ハスは1億年以上も前から生息していた植物だと言われています。そこは白亜紀、ビルの高さに裸子植物が生い茂る陸地には恐竜がうろつき、大空には始祖鳥と翼竜に混ざって体長1メートルのトンボも飛び回っていました。
ぼくら人類の歴史はたった700万年。日本人が食用としてハスの栽培を始めたのはついこないだ、2000年前のことです。
それだけ圧倒的な歴史を持っているハスなので、仏教徒がこの花に神々しさを感じたのは当然のことだったでしょう。
しかしお釈迦様も弟子たちも、そんなハスの由来も白亜紀のこともご存知なかったわけでして、ただ日常の中で泥沼から突き出て咲く摩訶不思議な姿の花に神秘を感じて信仰の象徴とした。ということはつまり、仏教は自然界におわす八百万の神を祀る、タオイストたちから発生した宗教だったのだということがわかります。
空にうろこ雲が浮かんでいる。また、秋がやってきた。人間の思惑をよそに、式は堂々とめぐっている。その自然とわれとは一体だ!そう確信できた時の人間が一番強い。「平常心」そのものだからである。
尾関宗園著「平常心」最終頁の一文 。
ぼくら人類の歴史はたった700万年。日本人が食用としてハスの栽培を始めたのはついこないだ、2000年前のことです。
それだけ圧倒的な歴史を持っているハスなので、仏教徒がこの花に神々しさを感じたのは当然のことだったでしょう。
しかしお釈迦様も弟子たちも、そんなハスの由来も白亜紀のこともご存知なかったわけでして、ただ日常の中で泥沼から突き出て咲く摩訶不思議な姿の花に神秘を感じて信仰の象徴とした。ということはつまり、仏教は自然界におわす八百万の神を祀る、タオイストたちから発生した宗教だったのだということがわかります。
空にうろこ雲が浮かんでいる。また、秋がやってきた。人間の思惑をよそに、式は堂々とめぐっている。その自然とわれとは一体だ!そう確信できた時の人間が一番強い。「平常心」そのものだからである。
尾関宗園著「平常心」最終頁の一文 。
中学一年の夏、中二病発症の前に腎臓病になりまして、一年間の運動禁止を言い渡されました。体育の授業は体育座りで見学し、部活は美術部へと転部。そこで出会った顧問の先生がなんだかとても気にかけてくれて、ある日「いわふち、これ読んどけ」と手渡されたのがこの本でした。
ページを開いてから読み終えて顔を上げるまでの一時間ほどの間に、地球の様子が一変したことを覚えています。慢性的な微熱と腹痛で、半分死んでいるような日々だった自分の中心に、とてつもないパワーが注入されたようで。立て続けに繰り返し読み、さらに写経方式で一冊を丸暗記したのでした。
その後は狂ったように絵を描き、美術書をこれまた狂ったように読み漁り、医者から止められていた運動も、夜中に家を抜け出して密かなジョギングを続けていたら病気は半年で全快となり、禁じられていた反動でむやみに動き回りたくなり越後の山を片っ端から制覇。イマジネーションを描き、山を歩きまわり、読を読むという今のぼくの原型となる金型は、多感な時期の病気と出会いでできたんだなあと思うと、これはなかなかしゃれたシナリオではないですか、神様仏様。
ページを開いてから読み終えて顔を上げるまでの一時間ほどの間に、地球の様子が一変したことを覚えています。慢性的な微熱と腹痛で、半分死んでいるような日々だった自分の中心に、とてつもないパワーが注入されたようで。立て続けに繰り返し読み、さらに写経方式で一冊を丸暗記したのでした。
その後は狂ったように絵を描き、美術書をこれまた狂ったように読み漁り、医者から止められていた運動も、夜中に家を抜け出して密かなジョギングを続けていたら病気は半年で全快となり、禁じられていた反動でむやみに動き回りたくなり越後の山を片っ端から制覇。イマジネーションを描き、山を歩きまわり、読を読むという今のぼくの原型となる金型は、多感な時期の病気と出会いでできたんだなあと思うと、これはなかなかしゃれたシナリオではないですか、神様仏様。