリカ大陸のベーシストにヒットさせてくれた、
You Tube の見当違いに感謝しました。
毎晩庭でカチャカチャ検索しているうちに
You Tube が My Tube に縫合連結されて、
阿吽の呼吸が出来てきたような。
人を猿化することで市場拡大を目論む
弱電世界の AI 化戦略に、
心地よく、まんまとハマる夜の庭。





今日は昼から夕方まで「金沢文庫店」にいます。

今日も風を感じながら、もしも無風だったら風を巻き起こしながら、Wild かつ Humanly に、つまりは自分らしく駆け抜けましょう。