役に立っていない庭は役に立たないということで役に立っているのでこの先も役に立たないままであるという役に立たない現実を役に立たせるためにはなぜ役に立っていない庭が役に立っているのかを知る必要があるのです。

ああ、何ということか。残暑を勢いよく突っ走るぞと意気込んでいるところに、なんの具合か星回りか、はたまた気づかぬうちに波動が落ちてしまっていたのか、立て続けに同種類の悩みを抱えた方々のご来店。
もちろんそれが仕事なのでありがたいことではあるのですが、お持ちいただいた悩みの核心は庭に存在するものではないのです、ということをどうご理解いただこうかと。ええ、雑草が、はい、なあるほど。蚊が!はい、はい、ですよね、とてもよくわかります。えっご主人が!そうですかあ。いやはや困りましたねえ。ええ、ええ、はい、お金がねえ、だと思いますけど。はい、はい、はい・・・・という微妙で曖昧なやり取りを三回くり返しているうちに日が暮れてしまいました。こういう局面で、以前はいきなりストレートを投げ込んで気分を害されてしまうことが多かったので、この頃は投球せずに間合いを図るという技を身につけたのです。
しかしそれは功を奏さず、せっかく来ていただいたのにお役にもたてず、帰り際に「ところでカーテン閉まってますよね」と解決のヒントを投げかけることは忘れなかったものの、ほんの一瞬怪訝な顔をされただけで概ね機嫌よくお開きとなり、多分そのトスボールは届かなかった感じ。さて、今日の日はいかがなものだったのかと思ったり思わなかったりしながら、このままではいけないなあと、もしも案内に乗ってくださって、これを読んでくれるかもしれないというかすかな期待と、読んだとしたら怒りだすかもしれないなあという、あらかじめ用意されている後悔というかが相半ばしながら、それよりも、ややズッコケだった今日をそれなりに締めくくるために、ぼくが伝えたかったことの真意を書きとめておこうと思います。
 


ももクロとハナアブ。
蜜と受粉の限りない供給合戦は、
自然界のならわしである共存共栄の宴。
双方共に、
「依存したらハイそれまでよ」というルールを
遺伝子レベルで知っているので、
怠けることもブレることもなく
命の限りに宴会は続けられてゆくのです。


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愚痴の種になっている庭と、グチグチ言いながら草を抜く人との関係性。その人は呪文のように不満を並べ立てては価値を持たない庭との対比で自分の有能感を得ているので、庭が文句のつけようのない素敵な場所になってしまっては困るのです。だからどのような解決策を提示しようとも、提示すればするほど次の不満と言い訳が溢れ出てくることは明らか。そうしないではいられないし、それを繰り返すほどにダメな庭のダメさ加減が強まる結果となってしまいます。
Co-depedency(共依存)または Co-addiction(共嗜癖)。
庭以外で言えば、過去の何らかの出来事でアイデンティティが希薄となった母親と、いつまでもオカアタマのケージを破壊することができないボクチャンの関係性。あるいは酔っ払ってはなじり合いながら決して別れようとしない、ダメダメ夫婦にありがちが共倒れへの道。
共依存は、それ以前には比喩的に Co-alcoholic(アルコール依存症者の家族)と呼ばれていました。酒飲みの狂気に振り回されるあまり、自分の人生をも狂わせ台無しにしてしまう家族に特徴的な病んだ思考という意味です。



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そこから脱出する方法をフロイトはこう説いています。

あなたが頑強に目を背け続けている、無意識領域にあるトラウマを探り当てなさい。それを見極め素直に認めた瞬間に、あなたの手足を縛っている鎖が消えて無くなり思考が自由な翼を得て、人生の何もかもが思い通りの展開を始めることでしょう。

家庭内に起こる辛い問題の多くがこの共依存から始まっています。もしかしたら、と思った方は、前頭葉のメタ認知機能を駆使して軌道修正を(くれぐれも、くれぐれも、見つめる先は「問題」ではなく、「自分」であることをお忘れなきように)。



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アルフレッド・アドラーが長く注目されなかった一因が、フロイトによるこのトラウマという概念を否定したという点にありました。アドラーは過去の呪縛に囚われているよりも、そんなものとは決別して現在と未来に生きるべきなのだと主張し、同僚であり師でもあったフロイトとも決別したわけですが、彼のその言動は、当時の精神医学界的には「論理性を欠いた薄っぺらな啓発である」と捉えられたのでした。



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フロイトと、アドラー、どちらも正解なのです。



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あなたがフロイディアンであれば、庭が荒れ果ててしまった原因、例えば目隠しができていないとか目的が曖昧であるとか、そもそも庭が何たるかを知らなかったとか、そういうことを見つけ出して具体的に改善すればよし。
アドラーの方がイケてるかも、と思う人は、ぼくにご連絡を。

と、まあこんなところで、設計はあまり進まなかったものの今日もそれなりに濃いいち日でした。ということで、めでたしめでたし。


あなたが認めたくないものは何ですか。どんなに辛くても、それを認めれば道はひらけます。
加藤諦三


 



一夜が明け、順調に分泌したメラトニンによって脳内は整理整頓されました。
フレッシュな気分で今日から新たな設計に着手。テーマは「 使われていない高台の空き地を、あの手この手で極上の庭空間にする」。

今日は「港南台店」にいます。