音楽の父 J・S・バッハと天才 W・A・モーツァルト、二人の作曲の仕方はまったく違うものでした。モーツァルトは四六時中脳内で奏でられる音を譜面に記す作業が他のどんなことよりも楽しく(苦しみでもあったわけですが)、そうせずにいられない衝動にかられる、ある種狂気のような日々を送ったのに対し、バッハは貴族や教会からの作曲依頼の締め切りに追われながら、生真面目に職人的作業をこなし続け、その膨大な受注生産作品群の仕事っぷりが名曲揃いであると、世界から絶賛されたのです。



しゃがんで水面を見つめていると、
早朝の庭で目一杯高めた気合が水平に均されて、
コンビニで唐揚げとスーパードライを買って帰り
庭で昼寝がしたくなる。
ことに晴天の日曜日には。
それをグッとこらえて店へと向かう朝の散歩道。
前のめりになりがちな性格なので、
このくらいでちょうどいい具合なのです。


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代表作のひとつ「ゴルトベルク変奏曲」は、不眠症に悩むカイザーリンク伯爵から「眠れる音楽を」との依頼を受け、当時音楽指導をしていたコルトベルク少年に演奏させるために作曲したものでした。



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子守唄のようなアリアで始まり、それを理屈で解析した退屈といえば退屈な、しかし夢の世界へといざなうインスピレーションがちりばめられている30の変奏曲が続き、最後にダ・カーポでアリアに戻る(つまりループさせようというアイデア)という60分にも及ぶ構成。



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バッハは少年に「よいか、もしも弾き終えても伯爵が寝息を立てていなかったら、何食わぬ顔でそのまま最初から繰り返すのだぞ。何度でも何度でも。くれぐれもお前が先に寝てしまわぬように」と伝えたことでしょう。



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こういう論理的な構成や仕掛けが庭の設計と共通しているからか、あるいは行列をプレッシャーに感じて仕事に励む受注生産者へのシンパシーか、バッハを流すとすんなりと設計中の仮装庭空間に入ってゆくことができます。



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生真面目に注文をこなし続けるガーデンデザイナーには、とてもありがたいレガシー。



 

大好きな曲なので
有名どころを10人ほど聴き比べてみました。
結果、ピアノなら熊本マリさんが絶品。
チェンバロはキース・ジャレット。
リヒテルやグールドを荒く感じてしまったのは
録音が古いからかもしれません。



シンプルでピュアな旋律には弾く人がそのまま出るなあと、
とても興味深く、
庭もまたそうなんだよなあと思った次第。

ちなみに、
最も眠くなったのはロザリン・テューレックでした。
全般的にとてもゆっくりで、1時間34分をかけて弾いています。



寝付けない夜にお試しあれ。
あるいは昼寝のBGMに。





今日は「金沢文庫店」にいます。